エプソン販売様事例:50%超の個人立替を約12%に。エプソン販売に学ぶコンプライアンスを強化する経費管理システム刷新の進め方

経費をガラス張りにすることで、コンプライアンス強化のほか、決裁者やユーザーの作業工数の削減、決裁のスピードアップなどの効果もありました。
また内部監査部門での詳細で高度な監査遂行にも役立っています

エプソン販売株式会社 販売推進本部 広報・宣伝部 課長(Concur 導入時 総務部 課長) 田中秀憲氏

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エプソン販売は、メーカーであるセイコーエプソンのグループ会社だ。日本全国に9支店、20営業所を展開し、エプソンブランドを中心とする情報関連製品を販売している。取扱商品はインクジェットプリンターをはじめ、スキャナー、プロジェクター、各種業務用システムなど多岐に渡る。同社は、高度な技術力と創造性から生み出された機器やシステムと、複雑に変化する市場とを結び、個人から大企業まで多種多様なユーザーのニーズに応えている。

経費精算におけるコンプライアンス強化に焦点

経費精算システム刷新目的は企業によって異なるが、エプソン販売が目指した主目的はコンプライアンス強化である。「2013年頃、いくつもの企業で不祥事が起こり、世間を騒がせたことがありました。こうした動向が引き金となって、一層のコンプライアンス強化を進めようという判断になり、経費精算においてもその流れで検討の指示が下りました」と、当時総務部で経費精算システムの刷新に携わった田中秀憲氏(現:広報・宣伝部)は振り返る。

同社では、そのために基本コンセプトを掲げることから始めた。それは「誰でも正しく、簡単に処理ができ、皆が確認しやすい仕組みを創る」ことだ。その内容は二つある。第一は、個人の立替をできる限り排し、会社請求処理にすること。第二は、システムの老朽化に対応し、接待交際費申請や決裁業務のワークフローを見直し、会社の管理部門のチェックを強化できる形に変えることである。
この基本コンセプトに基づき、同社では、遵法に沿った精算処理の確実性向上、実態把握のしやすさ、社員の負担軽減、の三つの目的を目指した。これらを具体化するための施策が、Concur Expense とそれと連携するコーポレートカードの導入である。

このときの経験から田中氏は、システム刷新を検討段階から具体的な実現へ進めるには、目的を絞ることが大切だと語る。「経費精算システムの刷新には経費削減、コンプライアンス強化、社員の利便性向上、老朽化したシステムへの対応など、いくつものメリットがあります。しかし、あれもこれもできるから導入しよう、という提案では、物事はなかなか進みません。検討・導入メンバーの考え方がばらばらになり、経営陣への説得力も弱くなるからです。重要なのは、“今回の目的は、コンプライアンス強化”とテーマを絞って打ち出すこと。すると検討・導入メンバーの意思が統一されますし、稟議などで経営陣から問われたときも、首尾一貫した明確な説明ができます」。

経費ワークフローの変革で経費申請や承認工数が激減

担当役員の強力な後押しと部門長のバックアップにより、社内稟議を無事通過し、プロジェクトを開始したのが2014年5月。まずは現状のリスク・問題点を把握するところから始めた。従来の経費精算ワークフローはシステムと原紙確認の二本立てであった。社員は経費をシステムに手入力し、入手した領収書を添付する経費精算報告書を印刷して決裁者(上司など)に提出。決裁者が報告書を目視確認したうえで、システムでの決裁と同時に捺印、保管する。こうして蓄積された経費精算報告書を、総務が年に二回、回収し、領収書原本の内容を目で確認していた。「従来のワークフローは手入力や目視確認が多く、ヒューマンエラーのリスクもありました。領収書、経費精算報告書などの書類には回覧時の紛失リスクもあります。そこで、Concur を導入し、ワークフローを大きく変えました」。

経費発生時には、コーポレートカード、新幹線予約のEX-ICカード、そして社用車での移動の多い営業にはETCカードの利用を徹底、さらに Concur に実装されている乗換案内を活用し、経費精算時の社員の手入力作業を省いた。一方で、利便性を高めた代わりに個人所有のクレジットカードの利用は禁止した。

Concur であれば、カード利用明細が自動で登録され明細データの改ざんもできないため、不正経費の防止ができる。また経費チェックは規程に従い自動的に行われるため、目視に頼らずにすむ。そして領収書の画像データを Concur に登録することにしたため、決裁者が紙の領収書を目視確認・捺印するプロセスは廃止され、スマホやタブレットによる外出先での承認も可能になった。このように承認手続きを簡略化、迅速化することで、決裁者の工数が削減、より詳細な内容まで確認する余裕も出て、経費承認の精度も向上したという。また承認時に不要となった領収書の原本は、経費精算の申請完了後に直接総務へ提出するようにしたことで、原本の紛失リスクも極小化した。

エプソン販売独自の特色としては、グループ企業で、航空券、鉄道、宿泊などの手配を行っているエプソン日新トラベルソリューションズ株式会社とのシステム連携がある。これも社員個人の精算ではなく、会社による請求にし、手配内容を Concur と連携することで、経費データ登録を自動化。会社側ではいつ、誰が、どこで、どういう経費を使ったか等の詳細情報の把握・分析が可能になった。

クラウドならではの短期導入を実現、稼働後の社内規程変更にも柔軟に対応

2014年7月25日に導入に着手、同10月6日に稼働開始した。約2.5カ月という短期間での導入である。「総務で導入プロジェクトに割ける人数は2人。そこで慣習や従来のシステムに合わせるのではなく、Concur の標準プロセスになるべく合わせるようにしました。設定のチューニングは稼働後に都度実施しました。クラウドならではのフレキシビリティは、社内規程や基準の変更にも簡単に対応でき、非常に役立っています」。稼働直後は多かった社員からの問い合わせも、2カ月過ぎた頃から急速に減った。一度使えばすぐに慣れるほど、操作性にも問題がなかったという。

導入時の配慮ではこのほか、社内インフラに起因したレスポンス遅延に対応するため、コンカー側にも協力を依頼しながら、ネットワーク環境のチューニングや個人端末のブラウザ更新などを実施、クラウドを使う環境へと整備することで大幅に改善した。

分析機能により経費がガラス張りとなり監査の高度化が進む

Concur 導入の効果は数字にもはっきりと現れている。Concur のBI機能を使うことで、細かい経費分析や分析速度の向上も実現できた。導入以前、全体の50%以上を占めていた個人立替は、2017年5月時点で11.6%に減少。個人の立替は、近隣の交通費、駐車場代など、コーポレートカードが使えない支払いのみとなった。また何に支払われているのかも詳細に分析が可能なため、例えばタクシー利用の多い部署の特定などもできるようになった。「経費精算の内容をシステム上でガラス張りにし、コンプライアンス強化を実現できたことはもちろん、決裁者の作業工数やユーザーの入力工数の削減、決裁のスピードアップなどの効果もありました。このほか内部監査部門から相談を受け、経路と金額のチェック、規程違反や証憑確認などの従来行っていた監査は Concur に任せ、内部監査部門では接待の同席者や、頻繁に使う業者の妥当性、過剰・過少申請の有無など、一歩踏み込んだ詳細で高度な監査を行うようにしました」。

その他、副次効果も生まれた。今まで経理、人事、総務では別々に経費を管理していたが、すべて Concur で一元管理できるため、経費処理業務を集約して一つの部署を設置し、更なる効率化に向けて業務自動化(RPA)による業務改革を推進することになった。そして業務効率化の一つでもある改正電子帳簿保存法適用による領収書の電子化も、現在対応中とのこと。エプソン販売は Concur導入を発端に、確実に変化している。

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