エプソン販売様、横浜ゴム様登壇!担当者だからこそ話せる、Concur Expenseによる電子帳簿保存方法対応と開始数ヶ月の運用状況について

SAP Concur Japan |
電子帳簿保存法に対応して、Concur Expense を用いた領収書電子化を進める企業が急増している。ここでは、最も早い時期に導入を果たした横浜ゴム株式会社様(以下、横浜ゴム)、エプソン販売株式会社様(以下、エプソン販売)に、運用から数ヶ月を経た今、実状や留意点について語っていただいた。
※横浜ゴム様の電子帳簿保存法対応の詳細は事例リーフレットにてご覧いただけます。

ご登壇者紹介

横浜ゴム株式会社
経理部 税務グループ
飯田 純也 氏

エプソン販売株式会社
オフィスサービスユニット 経理課
佐藤 正和 氏

企業の状況に合わせた領収書電子化の推進が鍵

―電子帳簿保存法(電帳法)に対応した領収書の電子化について、導入規模や対象者についてお聞かせください。

飯田氏 横浜ゴムでは領収書の電子化を、まず経理部、IT企画部、MD推進室の3部署、計40名に絞って実施しました。当初は本社の管理部門、営業などへの導入も検討しましたが、電帳法の参考事例がほとんどない時期であったため、スモールスタートで開始することにしました。検討を始めたのは2017年の1月、本格運用は同年12月でした。今後、2018年7月に本社の管理部門200名、さらに12月には本社勤務全員の600名を対象に領収書電子化を進める予定です。

佐藤氏 エプソン販売では2016年から領収書の電子化を検討していましたが、本格的に多部署を含めた議論をしたのは2017年7月からです。2018年1月に申請し、5月から本格的に稼働させました。利用しているのはほぼ全社員の1700名です。その内、約半数の800名が外回りの営業担当です。

―電子化の対象とした領収書もそれぞれ違いますよね。対象を限定した理由などもあれば教えてください。

飯田氏 横浜ゴムでは、すべての領収書を対象としました。これから領収書電子化を実施する本社でも同様です。

佐藤氏 エプソン販売の場合はコーポレートカードで支払った領収書のみを対象としています。昨年開催された「Concur Fusion Exchange 2017 Tokyo」の日立建機様の事例で、コーポレートカードの領収書のみを電子化の対象にしているとお話されていたのをヒントにしました。当社では経費精算の約9割がコーポレートカードの支払いによるものです。またコーポレートカードなら紙の領収書の破棄がしやすいことが決め手になりました。これなら、経理部門が領収書を回収し、定期検査を実施する必要もなく、領収書を受領した本人が廃棄することができます。

Point! 1
コーポレートカードでの決済の場合、デジタルデータの利用明細がカード会社からConcur Expenseに届きます。この利用明細と領収書画像を対にして保管すれば、紙の領収書の定期検査(無作為抜き取り調査=ランダムチェック)は不要になり、上長が承認した時点で、紙の領収書を廃棄できます。
[参考]「クレジットカード利用明細を活用して、紙の領収書の廃棄を簡略化しよう!」


―領収書電子化に使用されているデバイスについて教えてください。​

佐藤氏 当社では営業とマーケティングなど外出の多い部署にはスマホを支給しています。機種もiPhoneに統一しています。また、複合機も併用しています。

飯田氏 私用のスマートフォンを使っています。社員個人のスマホだと機種やバージョンの違いがあることが懸念事項でした。セキュリティ的な観点では、特に社内ルールを変更していません。Concur Mobileアプリで経費精算を行えば、セキュリティ的にも問題ないという認識です。あと当社も複合機も併用しています。

国税局への事前相談で申請時にトラブル無し!

―経営層は領収書電子化をどうお考えでしたか?

飯田氏 数値目標などを求められることはなく、電子化にメリットがあることは明らかなので、早く導入してほしい、と促されました。最大の目標・メリットは労働時間の短縮です。Concur Expenseの導入時もそうでしたが、領収書の電子化が業務効率化になり、労働時間短縮につながることは明らかでした。

佐藤氏 根本的なことから申し上げますと、当社にとっての最大のターニングポイントは、電帳法対応(領収書の電子化)を導入するかどうかの意思決定だったと思います。導入における投資対効果の検討に時間がかかっていました。この点で大きかったのは、国税庁が2016年9月に提示した法令解釈(POINT! 1 参照)です。当社では社員のコーポレートカードでの決済率が高いうえ、コーポレートカードに限定した運用も可能であることがわかり、これを機に一気に領収書電子化の方向に進みました。

―国税局への申請で、苦労した点はありますか?

飯田氏 国税局には二度、事前相談に行きました。また、申請後に国税局のご担当者様が来社され実地調査が行われました。まだ領収書電子化の例が少ない頃だったため、電帳法担当の方もまだ手探りのような状態だったかもしれませんね。電子化に使用するConcur Expenseはどのようなものですか、画面を見せてください、と聞かれたり、事務処理フローを一通り説明したりしたくらいで、厳しい質問はありませんでした。やはり事前相談の段階で申請書の記載内容の確認などをしてもらいましたので、スムーズに進みました。

佐藤氏 当社も国税局へは事前相談で足を運びました。当社が申請準備を行っていた時には、 Concur Expenseについてはある程度ご存知だったようです。1月末に申請書を提出し、その後、国税局の電帳法担当の方が当社まで来訪されたこともありましたが、事前に電話でどんなことを尋ねられるのかを教えていただきましたし、問題なく進められました。

Point! 2
管轄の国税局、税務署には申請前に相談に行くことをお勧めします。事務処理フローなど、申請に必要な書類の不備は、申請前に修正しておけば、申請期間の3カ月は社員へのトレーニングなど、電子化の準備期間として、有益に時間を使うことができます。

 隙間時間の活用が、働き方を変える

─電帳法対応による領収書電子化の効果について教えてください。

飯田氏 効果は期待通りでした。当初の3部門40名において領収書の貼付の時間を月1時間、整理・保管で月0.5時間を削減できました。これを全社規模・年間で考えますと、1500時間の労働時間削減になります。

佐藤氏 エプソン販売でも年間2000時間の削減になりますから、丸々社員一人分の作業時間は節約できたことになります。

飯田氏 時間削減だけでなく、隙間時間を利用できるという定性的効果も大きいですね。作業の場所を選ばないから、今まで無駄になっていた待ち時間などに作業ができます。

佐藤氏 スマホ効果ですね。当社では全社員の約半数が営業で、スマホが支給されています。その利用を想定しての導入でしたが、目指した通りの効果になりました。

もう一つ、定性的な効果としてガバナンスがあると思います。国税庁から、ガバナンスがしっかりしている良好法人とみなされると、国税当局からの調査頻度が減るなどのメリットがあります。

また、紙の領収書は紛失するリスクもあります。本社移転の際、保管していた紙の領収書が紛失したかもしれない・・・とヒヤリとしたことがありました。そういうリスクが回避できるのも電子化のメリットではないでしょうか。

─今後、領収書自体がPDFなど電子化された形で発行されることも増えてくると思います。これについてはどのようにお考えですか。

飯田氏 電子データで得た領収書は電子データのままで扱ってくださいとお願いしていますが、領収書を電子データで受領することを推奨するまでには至っていません。しかし作業、紙の量を減らす点でも今後そうなっていくと思います。

佐藤氏 当社も安定稼働後は領収書を電子データでもらうよう、推奨していきたいと思います。知見を蓄積しながら、領収書電子化の効果を高めていきたいですね。

Point! 3
電子データで受領した領収書は、基本的にはそのままで保存することが義務化されています。そのため、PDFファイルで受領したものは、その状態でシステム上に保存する必要があります。またそのシステムは、関係書類の備付け、見読性の確保、検索機能の確保の3つの要件を満たしている必要があります。
[参考] 電子帳簿保存法・スキャナ保存対応 ポイント解説「電子領収書はどのように取り扱えばいいか?」

 ─領収書の電子化を初めて、社員の質問はどういったものが多いですか。

佐藤氏 「3日以内に領収書にフルネームで署名をする」ということが法的要件ということもあり、失敗すると何か罰則があるのではないか?と社員が不安になり、問い合わせがくるというケースが少なくありません。

飯田氏 やはり3日以内に署名というルールは、まだ徹底が難しいところです。2017年6月に国税庁から出された新通達を利用して、電子化を推進していきたいと考えています

Point! 4
受領後3日を過ぎた領収書の電子化について、2017年6月21日に国税庁より新たな通達が示され、領収書受領者以外の者による紙の領収書と画像の確認が行える体制であれば、3日以内ではなく、最大1か月+1週間以内(業務処理サイクル方式に沿った場合)にタイムスタンプを付与してもよい、つまり領収書受領者本人がスマートフォンで領収書を撮影し、電子化することが可能です。
[参考] 電子帳簿保存法の新通達:相互けん制ができれば、3日過ぎても領収書受領者本人が電子化してOK!自署も不要に

佐藤氏 当社も、申請してから運用までの3ヶ月の間にトライアルを繰り返すことで社内での理解度を判断し、重要なところで通知をしながら進めるやり方をしました。今後も周知徹底していきたいと考えています。

本セッションにご参加いただいた、横浜ゴム様の電子帳簿保存法対応の詳細は事例リーフレットにてご覧いただけます。

領収書電子化をするための手順や注意事項をまとめた領収書電子化完全ガイド税務署申請書類の記入例もダウンロード可能です。
是非貴社の領収書電子化にお役立てください。
コンカー製品に関するお問い合わせはこちらからご連絡ください。