【イベントレポート】コンカーを利用してあらゆるトラベルサービスにつながる!ファーストリテイリングの事例に見る最新ビジネストラベルマネジメント事情

2019年5月28日、東京・丸の内の東京ステーションホテルにて「Corporate Lodging Forum 2019」(主催:HRS Japan)が開催されました。ホテルのビジネストラベルマネジメントをテーマにしたこのイベントには、多くの企業の出張管理担当者が参加。トラベル業界のリーダーたちが交わす意見に耳を傾けていました。今回のブログ記事では、ビジネストラベルマネジメントの現状と今後の展開をテーマにして行われたパネルディスカッションの模様を紹介します。

Corporate Lodging Forum 2019で行われたパネルディスカッションの様子


サービス連携が始まったビジネストラベルマネジメント

ビジネストラベルマネジメントはいま、大きな変革期を迎えています。あらゆるプロバイダーのトラベルサービスが一つのプラットフォーム上で繋がり、社員により良い出張経験を提供しながら経費管理に必要な情報を入手できる ―― そんな世界が実現されようとしているのです。Corporate Lodging Forum 2019では、そんなビジネストラベルマネジメントの現状と今後の展開について話し合う「プロセスや各種サービスへのアクセスをシンプルにするために、サービスプロバイダーとどのように繋げていくのか?」と題するグループディスカッションが行われました。

[パネリスト]
安達 貴裕
株式会社ファーストリテイリング事業構造改革部 リーダー
佐久 光俊
ユナイテッド航空会社 法人・個人旅客営業部 統括部長
上原 達也
JapanTaxi株式会社 配車UX事業部 Passengersグループ Businessチームリーダー
瀧田 豪
メリディアン株式会社 ビジネスディベロップメント グローバルセールスエグゼクティブ
冨田 千恵
株式会社コンカー 事業開発本部 トラベル事業推進室 室長
川上 厚実(モデレーター)
HRS Japan株式会社 法人営業本部長


まずディスカッションの冒頭、株式会社コンカーの冨田千恵がネットワークを介して繋がり始めたトラベルサービスを取り巻く現状について、次のように述べました。
「1990年代に出張手配のWeb発注システムが出現、2000年代に航空券やホテルなどの予約システムがオンラインで繋がり始め、出張経費を一括精算するといったことまでは一般的になりました。それから繋がるサービスが少しずつ拡大し、今はクレジットカードの決済サービス、交通系ICカードの交通費精算、複合機で読み取った領収書データなども含め、コンカーが提供する一つのプラットフォームで管理できる状況になっています」(冨田)

ユナイテッド航空の佐久光俊氏からは、航空業界が早い時期から提供してきたサービスの紹介がありました。
「航空業界では古くから、GDS(Global Distribution System)という予約・発券システムを通じ、企業が業務渡航を支援してきました。現在は企業が利用するConcur Travelなどのプラットフォームを通じてもアクセスすることが可能です」(佐久氏)

実際にサービスプロバイダーをつないで利用する株式会社ファーストリテイリングの安達貴裕氏は、自社のビジネストラベルマネジメントについてこう説明します。
「当社は、グローバルの全拠点でConcur Expense、日本と米国でConcur Travelを経費精算と出張管理に利用しています。例えば航空券を手配する際には、Concur TravelからGDS経由でユナイテッド航空にアクセスし、予約・発券するといった使い方をしています」(安達氏)

工数削減と業務効率化を実現して時間を本業に振り向ける

このようにさまざまなトラベルサービスを連携しながら利用することにより、企業はどんなメリットが得られるのでしょうか。海外の付加価値税(VAT:Value Added Tax)の還付手続代行サービス事業を展開するメリディアン株式会社の瀧田豪氏は、業務にかける労力を最小限にするという効果が得られると話します。
「VATの還付手続を行うには、出張経費の請求書・領収書に記載されているVATの金額を国別に集計するという作業を行わなければなりません。それに対し、Concur ExpenseConcur Travelを利用すれば、出張経費に関するすべての記録が一つのプラットフォームにデータ連携されるため、トラベルマネージャーの負担は大幅に軽減されます」(瀧田氏)

タクシー配車アプリを提供するJapanTaxi株式会社の上原達也氏も、サービスの連携拡大が企業に大きなメリットをもたらすと考えています。
「一般的なタクシーレシートは日付と料金のみの記載に限られるため、行き先や用件は別途自己申告する必要がありました。タクシー配車サービスがそうしたプラットフォームに繋がれば、トラベルマネージャーはファクトデータを入手できるようになり、結果的に経費を最適化することが期待できます」(上原氏)

コンカーのプラットフォームを導入し、各種サービスを連携させたビジネストラベルマネジメントを行っているファーストリテイリングでもそうしたメリットを認識しており、例えばVAT還付手続については、実施に向けた準備を進めているそうです。
「サービスが連携することの最も重要なポイントは、ビジネストラベルマネジメントの工数削減と業務効率化を実現できるところにあります。従来、航空券やホテルの手配や経費精算は出張管理担当者、もしくは出張者本人が時間をかけて手作業で行っていました。そこには“見えないコスト”が発生していたわけです。それに対し、サービスを連携させたプラットフォームで一元管理が可能になると、今までかかっていた時間を本業に振り向けられます。これにより業務の生産性向上、ひいては働き方改革の実現といったメリットが得られると考えています」(安達氏)

ちなみにこうした企業にもたらすメリットは、プロバイダーにとって脅威になる部分もあるようです。
「サービス連携によるデータの可視化が進んだことで、すでにファーストリテイリングのような企業は、当社にとって手強い交渉相手になりつつあります(笑)」(佐久氏)

最終的に目指すのはデータ活用による経営課題の解決

今、トラベルサービスのデータ連携は物凄い勢いで加速しています。こうした動きについて、サービスプロバイダー各社は揃って歓迎の意を表します。ところがファーストリテイリングの安達氏は、サービス連携の拡大には賛成するものの、ユーザー企業の立場から不安もあると話します。
「今後はテクノロジーのさらなる進化によりAPIによるサービス連携が増え、コンカーのようなプラットフォームの利用も当たり前になっていくことでしょう。現時点では航空券やホテルの予約が中心ですが、タクシーなどの交通サービスも繋がる世界を一刻も早く実現してくれることを期待しています。しかし、サービス連携の拡大に伴ってコストがアップするのには反対します。単にデータを連携・可視化するだけのために、多大なコストをかけたくないというのが本音です。コストをかけるべきなのはあくまでも経営課題の解決策を発見すること、つまりデータを可視化したあとで何ができるかを探ることが本質だからです」(安達氏)

この意見に対してコンカーの冨田は理解を示しながらも、データの重要性を改めて訴えます。
「サービス連携の幅を広げることで、良質なファクトデータがタイムリーかつ安定的に得られるようになります。そうしたデータを分析して二次利用することで、例えば企業に求められる安全配慮義務などのコンプライアンスを遵守しながら危機管理・リスクマネージメントといった経営課題の解決に活用できます」(冨田)

そんなビジネストラベルマネジメントを最適化できるのが、コンカーのプラットフォームです。
「コンカーが目指しているのは、あらゆるサービスがAPIエコノミーによって連携・集約したオープンなプラットフォームです。私たちのゴールは、出張旅費・交通費などのあらゆる経費精算をすることを『コンカーする』と呼んでもらうことです」(冨田)

【参考】なぜ今「ビジネストラベルマネジメント」が注目されるのか(リンク集)

第1回「海外出張の変遷とITの仕組み」
第2回「ITが変えた旅行会社の業務」
第3回「企業の出張経費削減の秘訣とは」
第4回「BTMがもたらす働き方改革」

調査レポート:コネクテッド・ジャーニー 今求められている出張管理の高度化とは

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