サステナビリティ

サステナビリティトランスフォーメーション(SX)を実現する方法とは?SXの基本と事例を解説

SAP Concur Japan |

「サステナビリティ」という言葉も、CMや報道でよく見るようになってきました。最近はそれに加えて、サステナビリティをうまく進めていくための「サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)」という言葉も注目されています。

これからの企業活動は企業の利益を追求するだけでなく、社会全体の持続可能性を考えていかなければなりません。でなければ、企業活動の舞台としての社会が成り立たなくなっていくでしょう。

ここでは、SXの概要、DX(Digital Transformation)やダイナミック・ケイパビリティとの関係、SXを実現するための手段、日本のSXの事例などを紹介します。

サステナビリティトランスフォーメーション(SX)とは

サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX:Sustainability Transformation)とは、それぞれの企業が持続可能な経営を行うだけでなく、社会全体への持続可能性も両立させるような経営に移行することです。

不確実性が高まる環境下で、企業としての経営方針や投資家との関係性を見直し、持続可能性を維持しながら企業価値を向上させていくことを目指し、サステナビリティを重視した経営に移行していきます。

サステナビリティについてはサステナビリティに関する特設ページ、もしくはブログ「サステナビリティとは?企業としてのメリットや取り組み事例を解説」をご覧ください。

経済産業省のレポートでは、SXは次のように定義されています。

「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」とは、社会のサステナビリティと企業のサステナビリティを「同期化」させていくこと、及びそのために必要な経営・事業変革(トランスフォーメーション)を指す。」

引用元:伊藤レポート 3.0(SX 版伊藤レポート)|経済産業省

SXに必要な2つのサステナビリティ

サステナビリティには、「企業のサステナビリティ」と「社会のサステナビリティ」の2つがあります。

企業が競争力を維持し、成長していくには企業のサステナビリティが必要です。また、地球環境の悪化を防いで人間の住める環境を維持するには、社会のサステナビリティが必要になります。どちらか片方だけでは、循環がうまくいかず行き詰まってしまうのです。そのため、この2つを両立させていくことが重要になります。

2つのサステナビリティの相互補完関係を図で示します。
伊藤レポート3.0

引用元:伊藤レポート 3.0(SX 版伊藤レポート)|経済産業省

上の図に示される、2つのサステナビリティの関係性について説明します。

企業活動が社会に与える影響は大きく、「社会のサステナビリティ」実現にも大きく貢献します。
従来、企業は基本的に自社の利益を追求するものでした。しかし、企業が競争力を維持して長期的に生き残っていくには、社会のサステナビリティが欠かせません。企業は自社を取り巻く環境や顧客、社員などの「社会のサステナビリティ」のなかで経営されているからです。

また、企業が「社会のサステナビリティ」に貢献することは企業のイメージアップになり、競争力強化にもつながります。つまり、企業がサステナビリティを追求することは、利益の追求やビジネスの成長にもつながるのです。

そこで、企業のサステナビリティとして次のような取り組みが行われています。

  • 企業として「稼ぐ力」を維持・強化することで、中長期的な視点で企業価値を高める
  • サーキュラーエコノミーを推進していく
  • 社会のサステナビリティを企業経営の理念に反映する
  • 社会のサステナビリティ維持に関わっている企業であることを、ステークホルダーや社会に発信していく

サーキュラーエコノミーの実現

このように、企業のサステナビリティを実現することで、社会のサステナビリティも実現されていきます。企業のサステナビリティと社会のサステナビリティの追求が両立することで、社会がうまく循環していくのです。これを「サーキュラーエコノミー」と言います。

SXとDXの違い

SXを実現するには、同時にDXを推進することも必要です。DXとは、IT技術を用いながら業務や企業組織を改革し、新しい価値を消費者に提供し、企業の競争優位性を確立していく、企業が生き残るための取り組みを指します。

DXの推進には業務効率化や業務フローの改革が含まれますが、これらは省エネルギーにつながり、SXを実現するためにも欠かせないものです。つまり、DXを推進することがSXの推進にもなります。

企業にとっては、DXを推進することで短期・中期的な利益が実現可能です。また、DXにより顧客に新しい価値を提供し、さらに同時にSXを推進することで、より長く、中長期的な利益向上につなげることができます。

SXとGXの違い

SXと似た概念に、GX(Green Transformation)というものもあります。GXとは、脱炭素と経済活性化を同時に実現するよう取り組み、経済や社会の仕組みを変革していくことです。SXの一部と言ってよいでしょう。

多くの企業や省庁では、GX推進のため、カーボンニュートラル実現への取り組みが行われています。GXの推進は、温暖化の進行による環境破壊を止め、持続可能な成長に向けて必要とされるものです。

SXが注目される背景

このように近年になりSXが注目されているのには、次のような背景があります。

現在は世界中で資源の過剰搾取、大量生産・大量消費・大量廃棄、その他人類のさまざまな活動による地球環境の破壊が進み、その対応が急務となっています。地球温暖化、大気や土壌・水質の汚染、頻繁に起こる異常気象などが兆候として発生しているためです。

このままでは、これまでのような経済活動や人類の生活ができなくなるところまで来ています。そのため、企業も環境の維持・保護活動を行い、企業活動そのものを持続可能なものに変えていく必要があるでしょう。

このような環境保全の考えが広まるなかで、SXの認知度も高まってきました。しかし、企業の取り組みが広く行われているとは言えません。理由は以下の通りです。

  • SXの必要性・重要性を理解していない経営層がまだ多い
  • 企業としてどのようにSXに取り組めばいいのかわからない
  • SXの推進は経済成長と逆行する、成長を阻むという誤解が残っている

SXの実現にはダイナミック・ケイパビリティが必要

それでは、SXを実現するにはどのように取り組めばよいのでしょうか。SXを実現するには、SXに対する企業の積極的な取り組みやDX(Digital Transformation)の推進が重要になります。そこで必要とされるのがダイナミック・ケイパビリティです。

ダイナミック・ケイパビリティとは

ダイナミック・ケイパビリティとは、変化に柔軟に対応し、企業を変革していく力のことです。経済産業省では次のように定義されています。

「ダイナミック・ケイパビリティとは、環境や状況が激しく変化する中で、企業が、その変化に対応して自己を変革する能力のことである。

引用元:第1部第1章第2節 不確実性の高まる世界の現状と競争力強化|2020年版ものづくり白書|METI/経済産業省

具体的には、次の3つの能力を指します。

「感知(センシング):脅威や危機を感知する能力

捕捉(シージング):機会を捉え、既存の資産・知識・技術を再構成して競争力を獲得する能力

変容(トランスフォーミング):競争力を持続的なものにするために、組織全体を刷新し、変容する能力」

引用元:第1部第1章第2節 不確実性の高まる世界の現状と競争力強化|2020年版ものづくり白書|METI/経済産業省

なぜSXの推進にダイナミック・ケイパビリティが必要なのか

ダイナミック・ケイパビリティを高めることで、ビジネス環境の変化に柔軟に対応し、臨機応変に企業を変革していくことができます。これは抜本的な改革(トランスフォーメーション)に必要な能力です。そのため、SXやDXの推進にはダイナミック・ケイパビリティが重要とされています。

SXへの取り組みの事例

具体的にSXを理解するために、SXの事例を2つ紹介します。

ジャパン・サーキュラー・エコノミー・パートナーシップ(J-CEP)

J-CEPは、持続可能な社会の実現を目指した産官学民連携の新事業共創プラットフォームです。多くの企業、省庁、大学などが連携し、SXを実現するプロジェクトに取り組んでいます。

神戸市や北九州市で、プラスチック資源の回収や循環リサイクル/水平リサイクルに関するプロジェクトを行っています。

J-CEP|日本のサーキュラーエコノミーを牽引する

コンカー本社(米国)で出張時の移動をグリーン化

コンカーが米国の出張者1,000人を対象に行った調査によると、より環境に優しいホテルに滞在することや公共機関を利用することなど、出張時の環境影響を考慮する従業員が個人旅行の場合より多いことが分かりました。

そこで、出張経費管理「Concur Travel & Expense」を提供するコンカーでは、IT技術を利用して持続可能な出張を助けています。例えば、出張の際に環境に優しいホテルを推奨するといったツールの提供を行っています。

調査の詳細は「ビジネストラベラーのグリーン化」をご覧ください。

SXの実現には企業の積極的な参加が重要

中小企業のなかには、「SXやDXは大企業が主に取り組むもので、自社にはあまり関係がない」と考えている企業も多いかもしれません。しかし日本企業の多くは中小企業で、その影響は大きなものとなります。そのため、SXの推進は大企業よりもずっと数の多い、中小企業の協力が不可欠なのです。

現在、地球環境が大きく悪化し、すでに人々の生活に大きな影響を与え始めています。持続可能な社会、持続可能な経営活動への取り組みは、すぐにでも始めなくてはなりません。ただ、SXの推進が重要だとわかってはいても、どこから始めていいのかわからなくては、着手に踏み切れないでしょう。

そこで、まずは社内でできる取り組みから着手することをおすすめします。事例でも紹介したように、ペーパーレス化や出張のグリーン化など、企業規模にかかわらずできることは数多くあります。

これからSXへの取り組みを始めるのであれば、ぜひConcurにご相談ください。社内のペーパーレス化や出張のグリーン化などの実現に効果を発揮するツールをご用意しています。

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