電子帳簿保存法・スキャナ保存対応 ポイント解説「電子領収書はどのように取り扱えばいいか?」

最近では電子的に領収書を発行してくれるケースも増えてきました。

米国では、出張時にホテルに宿泊しチェックアウトする際に、「領収書は、紙のものがいいか?それともPDFファイルをメールで送るか?」と聞かれることもあります。日本においても、Web上で物を購入したりすると、PDFファイルで出力が可能なケースもあります。
これらの電子領収書、皆さんはどのように扱っていますか?

電子帳簿保存法 第10条
電子帳簿保存法の第10条においては、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存」に関して定められています。これは、電磁的記録(例:PDFファイルで受領した領収書)は、電磁的記録のままの状態で保存することが義務付けられています。

そうなんです。実は電子取引にて受領した電磁的記録は、基本的には電磁的記録のままで保存することが「義務」となっております。そのため、PDFファイルで受領したものは、その状態でシステム上に保存する必要があります。加えて、電磁的記録を保存するシステムは、関係書類の備付け、見読性の確保、検索機能の確保、のスキャナ保存制度でもおなじみの3つの要件を満たしている必要があります。

この電子帳簿保存法第10条の内容は、「義務」であるため、電磁的記録を保存することに対して、税務署に対して申請をし、承認を得る必要はありません。
逆に言いますと、「義務なんですから、申請などせずとも、皆さんやってください。」と言ったところでしょうか。

一方、紙の領収書をスマートフォンやスキャナで保存する、スキャナ保存制度は、義務ではなく「特例」になります。つまり、本来紙で保存しなければならない領収書を、「特例として電子化して保存する」ことを認めてもらう必要があるため、税務署に対する申請が必要になります。ここが、電磁的記録のままの保存と、スキャナ保存制度の大きな違いの一つです。

但し、電子帳簿保存法第10条には「ただし書き」があり、電磁的記録の状態で受領したものをプリンターで印刷し、整然と、かつ明瞭な状態で保存する場合(つまり、ファイルに綴じておく場合など)は、紙で保存してもよく、電磁的記録の方は保存しておかなくてもいいとされています。

ですので、スキャナ保存制度に申請せず、従来通り紙の領収書を保管されている企業であれば、これらの電磁的記録(PDFファイルで受領した領収書など)を、プリンターで印刷して、経理部門に提出し、紙の状態で保存する運用を行っているケースが多いのではないかと思います。

スキャナ保存開始後の扱い
では、スキャナ保存を申請し、運用を開始した場合は、どうすればいいのでしょうか?

私のところによくくる質問は、以下の通りです。
「やはり、一度印刷して、そこに自筆で署名をし、スマートフォンやスキャナで電子化するべきでしょうか・・・?」

先ほども説明しました通り、電磁的記録のままで受領した場合は、基本的にはそのままの状態で保存する必要があります。
紙に印刷したのであれば、紙の状態で保存しなければなりません。

そう考えますと、一度紙に印刷して、その紙をスキャナ保存するのは、正しくないと言えます。
つまり、最初に受領した電磁的記録(電子ファイル)の状態で保存することが求められます。

電磁的記録のまま保存する際の要件
では、電子ファイルでもらった領収書を、そのままの状態で保存するためには、何をしなければならないのでしょうか。

電子帳簿保存法施行規則の第8条では、以下のいずれかの保存措置をとる必要がある、とされています。

①電子取引に係る電磁的記録に対してタイムスタンプを付与すること
②正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理規程を策定し、それに沿って運用すること

ですので、必ずしも、電子ファイルの状態の領収書にタイムスタンプを付与する必要はありません。

今回のコラムについては、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が公開している、「電子取引データの保存の考え方」に詳しく書かれていますので、ぜひご参考にされてください。
特に、上記②にて運用する場合の、事務処理規程のサンプルについても、本文書に含まれております。

Concur Expenseでの対応
Concur Expenseにおいては、当初より電磁的記録の状態で受領した領収書なのか、はたまた、紙の領収書をスキャナで電子化したものなのか、については区別しておりません。

そのため、アップロードされた電子ファイル(今回の場合は、主にPDFファイル形式)に対しては、すべて、タイムスタンプを付与いたします。一度印刷して自筆で署名し、スマートフォンやスキャナで電子化する必要もありません。
ですので先の要件では、①に対応することになります。

以上、今回は、電磁的記録で受領したものの取扱いについての説明でした。

Loading next article