経理・総務の豆知識

経理テレワークの現状と課題

Asako Yoshida |

働き方改革の推進や、緊急時への対策といった様々な要請のなか、時間や場所に縛られない柔軟な働き方を可能にするテレワークへのニーズが高まっています。しかし、経理の現場からは「経理のテレワークは難しい」という声が多く聞こえてきます。今回は経理のテレワークはなぜ難しいのか?及び、その解決法について考察しました。

経理のテレワークに関してより詳しく知りたい方はこちら:

どうやって実現する?!経理・財務のためのテレワークガイド

経費精算のペーパーレス化でテレワークを始めよう

 

経理のテレワークが難しい理由と、導入のポイント

総務省が毎年実施している「通信利用動向調査 (企業編)」で は、国内企業におけるテレワーク導入状況の推移を公表しています。

それによると、2018年時点の導入率は19%ですが、2020年は47%を超え、テレワークが広がってきていることがわかります。ですが、すでにテレワークを導入している企業でも、会社にあるすべての業務をテレワークにしているわけではありません。実際に、国土交通省が2021年に行ったテレワーク人口実態調査で雇用型テレワーカーの職種を調べたところ、管理職、研究職、専門・技術職などの職種では50%を超える一方、販売やサービスといった職種では、数パーセントの実施率となっています。

専門・技術職であるSEやプログラマーなどITエンジニアにテレワーカーが多い理由は、パソコンで完結する業務が多く、1人で作業する部分が多いことが挙げられます。加えて、システムやプログラムという成果物や共有物があるため、業務の進捗を他のメンバーと共有しやすいこともポイントです。これは、ライターやデザイナーなどクリエイティブ職も同様です。

また、顧客対応が多い営業職もFace to Faceでの会話が好まれるため完全なテレワークは難しいとされてきましたが、調査によると、営業のテレワーカーの割合も50%を超えてきてることがわかりました。近年のウェブ会議システムの進化により、対面でないと営業できないという状況は解消されてきており、在宅でも成り立つ仕事になってきたことや、売上という目に見える形で仕事の成果を客観的に評価しやすいことも大きな要因です。

本来、経理業務などの事務職・バックオフィス部門は、有価証券報告書や決算短信といった書類作成など、会社のシステムに繋がる環境さえあればシステムからデータを抽出、集計・分析して行えるものが多く、テレワークしやすい職種と言えます。また、売上の増減や在庫情報の確認といった他部門とのコミュニケーションが必要な業務も、メールをはじめとしたコミュニケーションツールがあれば、オフィスと同様にクイックに行うこともできます。

しかし、経理をはじめとしたバックオフィス部門にあたる事務職でのテレワーカーの割合は30%程度と、それほどテレワークが浸透していません。経理のテレワーク導入が進まない原因はどこにあるのでしょうか?

 

経理のテレワーク化の最大のボトルネック、「紙」

確実に1つのポイントと いえるのが、「紙」の存在です。現在の経理の現場には、「紙」をベースとした業務プロセスが特に多く存在します。この紙の書類の記入や、受け渡しが必要な業務が、勤務場所をオフィスに 縛り付ける大きな要因になっているのです。 テレワークを推進するには、まず「紙」を「デジタル」に移行すること、すなわち 「ペーパーレス化」に取り組むことが前提になるといえるでしょう。

実際に、一般社団法人日本 CFO 協会(本部:東京都千代田区、理事⾧:藤田純孝、以下「日本 CFO 協会」)が実施した「新型コロナウイルスによる経理 財務業務への影響に関する調査」では、今年2~3月のテレワークの実施状況について、7%が「強制的に実施」、34%が「強制していないが強く推奨」、28%が「推奨しているがあまり実施せず」、26%が「実施も推奨もせず」、5%が「その他」という結果が出ています。

その中で、テレワークを実施または推奨した約 70%のうち、「テレワーク実施中に出社する必要が発生した」という回答は 41%でした。出社理由は「紙の書類の処理(請求書・証憑書類・押印手続・印刷)」「会議への参加」「打合せ」「銀行対応」などがあり、テレワークへの取り組みは広がったものの、自宅や社外では対応できない業務もまだ多いことが伺えます。

テレワークを実施できていない企業の最大のネックとして請求書や証憑などの紙の書類がデジタル化できていない(77%)という回答が最も多く、テレワークを実施している企業でも紙の書類のデジタル化に対応できている企業は 36%にとどまっており、紙文化からの脱却が不可欠であります。ペーパーレスによって解消できることを考えると、そうした課題解決のためには社内システムの導入など経理・財務業務のデジタル化への対応が急務と言えます。

 

ペーパーレス化の推進に向けて 採用すべきアプローチ

経理・財務業務のデジタル化について、おすすめしたいのが 「経費精算」「請求書管理」といった業務をクラウド化するアプローチです。

たとえば、現在の経費精算業務では、社員が立て替えた交通費や出張 旅費、交際費、消耗品購入費などの内容をExcelに入力して申請書を作成。申請書を印刷して領収書を貼付し、それを以て申請するという非常に煩雑な流れが一般的ですが、クラウドシステムを導入することによって、クラウド上での申請・承認が可能となります。経理部門や各部署に届く請求書も、現在ならば原本を受け取りデータ入力、ファイリング等をする必要がありますが、電子データで受け取りを行えば、原本での受け取り・管理をする必要もありません

ペーパーレス化によってウェブ上で承認が完結すれば、どこで承認が止まっているのかも簡単に把握でき、効率化を図れるほか、紙の書類の持ち出しや紛失なども回避でき、内部統制にもつながります。 場所や時間を選ばずに情報を共有できるため、データ化することで二次的な活用が可能になります。

 

SAP Concur で経理のテレワークを実現しよう

経費精算のペーパレスを協力に支援「Concur Expense

Concur Expenseは、経費精算・管理を支援するソリューションとして、世界中の企業 に利用されているクラウドサービスです。従来、紙やExcelで処理していた経費精算を クラウド上で一元管理することで、業務のペーパーレス化を実現。社員と管理部門、 双方の作業負荷や管理コストを削減し、業務効率化を実現します。また、不正経費支出などを未然に防ぐチェック機能も搭載。企業のガバナンス強化にも貢献します。

クラウド上で請求書支払業務を一元化 「Concur Invoice

Concur Invoiceは消耗品・水道光熱費・外部サービス費などのサービス提供者からの請求書に基づいた 支払依頼、承認などの業務プロセスを自動化。管理コスト削減に大きな効果を発揮します。また、社内規程に合わせて申請・承認のルールを設定することにより、ガバナンスの強化にもつながります。

SAP Concurは、日本企業の生産性向上と経理財務業務のデジタル化をこれからも支援します。

テレワークを実現するためのガイドはこちら!

コンカー経理担当が実際にSAP Concurを使って在宅勤務をしましたのでそのフローやじっさいに取り組んでいる上での感想、注意点についても記載しています。ぜひご覧ください!

SAP Concurについて詳しく知りたい方はこちら!

※この記事は2020年4月に公開した記事を加筆したものです。

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