イベントレポート: 令和3年度電子帳簿保存法改正で変わる請求書保存の先取り説明

PDFで受領した請求書は紙に印刷して保存できなくなる!

令和3年度電子帳簿保存法改正で変わる請求書保存の先取り説明

新型コロナウイルスによる影響もあり、請求書をPDFファイルで受領するケースが増えてきた企業も増えてきた。その「PDFファイルの請求書」は、今までどのように保存していただろうか。これまで紙に印刷して保存することが認められてきたが、2022年(令和4年)1月1日の電子帳簿保存法改正が施行されると紙による保存ができなくなり、受領したPDFファイルのまま保存しなければならなくなる。本セミナーでは、来年以降の電子請求書の保存の方向性について、令和3年度の改正を少し先取りしてお届けする。

 

PDFファイルの請求書は印刷保存が不可に

 コロナ禍の影響を受け、請求書を電子メールに添付されたPDFファイルとして受領するケースが増えている。実際にコンカーでも、コロナ禍直前の2020年2月の時点においては請求書を紙で受領し、スキャナを使って電子保存する方法が圧倒的に多かった。ところが、社員が在宅勤務・テレワークを実施したことによって紙を電子化する処理が難しくなり、取引先にPDFファイルによる請求書発行を依頼した結果、数カ月のちにはPDFファイルによる受領が激増することになった。だが、請求書をPDFファイルとして受領しても、どこに保存すればよいのか分からずに悩んだ末、結局はPDFファイルをすべて印刷して保存しているという企業は少なくないようだ。

 そうした中、2022年1月1日に施行される改正・電子帳簿保存法では、PDFファイルのような電子媒体として受け取る書類 ――「電磁的記録」の保存方法が変わる予定になっている。2020年12月にリリースされた「令和3年度税制改正大綱」には「申告所得税及び法人税における電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務者が行う当該電磁的記録の出力書面等の保存をもって当該電磁的記録に代えることができる措置は、廃止する」と書かれているが、これはすなわち「PDFファイルとして受領した請求書を紙に印刷して保存してはいけない」という意味だ。

 では、PDFファイルで受領した請求書は、どのように保存すればよいのだろうか。その方法と注意点を以下に紹介する。

 

電子帳簿保存法改正のポイントを知る

 電子帳簿保存法が定義する「電磁的記録」には、「PDFファイル等を電子メール受領するもの」「ホームページからのダウンロードや画面コピーのもの」「クラウドサービスで発行されたもの」「クレジットカード・交通系ICカード・スマホアプリ決済の明細」などがある。電磁的記録の保存方法には「発行側でタイムスタンプを付与後に受領し保存する」「受領後にタイムスタンプを付与して保存する」「訂正削除履歴を残すか、訂正削除不可で保存する」「訂正削除の防止に関する規定を備え付ける」という4つが示されている。

 実は「訂正削除の防止に関する規定を備え付ける」という方法は、2020年度の電子帳簿保存法改正以前から存在しており、事務処理規定を用意すれば電磁的記録に対応したシステムに保存するだけで問題ないことになっていた。さらに上記4つのすべてを用いる必要はなく、いずれかの方法で保存すればよいので、要件を満たすのは決して難しいことではない。事務処理規定については、国税庁のホームページにサンプルが公開されているため、これを利用しても差し支えない。規定を策定・運用すれば、タイムスタンプ機能は不要であり、税務署への申請も不要だ。

 電磁的記録と保存方法の組み合わせを図示すると下図のようになる。タイムスタンプ有の場合には、従来のスキャナ保存と同様に受領側でPDFファイルにタイムスタンプを付与すればよい。タイムスタンプ無の場合は、事務処理規定を備え付けて運用すれば問題ないというわけだ。

(図)タイムスタンプ有の場合

(図)タイムスタンプ無の場合

 

 このように規定を策定することでタイムスタンプが不要になったものの、この方法が認められるには別の要件を満たす必要がある。それは「検索要件」だ。国税庁では「取引年月日(日付)や取引金額、その他主要な項目を検索条件として設定できること」「日付と金額は範囲を指定して検索条件を設定できること」「二つ以上の項目を組み合わせて検索条件を設定できること」を要件として示している。また、保存場所については「対象となるデータは検索できる状態で保存する必要があるため、当該データが添付された電子メールをメールソフトで閲覧できるだけでは十分ではない」とされている。つまり、タイムスタンプ無、事務処理規定で運用する場合には、検索要件が不十分なメールサーバー、あるいはファイルサーバーでPDFファイルを保存するだけでは要件を満たせない。これは令和3年度電子帳簿保存法改正でも変更はない。

 

電子帳簿保存法改正に対応したConcur Invoice

 タイムスタンプの有無にかかわらず、PDFファイルで受領した請求書を確実に保存できるのが「Concur Invoice」だ。Concur Invoiceは、PDFファイルをはじめとする幅広い電磁的記録の保存、範囲指定を含む日付・金額やその他項目による検索、令和3年度改正に対応したスキャナ保存など、電子帳簿保存法に対応した機能を備えている。また、予算管理や分析による経費の可視化、請求書処理のワークフロー、購入申請・発注・納品記録の管理による統制、支払先ベンダーマスターによる支払管理といった機能もある。請求書の発行側・受領側の双方がConcur Invoiceを利用していれば※、詳しい請求明細を含む請求書の内容をすべて電子データでやりとりできるので、データ入力が不要になるというメリットも得られる。(※連携サービスをご利用の場合)

 Concur Invoiceを導入すると、令和3年度電子帳簿保存法改正対応への道筋もつけやすい。同時に社内に事務処理規定を策定すれば、PDFファイルで受領した請求書を印刷して保存する必要がなくなり、それだけで改正対応が可能になる。あとは取引先に対してPDFファイルで請求書を送付してほしいと依頼していくと、紙の請求書をどんどん減らすことができる。もちろん取引先の事情により紙の請求書を受領しなければならないことも考えられるが、その場合は紙をスキャンして電子データとして保存すると同時に、紙の請求書も保存しておく。税務署に申請すればスキャナ保存も可能になるのだが、申請はスキャナ保存を実施する3カ月前までに行う必要があるため、すぐに令和3年度電子帳簿保存法改正の施行を迎えてしまう。改正後のスキャナ保存では税務署への申請も不要になると言われているので、現時点では電子データとともに紙を保存しておくほうが得策だ。

 

電磁的記録を増やすために知っておきたい勘所

 Concur InvoiceはPDFファイルなどの電子データをアップロードするだけで保存可能であり、請求書の保存場所をConcur Invoiceへ切り替えれば、徐々に電磁的記録を増やしてスキャナ保存の割合を減らすことができる。重要なのは、PDFファイルでの受領を増やしたいのであれば、取引先にPDFファイルの発行を積極的にリクエストするように心掛けることだ。

 ちなみに、取引先が紙で出力した請求書を取引先側でスキャンしPDFファイルにしたものも電磁的記録として扱える。ただしその場合、紙の原本を別に送ってもらわないように注意する。また、従来のスキャナ保存のように解像度の規定は適用されないため、例えばカラーで印刷された請求書をモノクロでスキャンしたPDFファイルだったとしても有効だ。さらに、請求書への押印については法的に不要だということも知っておきたい。PDFファイルの請求書が無印の場合、それが正しい取引先から送付されたものかどうかを確認するために、送信元へメールを送付して身元確認を行うといった社内基準を設けることも一策だ。なお、事務処理規定は、国税庁のサンプルを参考にしながら「対象となる従業員の適用範囲」「電磁的記録の対象データ」「請求書や領収書の保存場所」「管理責任者(役職名)」などを記載するとよい。

 このように令和3年度電子帳簿保存法改正では、PDFファイルの請求書を印刷して保存できなくなるため、タイムスタンプを付与しない場合は社内に事務処理規定を作成したうえで、検索機能を備えた保存場所を用意しなければならない。同時に施行される新しいスキャナ保存制度への対応も視野に入れながら、タイムスタンプの付与も可能なConcur Invoiceによる運用を始めてみてはいかがだろうか。

 

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