電子帳簿保存法はこう活用する!領収書電子化ガイド 第1回「領収書電子化の目的及び、必要な検討・対応は何か?」

平成27年度、28年度と、2年連続で、国税関係書類のスキャナ保存に関する規制緩和が行われました。

特に平成28年度の規制緩和に盛り込まれた、「スマートフォン・デジタルカメラを用いて、受領者本人による国税関係書類の電子化が可能」については、経済産業省、財務省、国税庁に対しての要望を挙げる段階から、私が深く関係し、詳細な制度設計についても提案させていただきました。
加えて最近では、弊社の経費精算のクラウドサービスであるConcur Expenseにおいて、スキャナ保存に対応する機能の開発、及び、弊社のお客様向けに弊社サービスをご利用いただいた場合のスキャナ保存対応の要諦をご説明すべく、国税局や公認会計士、税理士等とディスカッションし、詳細な内容を整理しております。

本ブログにおいては、2016年9月に開催されました弊社イベント「Concur Fusion Exchange Tokyo 2016」の、私のセッションにてご説明させていただいた内容を、8回の連載に分けてご説明させていただこうと思います。

第1回目の今回は、経費精算時における領収書の電子化について、その目的、及び、検討・準備が必要なものの概要に加え、検討の際に参考になるWebサイトのURLをご紹介します。

領収書電子化の目的

私がスマートフォンの利用を認めてもらうための活動を開始した際は、平成27年度の規制緩和の内容がおおむね固まった直後である、平成26年秋の頃でした。

参考)平成27年度の規制緩和(国税庁Webサイト、PDFファイル)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/02.pdf

その頃より言われていた、領収書電子化の目的としては、「コスト削減」が挙げられます。

紙の領収書を企業の本社経理部門へ送付し、人手を使って一つ一つの領収書と、申請された経費の内容を確認した上で、それら領収書を糊付けして整理し、倉庫に7年間保管する・・・という、あちこちに「無駄」と呼べるコストがかかっていました。これらコストを削減するために、電子化を行うということが推進されましたが、平成27年度の規制緩和では、非常に重要な点が抜けていました。

それは、「領収書を受領した者は、スキャナを用いて電子化するために必ずオフィスに帰り、他の誰かに電子化をお願いしなければならない」という点が解消されていなかったのです。

大量な領収書を受領する主な部門と言えば、やはり営業部門です。
タクシー代、新幹線等の移動費、接待交際費など、企業における領収書の相当な割合は、営業部門から発生します。ですが、平成27年度の規制緩和では、日々営業活動に飛び回る傍ら、経費精算のためだけにオフィスに立ち寄らなければならないという、効率の悪い状態、つまり生産性の問題が解決されていなかったと考えます。

とはいえ、ここでは詳細な説明は割愛しますが、平成27年度の規制緩和ではスキャナ保存の「フルモデルチェンジ」と言ってもよいくらい、大きく緩和された項目もございます。
ですので、平成28年度の規制緩和における、「スマートフォンの利用」については、前年度に漏れていたものを補完するための規制緩和であったと言えます。

参考)平成28年度の規制緩和(国税庁Webサイト、PDFファイル)
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/03.pdf

私がスマートフォンの規制緩和に向けて動いていた間、領収書の電子化の目的は、単なる「紙の領収書の送付・保管コスト」の削減だけではなく、「電子化の徹底による経理部門の人件費の削減」に加え、「領収書受領者本人、特に営業部門の従業員の生産性の向上」も非常に重要な目的である、と訴えて参りました。
そのため皆様のおかれましても、単に倉庫費用の削減だけではなく、経費精算する側の従業員の生産性が、どのように改善できるか、ということをご考慮いただいた上で、検討を進めていただけますと幸いです。

領収書電子化を行うために必要な対応

では早速、実際に企業において領収書の電子化を行うために必要な対応を簡単にご説明します。

詳細は次回以降に説明いたしますが、上図の通り、必要な対応は大きく分けて3つあります。

  1. 領収書電子化を実施するための内部統制用の規程の策定(非機能要件)

    領収書を電子化するに当たり必要な、社内規程、事務処理フローなどを、国税庁が提示する要件に基づいて策定する必要があります。
    この「規程の策定」が、企業において詳細な検討が必要になり、すでにご検討を開始されている弊社のお客様においても、じっくり時間をかけて行っていただいています。
    本規程については、国税庁のWebサイトにサンプルが掲載されているものもございますが、実際には、申請先の税務署や、契約している監査法人等とご相談の上、策定していただくことが望まれます。

  2. スキャナ保存の要件に対応した製品の利用(機能要件)

    領収書の電子化には、一定の技術的・製品機能的な要件もございます。それらの要件に対応した製品やサービスを導入していただく必要があります。
    この対応製品の利用は、3で説明する税務署への申請時には利用可能な状態になっている必要は無く、電子化を開始する日までに準備すれば大丈夫です。ですが、弊社クラウドサービスのように、外部サービスを利用する場合は、申請時には契約を済ましておく必要がありますのでご注意ください。

  3. 管轄税務署への申請

    1で策定した規程類、2で契約した製品・サービスのスキャナ保存対応概要資料、契約書のコピーとともに、国税庁が定める申請書を記載の上、管轄税務署に申請する必要があります。
    管轄税務署へは、領収書電子化の開始を希望する日の3か月(90日)前までに申請する必要があります。
    よく新聞報道等で、「平成29(2017)年1月1日からスマートフォンでの領収書の撮影が認められる」ということが言われてきましたが、これは、平成28年度の規制緩和が、平成28年9月30日に施行され、その当日に申請を行った企業であれば、3か月(90日)後の平成29年1月1日付けの領収書から、スマートフォンで電子化が可能になる」ということを指しています。

次回より、上記の3つの対応について、特に注意すべき点に的を絞り、詳細な解説を行って参ります。
 

電子帳簿保存法はこう活用する!領収書電子化ガイド(リンク集)

第1回「領収書電子化の目的及び、必要な検討・対応は何か?」
第2回「領収書電子化の要件の概要と申請までの流れ」前編後編
第3回「領収書を電子化するための方式と日数制限」
第4回「適正事務処理要件に基づく社内規程の策定」
第5回「紙の領収書を廃棄するための定期検査はどうすればいい?」
第6回「タイムスタンプの役目と付与及び一括検証」
第7回「モバイルでの読み取りと読取情報の保存」
第8回「Concur Expense利用時における想定事務処理フロー」

コンカーではじめる電子帳簿保存法はこちら

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