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【イベントレポート】最新情報!コンカーと自治体が共同で取り組む旅費・予算執行業務のDX化実証実験

SAP Concur Japan |

2023年6月21日から22日の2日間にわたり「SAP Concur Fusion Exchange 2023 ― Public Deep Drive」(主催:学校法人先端教育機構 事業構想大学院大学、株式会社先端教育事業)が開催されました。1日目のテーマは「デジタルは日本を救えるのか」。自治体業務のDX化の取り組みにスポットを当て、さまざまな事例やソリューションの紹介が行われました。今回の記事では、デジタル庁 統括官の村上 敬亮 氏、長野県 総務部総務事務課 担当係長 坪井 康徳 氏、三井住友カード株式会社 ビジネスマーケティング商品開発部長 松井 晃 氏によるご講演の内容を紹介します。

自治体における旅費・予算執行業務DX化に向けた機運

会の冒頭、コンカー シニアバイスプレジデント 常務執行役員 下野より、コンカーが複数の自治体において旅費精算・予算執行業務DX化の実証実験や研究を支援してきたことや、令和5年年度予算にコンカーの提案を組み入れてくださる自治体が出てきていること、そして令和6年度下期から国内にデータセンターを設置してISMAP登録することで、本格的に自治体への提案が可能になることを報告しました。
(自治体に関する詳細ページはこちら データセンター開設に関するプレスリリースはこちら

インタビューを受けるコンカー下野氏

 

デジタル情報により広がる地方創生の可能性―秋保町と三豊市の事例から―

デジタル庁 統括官の村上 敬亮 氏から基調講演をいただきました。基調講演のテーマは「デジタル⽥園都市プロジェクト(略称:デジ田プロジェクト)を考える」。デジタル情報を積極的に活用しながら地方創生を進めている秋保町(現在は仙台市と合併)と三豊市を事例に、他の自治体で地方創生を成功させるためのポイントについて、幅広い視点で考察をいただきました。

デジタル庁村上氏による講演

域外への情報発信が域内の理解を得る助けになる

まず村上氏が強調したのは「域外への情報発信を上手に行うこと」でした。取材を通して魅力的な形で域外に発信されるなど、第三者の目を借りるだけで地元の人たちに当事者意識が生まれるきっかけになることが、事例と共に紹介されました。

秋保町のケースでは、一部の地元の人たちが立ち上げた古民家レストラン事業の情報発信をきっかけに来訪者が急速に増えました。事業開始前の日帰り客が年間90万人程度だったところから、現在では160万人まで増え、さまざまな新しい事業が増えました。

三豊市では地元の人たちが取り組む宿泊体験事業が海外メディアに取り上げられ、これを契機に多くのメディアで波及的に紹介されて大きな集客力となりました。1つの事業がきっかけとなり、今ではさまざまな事業に波及して地域を巻き込んだ活性化が進んでいます。

大事なのは”関わり代”の多さ

地方創生では「地元の人」「よそ者」の二極化が起きやすいといわれていますが、さまざまな距離感の人が関われる余地、つまり「関わり代」があった方がうまくいきやすい、と村上氏はいいます。秋保町と三豊市に共通しているのは、さまざまな人が活動に参加できる拠点の存在だったそうです。

秋保町の場合は古民家を改修したカフェレストラン「アキウ舎」が拠点となりました。研修やさまざまなイベントの場として活用されています。さまざまな距離感の人が秋保町に関わりをもつ機会を提供しながら、全体的な機運が高まっていく場になっています。そして安定した集客力や人手不足の解消に寄与しています。

三豊市の場合は「瀬戸内ワークス(GATE)」が拠点になっています。仕事、住まい、コミュニティーのハブとして、域外の人が三豊市に関わるきっかけを提供する場所となり、プロジェクトの人手不足や新たな創業の機運を高める中心的な存在になっています。

地域のオーナーシップによる中核事業の育成

秋保町と三豊市に共通しているのは、地元の人々が自らオーナーシップをもって創業していくサイクルができている点であることが紹介されました。域外の資本に頼らず、地元の人たちが出資して地域資源を活用した事業を創出していくことが大切だといいます。

秋保町ではアキウ舎のカフェレストランから始まり、イベント、アウトドアツアー、農業体験など、さまざまな事業が行われ、商店やカフェが増えていくサイクルが生まれているそうです。観光と商業の一体開発が進んでいます。

三豊市では父母ヶ浜を活用した事業がきっかけとなり、地域食レストランや酒蔵などの事業が地元の人主導で展開されています。さらに浦島太郎伝説がある島で一棟貸しの宿「Urasihma Village」への共同出資が行われ、十分な収益を上げるまでに至っています。

徹底的なデータの裏付けが人を動かす

秋保町と三豊市の事例からわかることは、アイデアだけでなく徹底的なデータに基づくコンセプトが存在することだといいます。事業性の予測ができれば人が動きやすくなります。村上氏からは、こまめにデータを取って分析することで、事業を始める前に事業性の予想ができるようになった事例をご紹介いただきました。データに基づく議論ができるようになることで、「あるべき論」といった価値観と価値観のぶつかり合いを脱することができます。事例として取り上げた2つの自治体がうまくいっている要因はさまざまですが、データに基づく建設的な議論がしやすい環境を整えられている点が共通しています。

行政計画はデータに基づく総体的なインパクト評価を

データを活用して事業性を確認する上で、自治体側には特有の注意すべき点があるといいます。それは、短絡的にデータに左右されないということです。村上氏からは、アイデア単体で事業性が低くても、地域全体に高い波及効果を及ぼす場合がある事例をご紹介いただきました。

たとえば公共交通事業は、多くの自治体において事業性が低く取り組みにくい事業ですが、地域全体でみると公共交通事業の赤字幅よりも他の行政コストが削減される幅の方が大きい場合があるといいます。自治体が施策を検討する際にこうした総合的な視点でデータを活用し、評価する考え方が重要です。

最後に、村上氏から「多くの人が集まって事業が生まれ、データによるロジックとコンセプトのもとで事業性を計測し、最終的にはソーシャルインパクトを数字で評価することで、国の交付金に頼らず外部からのファイナンスを引っ張れる地域になってほしい」というメッセージをいただきました。

長野県における旅費・予算執行業務のDX化実証実験の結果紹介

長野県 総務部総務事務課 担当係長 坪井 康徳 氏とコンカー 公共営業本部 部長 福田から、長野県とコンカーが実施した実証実験の背景と内容、実施結果、そして今後システムを導入するにあたって庁内で調整が必要となるポイントについての共有が行われました。

長野県が抱えていた旅費・予算執行業務の課題

長野県では旅行命令から旅費精算までを1つのシステムで統合管理しています。移動経路が経済的かつ合理的であるかの審査、証拠書類照合などのプロセスを、職員が直接行ってきました。しかし人手不足のなかで、経済性や合理性に対する審査業務や証拠書類との照合業務に多くの工数が取られることが課題でした。

長野県総務部担当との共有会

長野県が抱えていた旅費・予算執行業務の課題

長野県では旅行命令から旅費精算までを1つのシステムで統合管理しています。移動経路が経済的かつ合理的であるかの審査、証拠書類照合などのプロセスを、職員が直接行ってきました。しかし人手不足のなかで、経済性や合理性に対する審査業務や証拠書類との照合業務に多くの工数が取られることが課題でした。

すでに民間では、旅費業務の効率化をさまざまなデジタルサービスを活用して実現しています。坪井氏は「行政と民間でそれほど大きな業務内容の違いはないはず」という考えからデジタルサービスを活用した業務効率化を行う検討を始めたそうです。一方で行政特有の守るべきポイントもあるため、実証実験という形で慎重に検討を進めることになりました。

実証実験の内容と結果

実証実験で論点となったのは「現行の経済的かつ合理的な旅行経路を厳格に追及する場合と簡素な運用ルールで評価した場合に有意な差が出るのか」という点でした。

今回の実証実験では、過去に精算審査が終わっている事例を用いました。電車や自家用車を利用した384件の旅費精算事例について、実際に承認された金額と、コンカーが採用する機能使って簡素なルールにより評価した金額との差異を比較しました。

実証実験の結果、384件のうち大半は誤差30円以内でした。全体でみると簡素なルールによる検証結果の方が170円高く、1件当たりに換算すると0.4円高い結果となりました。統計上はこれまでの厳格な審査と簡易なルールによる評価結果との間に、大きな差異は生まれないという結論に至りました。坪井氏からは実証実験結果を踏まえて、簡素なルールによる評価結果を経済的かつ合理的な経路と解釈して差し支えないのではないか、という考察を共有いただきました。

長野県の検証結果

庁内調整が今後必要となる事項

民間が採用しているような旅費・予算執行システムを導入するにあたって、さらに調整が必要になるポイントがあると坪井氏はいいます。それは「旅行命令と旅費精算を同一システムで連携しなければならないのか」という点です。具体的には旅行命令を精算システムに引き継ぐ必要があるのかということです。坪井氏によると、地方自治法上は一対で管理すべき要件はなく、条例や規則でも規定はないそうです。ただし、その点については関係部署等を交えた慎重な検討が必要になるとのことです。

他にも、転勤などで発生する特別な旅費の精算方法にどう対応するか、外部講師への費用弁償なども自治体特有の執行ルールがあるため、あわせて調整していく必要があると考えられます。

コンカーに期待すること

最後に坪井氏から、コンカーに対して不正防止やリスクコントロールの部分で引き続き情報共有を行ってほしい旨のご要望をいただきました。コンカーはいただいたご要望を踏まえ、既存機能である画像情報をテキストで読み取るOCR機能、電子請求書への対応、入力代行サービス、自動チェック機能などを含めたさまざまな仕組みを通じて、引き続き課題解決を支援してまいります。

三井住友カードとコンカーの戦略的業務提携により実現すること

三井住友カード株式会社 ビジネスマーケティング商品開発部長 松井 晃 氏から、三井住友カードが提供する法人カードとコンカーインボイスとの自動連係による入力作業の省力化について、ご紹介をいただきました。

最初に、法人カードの活用が地方自治法に抵触しないことや、期をまたぐ形の法人カード利用などについて、総務省によって整理が行われていることの紹介がありました。また支払いの一本化による業務効率化、支払い漏れの防止、不正防止に役立つなど、法人カードを活用することのメリットも紹介されました。

さらに、三井住友カードは法人カードデータを活用したCO2排出量算定ソリューションを本年リリース予定であること、使い切りのバーチャルカードナンバー機能を使えば、与信額を超えない予算利用を仕組み化できるといったガバナンス強化にも役立つサービスを展開していることの説明をいただきました。

三井住友カードより登壇者

予算執行業務の変革へ向けた実証実験のポイント

コンカー ディストリビューション統括本部 公共営業部 部長 長谷より、自治体の予算執行業務の変革に向けた実証実験について、コンカーの考え方や取り組みを紹介しました。

コンカー長谷氏による紹介

大切なのは現場の抵抗感・不信感を解消すること

いくら省力化されて便利になるといっても、長年手作業で取り組んできた現場では抵抗感があることがほとんどです。まずは影響の小さいところから、可能な範囲内で実証とディスカッションを繰り返すことを重視していることを説明しました。大切なのは関連部局や職員のコミュニケーションを活性化して方向性を一致させていくことであり、現場の合意形成を丁寧に行っていることについても触れました。

データに基づくコミュニケーションの実現

コンカーでは自治体におけるサービス導入にあたり、業務プロセスの見える化、GAP分析と課題整理、チェックの自動化率・効果測定などを行い、現場でデータを共有しています。これにより定量的な評価とコミュニケーション、意思決定が可能になることを紹介しました。

「SAP Concur Fusion Exchange 2023」1日目を終えて

ここで紹介した内容以外に、当日はさまざまな事例とそれに対応するソリューションが紹介され、非常に有意義で濃密な時間となりました。引き続きコンカーは、自治体様業務のDX化に向けて現場に寄り添ったソリューションとサポートを提供していきます。一緒に開催された、教育機関が対象の2日目のイベント内容についても別途レポートしています。あわせてご覧ください。

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