棚卸、棚卸立会とは?準備は何が必要?

経費精算に関してよく聞かれる質問とその回答をまとめたブログシリーズ、今回は棚卸や棚卸に関する監査手続である棚卸立会がテーマです。

これから年度末に向け、棚卸を行う会社も多いと思います。棚卸とは、材料、製品、商品などの現物の数量と評価額を正確に確認する作業です。商品を販売しない会社でも、パソコンなどの固定資産、事務用品などの消耗品の棚卸は必要とされています。棚卸は重要な作業と言われていますが、何のために行うのでしょうか。また、棚卸の監査手続である棚卸立会とは何でしょうか。どんな準備が必要になるのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

 

質問:

棚卸とは何でしょうか?何のために行うのでしょうか。また、実地棚卸の監査手続である棚卸立会とは何でしょうか。どんな準備が必要になるのでしょうか。

回答:

棚卸は、保有する在庫などの資産を「棚から卸して」数え直し、帳簿の記録との間のズレを修正する一連の作業のことで、利益や資産を正確に計算するため、在庫管理の一環として行われます。会社が行う実地棚卸の現場に監査人が同席し、視察などを行うことを棚卸立会といいます。棚卸立会においては、在庫リストや棚卸実施要領などの資料の提出を求められるため、その準備が必要になるでしょう。

 

棚卸とは?

棚卸とは、利益を確定させるために資産を正確に計算し、保有する在庫などの資産を「棚から卸して」数え直し、帳簿の記録とのズレを修正する一連の作業のことです。本来は決算業務の一部となる作業ですが、実務上は在庫管理の一環として運用されることが多いでしょう。

在庫は、貸借対照表で勘定科目「棚卸資産」として表示されるもののことで、在庫(棚卸資産)には、商品・製品、仕掛品、原材料などが含まれます。以下で、商品を例に決算業務における棚卸の計算方法を見ていきましょう。

 

棚卸を行うことにより、下の式の「期末の在庫数量」が確定することになります。

当期の売上数量  当期期首在庫数量  期中仕入数量- 期末在庫数量

また、期末時点での数量が決定すれば、これに単価を乗じて期末棚卸高を算出できます。これにより、期末棚卸高が確定することになり、下の式により当期の売上原価を算出することができます。

売上原価  期首商品棚卸高  当期商品仕入高  期末商品棚卸高

棚卸の対象は、在庫だけではありません。「有形固定資産」も棚卸の対象になります。有形固定資産には、土地や自社ビルなどの建物、社用車、コピー機などのリース資産、PCやデスクなど、会社が保有する実体のある資産が含まれます。

また、棚卸資産と似た勘定科目に「貯蔵品」があります。この勘定科目には購入したものの、期末時点でまだ未使用である消耗品などが表示されます。棚卸資産と同じように、期末時点で未使用である消耗品が期末在庫として表示されます。しかしこれには例外があり、事務用品などの消耗品は、一定の要件を満たせば、使用していないものでも、貯蔵品とせずに消耗品費などの経費とすることが可能になります。

 

棚卸立会とは?必要な書類は?

実地棚卸とは、会社が保有している在庫を実際に目で見て現物を確かめ、その数量をカウントすることです。会社が行う実地棚卸の現場に監査人が同席し、その実施状況を視察、あるいは一部について実際に監査人自身がカウントすることによって、在庫数量の妥当性を確かめることを、棚卸立会といいます。実地棚卸の多くは期末日(年度末)に実地しますが、利益管理や在庫管理のために、期末日以外にも実施することがあります。

棚卸立会においては、会社側は監査人からいくつかの書類の提出を依頼されるでしょう。これは、会社の状況や実地棚卸の状況により異なりますが、「在庫リスト」を依頼されることが多いです。在庫リストの書類の形式は会社で使用しているものでかまいません。

その他には、「棚卸実施要領」があります。これは、棚卸作業の手順、留意点などが記載された書類のことです。また、在庫の「入庫伝票」、「出庫伝票」の提出も依頼されることがあるでしょう。また、棚卸立会の後日に依頼される可能性の高い書類としては、期末日(年度末)前後の仕入と出荷(入庫と出庫)に関する証憑書類と関連する会計伝票があります。これは、在庫に限りませんが、年度末の前後はミスや不正が起こりやすいため、年度末前後の会計処理には注意を払う必要があるからです。

実地棚卸をして正確な利益を計算していない場合、税務調査で指摘される可能性もあります。また、棚卸資産の「評価」も税務調査の対象となる可能性が高いので、注意が必要になるでしょう。

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まとめ

棚卸は、在庫管理の一環として、資産を正確に計算し利益を確定させるために行われるものです。棚卸の対象は商品などの在庫だけでなく、土地や建物、パソコンやデスクなどの有形固定資産も対象になります。重要な監査手続である棚卸立会においては、在庫リストなどの提出が必要になるでしょう。実地棚卸をして正確な利益を計算していない場合、税務調査で指摘される可能性もありますので、注意して行うようにしましょう。

<著者プロフィール>

細田 聖子(ほそだ せいこ) 公認会計士・税理士
2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から香港留学。2003年から2008年まで、上海でOL、日本語教師等の中国勤務。2010年、公認会計士試験論文式試験合格。2012年より、中国深センの会計事務所等を経て上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。日本で治療をしながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月に独立し、フリーランスのライターとして執筆活動など様々な業務に従事。

  

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