電子帳簿保存法はこう活用する!請求書電子化ガイド 第4回「請求書を電子化するためのデバイス・電子請求書について」

今回は、請求書を電子化する際に用いられるデバイスについて、どのような利用シーンで、何をどのように配備し利用するのが最適かについて考察します。
また、電子帳簿保存法第10条で規定されている、電磁的方式での授受、つまり電子請求書での授受について、どのようなケースが考えられるかについても事例を挙げていきます。

請求書電子化で考えられる「方式」と「デバイス」

領収書電子化を検討もしくは実施されているConcur Expenseのお客様のほぼすべてが、領収書を受領した本人がスマートフォンで撮影し、受領日翌日から3日以内にアップロードする方式、つまり「特に速やかに方式」を採用しています。領収書をもらった本人以外の人が代理で電子化する場合(例:役員秘書の方など)や、スマートフォンを持っていない従業員のみ、「業務処理サイクル方式」を併用し、複合機やスキャナでの電子化を実施するような事務処理フローを策定されています。

請求書の場合、第2回で説明した通り、郵送された際の受領日(≒郵便受への投函)が不明確であったり、明確な受領者がいなかったりするケースも多く、また、請求書を処理する担当者の手元に届くまで日数も要する可能性もあるため、「特に速やかに方式」は事実上適用が難しいと思います。

そうなると、迅速かつ場所を選ばずに電子化を可能にするスマートフォンについても、請求書の電子化においては、利用されることはほとんど無いと考えられます。加えて、請求書が複数枚に渡る際、スマートフォンでは1枚1枚撮影する手間が増えるだけでなく、枚数分の画像ファイルが生成されてしまうため、請求書の電子化の場合は、複合機やスキャナを利用するのが一般的になるでしょう。

そのためここからは、請求書の電子化を、「業務処理サイクル方式(1か月+1週間)」にて、請求書処理担当者が行うことを前提に、説明します。

請求書を電子化する際のポイント

先述の通り、請求書の電子化においては、複合機やスキャナを利用するケースが多くなると思います。

スマートフォンでの写真撮影と異なり、複合機やスキャナでの電子化は、設定(dpi数やカラー設定)を間違えなければ、スキャンを仕損じることはほとんどないでしょう。加えて、領収書のように受領した従業員本人ではなく、限られた請求書処理担当者がスキャンするのであれば、画像品質の個人間のばらつきも、領収書に比べ小さいと考えます。

Concur Invoiceでは基本的に、一つの請求書に対して一つの申請を提出することになりますので、電子化の際も一つの請求書ごとに一つの画像ファイルを生成することになります。この場合の画像ファイルは、PDFファイル形式で作成するのが良いでしょう。複合機やスキャナを用いた場合、PDFファイル形式のほかに、JPGファイル形式などでファイルを生成することが可能ですが、PDFファイル形式を推奨いたします。

理由としては、以下の通りです。

  • 一つの請求書内に複数枚のページがある場合、JPGファイル形式は複数のファイルに分割されてしまうが、PDFファル形式の場合は複数ページを1つのファイルにすることが可能
  • PDFファイル形式の場合、法的要件である「200pi以上、フルカラー」を満たす設定が、デバイス上で容易に可能

この「200pi以上、フルカラー」についてですが、国税局等の担当官によっては、「スキャン後のPDFファイルが、必ず200dpi、フルカラーを満たしていることを証明してください」という質問をしてくるケースもあるようです。
お客様によっては、「複合機の操作パネルのところに、『電子化の際は200dpi、フルカラーの設定で行うこと』などのシールを貼り、注意喚起をします」という回答をしたようですが、「それでは不足です。」といわれたこともあるようです。
ですが、PDFファイルのプロパティの中には、基本的には「dpi数」の値が記載されていません。もしそのような問い合わせを受けた場合は、上記のような注意喚起を徹底することを伝えたり、複合機メーカーに、生成後のPDFファイルのdpi数を見る方法を問い合わせていただいたりするとよいでしょう。

想定される電子化用デバイスの配備

では次に、請求書処理担当者が便利にスキャンできる環境について、いくつかのシーンを想定してみましょう。

A)オフィスに複数の担当者がいる場合
比較的従業員数の多い企業、すなわち部署ごとに請求書を取りまとめる担当者がいて、その担当者が請求書をスキャンし、Concur Invoiceにて申請処理を行うシーンを考えます。
その場合は、画素数などの法的要件を満たす複合機を共有するような配備を行うとよいでしょう。仮に現在利用している複合機が、電子化の要件を満たさない(例:スキャンの際の画素数が低い設定しかできない、モノクロでしかスキャンできない、など)場合、新たに購入する必要があるため、何台も入れ替えるわけにもいかないかもしれません。(もちろん、何台も入れ替えるられれば、利便性は高まりますが…)
まずは、明確に電子帳簿保存法に対応した複合機を1台用意し、その1台を共有しつつ、状況に応じて台数を増やすなどの対応をしていくとよいでしょう。

B)一人(もしくは極めて少数)の担当者がまとめて対応場合
これは、比較的中小規模の企業に多いケースであると考えます。
この場合の特徴としては、その一人当たりが処理する請求書の枚数が、非常に多くなることが想定されます。そうなると、請求書をスキャンして電子化し、請求書の項目を入力して上長に提出をする、という一連の作業が頻繁に発生します。当然ながら1か月+1週間の間に電子化を完了させなければなりませんので、月末にまとめて行うより、手元に届いた請求書から、順次電子化を行い、申請することをお勧めします。このような場合、担当者に専用のスキャナを1台配備することで、利便性が向上します。共用の複合機にてスキャンを行うことももちろん可能ですが、たいていの場合、複合機は社内のプリンターを兼ねていたりしますので、印刷やコピーをする人と作業がぶつかってしまうこともあるでしょう。デスク上に配置できる、電子帳簿保存法対応の小型スキャナがあれば、いつでも電子化の作業ができ、スキャンした画像をそのまま自分のPC上で処理できますので、担当者は電子化の都度席を離れる必要もありません。

このように、担当者の人数や状況、一人の担当者が1か月に処理する請求書のおおよその枚数などに鑑みて、複合機やスキャナの配備を、柔軟に考えてみてください。領収書の電子化の際(スマートフォンの利用など)とは、また異なった工夫が必要ですが、受領者本人が電子化をすることが多い領収書とは違い、請求書の電子化時はのステークホルダーが少ないため、むしろ検討しやすいと考えられます。

電子請求書での授受について

最後に、請求書を電子的に受領するケースについて考えてみます。

電子帳簿保存法第10条にて規定されている、国税関係書類の電磁的方式での授受については、領収書電子化ガイドにて書いていますので、ご参照ください。ポイントは「電磁的に受領したものは、紙で印刷したのちに再度スキャンをする必要はない」という点です。

では、請求書を電子的に受け取る形式としては、どのような例があるでしょうか。

まず思い浮かぶのは、取引先との間で受発注や請求書授受のシステムを用い、発注・納品後の請求書を、電子的に受領する場合です。
この場合、このシステムから発行された請求データを、Concur Invoiceに取り込むことで、そのまま請求書の処理につなげることが可能です。つまり、紙の請求書が発行されず、電子データのままで請求処理が完了するケースです。この場合は、スキャナ保存制度が介在しません。

しかしながら、一番よくあるケースとしては、請求書をPDFファイルで受領する場合です。
仮に請求書を発行する企業が紙で請求書を作成したとしても、その発行企業側でスキャンしてPDFファイルにし、メールなどで送付した場合、受け取り側の企業は「電磁的方式」、つまり電子請求書の形で受領したことになります。(発行企業側でシステムからPDFファイル形式で請求書を出力する場合もあります)
発行企業より紙の請求書を受け取らず、PDFファイル形式のままで授受を完了させることで、電子化するする手間が省けます。ですので、請求書の電子化を導入する場合、「どのような形式で請求書を受領するか」についても併せて検討することで、「紙の請求書をスキャンする」作業を減らすことが可能です。

ただし注意が必要なのは、国税庁が公開している、「電子帳簿保存法一問一答 【電子計算機を使用して作成する帳簿書類及び電子取引関係】」の問57にあるように、「電子データをそのまま保存する方法と電子データを出力した書面を保存する方法を混在させてはいけない」ということです。つまり、「電子請求書のままで保管する方式」と「印刷して紙で保管する方式」のどちらか一方の方式で保管しなさい、ということです。
本来、電磁的に受領したもの、つまり電子請求書や電子領収書は、電磁的なままで保管することが原則ですが、運用上「電磁的に受領したものは、印刷して保管する」と取り決めたうえで、すべて紙で保管しても構わないことになっています。おそらく電子帳簿保存法 スキャナ保存制度に対応していない場合、多くの企業ではPDF等で受領した請求書は、一度印刷して紙で保管しているのではないでしょうか。

しかしながら、支店などのロケーション単位や、取引先などの単位など(例:「A支店は電子のままで」「B支店は紙で」など)の区分けをした場合は、方式を分けることは認められています。
つまり問57の回答にある通り、「規則性及び継続性」があれば、混在しても大丈夫ということです。これは、スキャナ保存を申請する際、スモールスタートを行う時などに、部署等を区切って申請することと同じ考え方です。

次回は、請求書の電子化の一般的な事務処理フローについて、電子帳簿保存法に対応したConcur Invoiceの画面キャプチャなどを交えて説明いたします。

電子帳簿保存法はこう活用する!請求書電子化ガイド(リンク集)

第1回「請求書と領収書の電子化の違い
第2回「一般的な請求書電子化の事務処理フロー(前編)
第3回「一般的な請求書電子化の事務処理フロー(後編)
第4回「請求書を電子化するためのデバイス・電子請求書について
第5回「Concur Invoiceでの請求書電子化フロー」(coming soon)

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