お客様に実体験を伺いました!Concur Expenseによる電子帳簿保存法対応の検討と申請の実際

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Concur Expenseの改正電子帳簿保存法対応が始まり、実際に社内検討、税務署への申請を行う企業が増えている。Concur Expenseをご利用のお客様である日立建機株式会社様(以下、日立建機)、ネットワンシステムズ株式会社様(以下、ネットワンシステムズ)のご担当者2名に、改正電子帳簿保存法対応に向けての現在の取り組み、領収書電子化の効果、申請時のポイントなどについて、現場のリアルな意見を交えながらお話いただいた。


本パネルセッションの様子は、期間限定でConcur Fusion Exchange Replayにて、オンデマンドでご覧いただけます。(2018年2月末まで)

ご登壇者紹介

日立建機株式会社
財務本部財務部 資金管理センタ長
赤間 敏 氏


建設・土木工事現場から鉄鋼・製鉄、林業、環境リサイクルなどあらゆる現場で活躍する製品を製造・販売している日立建機株式会社。全国260カ所に拠点を持つ。Concur Expenseを導入して3年目になる。

ネットワンシステムズ株式会社
財務経理部 部長
青山 純一 氏

ネットワンズシステム株式会社は、ネットワーク・コンピューティングのキーカンパニーとして、民間企業から学校、官公庁、自治体などあらゆる業種の事業基盤構築を支える独立系システムインテグレータ。Concur Expenseは2年前から導入。従業員、財務経理部門の両サイドで効率化が進み、期待通りの成果が得られている。

電子帳簿保存法対応に向けて現在の取り組みについて

―電子帳簿保存法対応の概要についてお聞かせください。

青山氏 ネットワンシステムズは、Concur Expenseを導入して2年目となります。導入の目的は電子帳簿保存法対応への取り組みをトライアルで始めるためです。従業員が受領するすべての領収書を対象とし、当社の東北支店の営業と技術といったフロントメンバー約30名からスタートしました。実際に運用した結果をフィードバックし課題や効果を検証しています。

赤間氏 日立建機がConcur Expenseを導入して3年目になりますが、最終着地点は領収書の電子化保存でした。全国約260か所の拠点からの領収書輸送コストなどを削減するため、まずはグループ会社の従業員約3,000名を対象にしています。また、領収書破棄のプロセスが簡単なコーポレートカードで支払った領収書を対象としました。

Point!
コーポレートカードを利用した決済の場合、利用明細と領収書画像(タイムスタンプ付)を紐づけて保管・管理する場合、紙の領収書の定期検査(ランダムチェック)は不要、上長の承認後に紙の領収書の廃棄が可能となります。
[参考]「クレジットカード利用明細を活用して、紙の領収書の廃棄を簡略化しよう!」


―領収書電子化に用いるデバイスは何にされましたか。

青山氏 メインはスマートフォンですが、一部「ガラケー」と言われる旧来の携帯を使っているメンバーもいるため、複合機も許可しています。

赤間氏 日立建機でも領収書受領者本人がスマートフォンで電子化することをメインにしているのですが、撮影画像に不備があったり、撮影し忘れてしまった場合、複合機で代理人がスキャンするようにしています。

―領収書を電子化し電子帳簿保存法に対応することで、どのような効果を期待していますか?

赤間氏 先ほどもお話した通り、全国に多くの拠点が点在しているため、領収書電子化により紙の領収書の郵送コストの大幅な削減が見込めることに加え、保管コストを軽減できます。また、事業場外に行く頻度の高い営業は非常に多忙であり、スマートフォンでの電子化は経費精算をする側、承認する側の双方で効率化が見込めます。実際、領収書電子化の効果が出てきており、将来的に期待できるという社内コンセンサスが得られたことで本格的な検討に入っています。

青山氏 領収書電子化の狙いは営業の間接業務の工数を削減するために、いかに経費精算を簡単に済ませることができるかでした。トライアル前、領収書を紙ベースで処理していたとき、営業は台紙を印刷し、そこに領収書を糊付けして財務経理に提出していました。長期出張やお客様対応で外出が多くなるときでも事務所に戻らないと台紙を印刷できず、領収書を糊付けする作業も煩雑でした。
トライアル後、営業がスマートフォンで撮影した領収書が立替経費精算の業務フローを流れています。営業は紙の領収書を領収書BOXに入れるだけとなり、糊付けする手間から解放されました。また月に1回領収書を回収し、サンプルを無作為に抜き出して画像と突合し問題がなければ領収書を破棄しています。営業から非常に好評で、生産性向上の観点からも狙い通りです。

―受領者本人が電子化する場合、受領日の翌日から起算して3日以内にタイムスタンプを付与しなければなりません。どう対応されていますか?

復習
スマートフォンを使って領収書受領者本人が電子化をするための要件は以下のとおりです。
  1. 領収書に自署(フルネーム)する
  2. 388万画素以上で撮影する(スマートフォンで撮影する)
  3. 受領日翌日から3日以内に電子化(撮影 + タイムスタンプ付与)を完了する


青山氏 3日以内に領収書を電子化しないといけないという点については反発がありましたが、領収書電子化のメリットを説明した上で理解してもらいました。月末に糊付けをするのと、写真を撮るのと、どちらが楽か。一回やってもらえばすぐに理解してもらえるとも思いました。最後はネットワンシステムズを代表してトライアルに取り組もうという支店長のリーダーシップが後押しとなりました。

赤間氏 自署についてはトレーニングを行いましたし、社員にはスマートフォンを支給されているため388万画素以上の撮影も問題ありませんでした。ただ、多忙な営業が多い中、3日以内に領収書を電子化するということは難しいのではないかと、スタッフの間でも危惧する声が多くありました。3日以内に対応できなかったときには最大1ケ月+1週間以内まで領収書を電子化できる「業務処理サイクル方式」で対応しています。

Point!
領収書の電子化は「早期入力方式」「業務処理サイクル方式」「領収書受領者本人が電子化する場合の特例方式(特に速やかに行う方式)」の3種類があります。
会社の運用に応じて、どの方式で電子化を行うかを決定します。また、方式を組み合わせても問題ありません。
[参考] 電子帳簿保存法はこう活用する!領収書電子化ガイド 第3回「領収書を電子化するための方式と日数制限」

 

Point!
受領後3日を過ぎた領収書の電子化について、2017年6月21日に国税庁より新たな通達が示され、領収書受領者以外の者による紙の領収書と画像の確認が行える体制であれば、3日以内ではなく、最大1か月+1週間以内(業務処理サイクル方式に沿った場合)にタイムスタンプを付与してもよい、つまり領収書受領者本人がスマートフォンで領収書を撮影し、電子化することが可能です。
[参考] 電子帳簿保存法の新通達:相互けん制ができれば、3日過ぎても領収書受領者本人が電子化してOK!自署も不要に


―その他、何か苦労したポイントなどありますか?

赤間氏 法に基づく運用をするために、適正事務処理要件を整理して社内規程を作成する必要がありますが、国税庁が公開したサンプルは小規模な組織を対象とするもので、弊社での運用には合いませんでした。そこで法務部門にも支援を仰ぎ、詳細を記載した社内規程の整備を行いました。第三者的な立場の方にも意見をお伺いしようと、弊社の場合は国税局の担当官に依頼をしました。結果、わずかな修正のみでしたので、それを反映し、社内手続きをすすめ、規程制定に至っています。

税務当局に申請書を提出する際のポイント

―税務当局から申請時にどのようなことを聞かれましたか?

青山氏 ネットワンシステムズは東京国税局に2017年4月に申請書を提出しました。DPI数を見られるようにしてくださいと言われて非常に困りました。スマートフォンで撮影した場合、基本的にJPEGで保存されるため縦横のピクセル数をかけることで、電子帳簿保存法が求める388万画素というデータは比較的容易に示すことができます。複合機でスキャンニングして紙の領収書を読み込んでPDFファイルとして管理する場合、PDFファイルにはDPI数が表示されません。数名がガラケーを使用しているため、複合機を利用するしかなく、なかなか解決方法が見つからなかったのですが、コンカー社から複合機会社に問い合わせていただき、DPI数を見る方法をアドバイスいただきました。

赤間氏 日立建機のグループ会社は2017年1月下旬に関東信越国税局に申請書を提出したのですが、同国税局から2点ほど問い合わせがありました。1つ目は、グループ会社がコンカー社のシステムを使用するにあたって契約書があるのか。当時、日立建機グループ全体でコンカーシステムを使用する契約を締結していたので、それを提出しました。2つ目は、タイムスタンプの契約状況の確認で、どこのタイムスタンプのベンダーを利用しているのか。この質問には口頭でコンカー社が利用しているタイムスタンプベンダーを伝えました。ネットワンシステムズ様とは異なり、いずれもシステムの契約関係のことであり、電子化保存の業務運営に関わることではありませんでした。国税局によって質問するポイントも変わってくるのですね。

青山氏 実際に申請して思ったのは、書類を提出する前に国税局の担当の方にいろいろ相談をするべきだったということです。提出後に全く気にしていなかったことを指摘されると、その対応に追われてしまいます。質問に対して国税局の担当の方からはきちんとしたお答えがいただけますから、今後、申請をご検討されている企業の方には書類提出の前にご相談することをお薦めします。

Point!
国税局が担当となる企業では、申請前に調査官にご相談することをお勧めします。検討段階での抜け漏れを防ぐことができます。


今後の取り組みについて

―2018年上半期、Concur Invoiceに改正電子帳簿保存法の対応機能が追加されます。請求書の電子化についてはいかがですか?

青山氏 ネットワンシステムズでは既にConcur Invoiceを導入しています。請求書についても視野に入れ、検討したいと考えています。

赤間氏 日立建機でも、できれば対応したいと考えてります。ただ、請求書のサイズはA4を超えるケースも多々あります。A4を超えると紙の大きさ情報の保存も必要となってきたりしますので、その辺を踏まえての検討が必要だと考えています。

本パネルセッションの様子をConcur Fusion Exchange Replayにて、オンデマンドでご覧いただけます。
2018年2月末までの期間限定ですので、お見逃しなく!


領収書電子化をするための手順や注意事項をまとめた領収書電子化完全ガイド税務署申請書類の記入例もダウンロード可能です。
是非貴社の領収書電子化にお役立てください。
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