なぜ経理は月末になると経費精算を急かすのでしょう?- 経費に関する意外と知らないFAQ

経費精算に関してよく聞かれる質問とその回答をまとめたブログシリーズ、今回は経費精算を月末に急かされる理由がテーマです。

会社の経理部門は、月末になると経費精算を急かしてくることがありますね。これはなぜなのでしょうか。会社の規定で、経費精算の期日は決まっている場合が多いと思いますが、経理が期日までに経費精算をするように促すのには、何か理由があるのでしょうか。その回答について、詳しくみていきましょう。

 

質問:

なぜ会社の経理部門は、月末になると経費精算を急がすのでしょうか?

回答:

会社の毎月の利益をなるべく早めに確定させるため。会社の会計の決まり及び経営者が毎月の最新の会社の利益を把握できるよう、経費精算にもタイムリーさが必要とされます

解説:

会社の会計は、「発生主義」が原則になっています。この発生主義で会社の利益を確定させるためには、費用が発生した際にタイムリーに記録することが必要となってきます。

 

発生主義と現金主義とは?

では、この「発生主義」とは何でしょう?よく対立して挙げられる「現金主義」との違いを考えてみましょう。

「現金主義」とは、収益を現金の入金時に計上し、費用を現金の出金時に計上する会計処理の方法です。これに対し、「発生主義」とは、現金のやり取りに関係なく、収益と費用を取引が発生した事実に基づいて計上する会計処理の方法です。

例えば、4月1日から3月31日までを事業年度としている会社において、従業員がコーポレートカードで経費精算を行う場合を考えてみましょう。3月31日に交際費として飲食代をコーポレートカードで支払いました。この費用が実際に会社の銀行口座から引き落としされるのは、4月1日以降になるでしょう。現金主義の場合、実際、飲食が3月に行われたとしても、銀行から現金が引き落とされるまでは、費用を計上しないことになります。この会社は、3月31日が期末になりますので、現金主義の場合、実際に飲食が行われ3月31日が属する期に費用が計上されず、4月1日以降の翌期に費用が計上されてしまうことになります。そのため、会社の利益を正しく計算できない、ということになってしまいます。

 

期間を区切って、会社の利益を確定させる

このように、現金主義には利益計算における問題があるため、会社の会計は発生主義が原則となっています。上記の例では、発生主義の場合、銀行からの引き落としがいつであるのかに関わらず、実際に飲食が行われた3月31日に費用として計上されることになります。

4月1日から3月31日までを事業年度としている会社を例に見てきましたが、現代の会社においては、通常、1年を1期間と考えて区切っています。そのため、会社として、この1期間における利益を確定しなければなりません。利益を確定するということは、収益と費用を確定するということであり、当然、経費精算も確定しなければならないということになります。そのため、3月31日まで、つまり期末までの経費精算を確定させることが必要になるため、期末が非常に大事になってきます。

参考記事:経費精算の期限はいつまでできる?年や年度をまたいだ領収書を精算してもいい?

その月の経費はその月のうちに!​できない場合はシステムの検討も。

1年間は非常に長い期間なので、経営者は通常、月ごとの最新の状況を知りたいと考えるでしょう。毎月の利益を確定させるためには、やはり費用も毎月確定させなければならず、経費精算も毎月タイムリーに行う必要が出てきます。経理は、毎月末に様々な経理処理を行います。毎月の利益をなるべく早めに確定させるため、経理としては、月末までにその月の経費精算をなるべく早くしてもらえると助かるということになります。

このように、期末や月末までに、タイムリーな経費精算が必要とされる理由には、発生主義という会社の会計の方法が関わっており、会社の利益の確定に必要だからであるということが分かりました。タイムリーな経費精算ができなかったり期限を過ぎてしまったりする場合、経理部門の大きな負担となりますので、なるべく早めに経費精算を行うようにしましょう。なお、従業員がタイムリーに経費精算をしてくれない・できない場合、経費精算の方法が面倒・複雑な可能性があります。そのような場合は、SAP Concur のソリューションのような、簡単・スピーディーに経費精算が可能な仕組みが必要となってくるでしょう。

 

<著者プロフィール>

細田 聖子(ほそだ せいこ) 公認会計士・税理士
2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から香港留学。2003年から2008年まで、上海でOL、日本語教師等の中国勤務。2010年、公認会計士試験論文式試験合格。2012年より、中国深センの会計事務所等を経て上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。日本で治療をしながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月に独立し、フリーランスのライターとして執筆活動など様々な業務に従事。

  

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