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【イベントレポート】鉄道業界情報交換会 in Tokyo -多種多様なグループ企業を包括する経費精算デザインとは

SAP Concur Japan |

2023年11月28日に「鉄道業界情報交換会 in Tokyo」(主催:株式会社コンカー)を開催し、鉄道業界16社34名様にご参加いただきました。当日は東急株式会社 財務戦略室 経理マネジメントグループ 課長 島田 龍之 氏にご登壇いただき、「年10万時間削減?グループ標準の次世代経費精算デザインとは」と題してご講演されました。続いて東急株式会社様、株式会社阪急阪神ビジネスアソシエイト様をパネリストとした座談会では、活発な意見交換が行われました。本ブログ記事では当日の様子をご紹介します。

【冒頭挨拶】バックオフィス業務の最適化・効率化・ガバナンス強化に向けた有益な時間をご提供したい

冒頭、株式会社コンカー ディストリビューション 統括本部 第一営業部長 簗瀬 太祐より開会挨拶をいたしました。

バックオフィス業務の最適化・効率化・ガバナンス強化という分野は、同じ業界内でも競争優位性や独自性をもたせる必要がありません。だからこそ競合他社でも良い点は真似して取り入れ、協力し合えることを説明しました。そして、参加者全員が業務のあるべき姿を目指す際のヒントを持ち帰ることができる有益な時間にしたい旨を述べました。

【事例講演】年10万時間削減?グループ標準の次世代経費精算デザインとは

東急株式会社島田様

すでにSAP Concurを導入いただいている、東急株式会社 財務戦略室 経理マネジメントグループ 課長 島田 龍之 氏より、経費精算業務のDX化の経緯、費用対効果の算定方法、導入方法、そして導入後の状況について事例講演をいただきました。

1.どうして導入したのか

最初に鉄道業界の特殊性について解説をいただきました。

それはグループ内の業種が多種多様だということです。鉄道、不動産、リテール、IT、ホテルなどさまざまな業種と会社組織があり、経費精算のバリエーションも多岐にわたります。
東急グループ(以下、東急)は、共通の経費精算システムを、構成企業120社へ一括で導入しました。かねてより会計システムの導入が進められており、その中に経費精算システムも付随していたそうです。しかし、付随する経費精算システムでは業務負荷を軽減できない、と考えられていました。そこで経費精算システムを切り出し、別で検討することになったということです。

SAP Concurを選んだ理由もご紹介いただきました。

1つ目は政府が進める規制緩和の中心的役割を担っていたため、安心できたこと、2つ目は多種多様な業種への導入実績があり、鉄道業界のような業態に対しても陳腐化しない価値を提供できると感じたことでした。
そしてSAP Concurが備える機能は、東急が導入時に掲げたビジョンにも合致していたということです。東急では「既存業務をデジタルに置き換える」のではなく「デジタル時代に合った業務設計を新たに行う」ことを大事にしました。実現に必要となってくる「振り切ったデジタル化」をサポートする機能が豊富に備わっており、導入の決め手になったそうです。

2. どうやって導入したのか

最初に、プロジェクトの前提を明確にされました。

それは「捨てる」「なんでもレス」が大事だということです。たとえば紙を電子化する程度なら、紙のままの方が業務は早く進むので効果は得られません。「今はこうしているから」というAS-ISの考え方ではなく、先に「本来こうあるべき」というTO-BEに向かう考え方を大事にされたということです。

東急様説明資料

陥りがちな課題もご紹介いただきました。

それは「すべてチェックしようとする」ことです。東急では、思い切って経理による全件チェックをなくし、BPOサービスの活用や事後のBIチェックによる確認で済ませるルールに変えました。これにより業務設計は非常にシンプルにできます。「全部見る経理の時代は終わり」と社内では発信しているそうです。

一方で不正防止のため、利用金額の見える化、同じルートで価格が違う時のアラート機能といった不正検知サービスを活用されています。上司が部下に問い合わせやすい環境を整備することで、「見られている」ことが社員に伝わるような工夫をされました。

東急様資料2

3. 導入した結果どうだったのか

あるべき世界観を大切にして「こうします。例外は基本なしです」とブレなかったことで、高い成熟度の業務改革を達成できているということです。

業務改革で必要不可欠となる、経理部門との連携についてもご紹介いただきました。

まずは経理の人たちに対して目指す世界観をしっかり説明して、理解してもらうことが大切です。その上で、これまで経理の人が受け持っていたリスク対策の再整理を進めたそうです。チェックしたい項目をすべて洗い出して、経費タイプでカバーするのか、監査ルールを変えるのか、BPOサービスを使うのか、BIツールで対応するのか、1つずつ振り分けていくことで経理の人も安心して協力できるようになったそうです。

東急様説明資料3

4. 結局どうなのか

導入後の社内評価を紹介いただきました。

全体的に好評で、とくに法人カードの自動連携、交通系ICカードとの連携が便利だという声が大きいそうです。交通系ICカードの連携機能は、使用履歴を一覧で出力し、業務で使った区間を選んで申請できる機能です。これにより申請時の経路検索といった手間が格段に減りました。一方で、一覧の出力と区間選択による申請は面倒くさい、という意見もありました。しかし使用内訳を隠すと不正の温床になるため、経理部門が安心するためにも必要で、バランスが取れた機能だと社内では捉えているそうです。

その他にもSAP Concurは、PayPayやタクシーアプリ、航空機予約アプリなどのキャッシュレス決済にも対応しています。こういった決済環境の変化に合わせて、自社でシステム開発をすると膨大な手間とコストがかかります。それに対して、コンカーに任せておけば先取りで実装するため、自社でシステムを開発する必要はなくなるのです。これは東急にとって非常にメリットがある、と評価をいただきました。

講演の最後に、参加者の皆様に対してメッセージを賜りました。

「DX化に携わって感じたのは、自分たちは次世代の業務デザインをしているということです。そもそも現行業務は、半世紀近く前に先人が設計した概念をいまだに使い続けています。しかし時代は変わっており、振り切って時代に合わせた業務設計をする必要があります。そして『経費』は会社支出の0.3%にしかすぎず、思い切った冒険をするのであれば、この分野以外にあり得ないのではないでしょうか。ぜひ鉄道業界で協力しながら、一丸となって進めていければと思います」

東急様資料4

【座談会】鉄道業界DX化における8つのポイント

鉄道情報交換会2

株式会社コンカー 簗瀬と高山がモデレーターを務め、パネリストとして東急株式会社 財務戦略室 経理マネジメントグループ 課長 島田 龍之 氏、株式会社阪急阪神ビジネスアソシエイト 阪急阪神ホールディングス グループ共通経理システムプロジェクトチーム(以下、阪急阪神) シニアマネージャー 杉本 順一 氏に、8つのテーマでお話を伺いました。ここでは活発な意見交換におけるパネリストの方々の回答を抜粋してご紹介します。

1. SAP Concur導入の検討背景は?

阪急阪神様
「経理業務の生産性向上を目的として、会計システムの更新に合わせて導入を検討するようになりました。私たちの場合は会計システムと同時並行で進めています」

東急様
「先にご紹介した通り、導入済みの会計システムがあり、そこで補完しきれない経費精算業務を効率化するという切り口からはじめました」

2. プロジェクトメンバー組成の勘所は?

阪急阪神様
「20代から30代の若手12名を中心に構成し、将来の経理変革やシステム更新を担えるリーダーを育成することを目指しました。グループ内のシステム会社からもメンバーを出してもらいました」

東急様
「私たちの場合は、計画外のプロジェクトだったので少人数でした。本体のメンバーが3名で、うち2名は兼務でした。足りない部分は外部メンバーに入ってもらいました。メンバー選定で重要視したのは目指す世界観へのコミットメント、そしてイニシアチブと決定力です」

3. グループ会社の賛同を得るために意識した所は?

阪急阪神様
「最初に影響力のある会社へ導入する計画にしました。たとえば鉄道会社本体です。グループ会社の大半は鉄道会社から派生した事業を担っているので、本体で生じる複雑な課題をクリアして運用する実績をつくることで、他の会社への展開が円滑に進むと考えました」

東急様
「関係者を巻き込むためのコミュニケーションを積極的に行いました。また、費用負担の在り方も工夫しました」

4. システム選定のポイントは?

阪急阪神様
「主に3つのポイントに共感しました。1つ目はビジョンへの共感です。業務改革で目指すべき目標を明示してくれて、達成した先の世界観が魅力的でした。2つ目はライセンス体系です。各個人の利用頻度が見えない中で、ライセンス単位の課金ではなかった点を評価しました。3つ目は連携サービスの充実です。決済アプリや法人クレジットカード、交通系ICカードとの連携をはじめ、常に業界をリードしてサービスの充実を図っている点が大きかったです」

東急様
「先の説明加えて、BPOサービスがあったのはSAP Concurを選択したポイントでした。また阪急阪神さんと同じく、決済環境の変化に追随しており、高額な開発費がかからない点が魅力でした」

5. プロジェクトにおいて目指す業務レベルは?

阪急阪神様
「現場で業務効率化が見えやすい部分から優先して取り掛かり、現場での実感や共感を成功体験として、より抜本的な業務改革を進めていきたいと考えています。」

東急様
「コンカーが示している項目ごとに目標を設定しています。現場が効果を実感しやすく現実的に実施できることが見通せる部分のレベルを優先して高めていっています」

6. プロジェクトの中の苦労した点は?

東急様
「これまで経理の人たちが、あうんの呼吸でやっていた業務がシステムに置き換わり、業務プロセスごとにルールをドキュメント化する作業は必要になります。そこにはかなりの労力がかかりました」

7. SAP Concur導入後の実感している効果は?

東急様
「社内アンケートの結果、社員の半数以上が業務効率化を実感しています。とくに7割以上が領収書添付・提出業務が効率化したと回答しています。法人カードによる立替金額の抑制、交通系ICカードの便利さ、上司の捺印不要な承認プロセスなどに、多くの前向きな意見が集まりました」

8. 運用定着の勘所は?

東急様
「PDCAで運用をチューニングしています。ルール設定が正しく運用されているか、ルールが厳しすぎてうまく運用できていないか、などをチェックして改善策を講じています。うまくいっていない所を吸い上げて設定に反映していくことは必須です。東急では社員からの問い合わせと、それに対する回答を記録して、定期的な打ち合わせでどのようにシステム設定、監査ルールなどに反映していくか対策を検討しています」

コンカーに対して今後期待すること

鉄道情報交換会3

各社様から次のように激励のお言葉をいただくことができました。

「機能改善やサポートの充実を続け、常にトップランナーであり続けてほしい」
「ユーザーが付いてくる形の正のスパイラルで、サービスを育てていってほしい」
「既存のマニュアルを見やすいように整備してほしい」
「多くの鉄道会社への導入を進め、必要な機能が実装されやすい環境作りを期待する」

コンカーはユーザーの皆様のご意見を受け止め、今後もサービスのレベルアップに取り組んで参ります。

最後に、この度ご参加いただいた各社の皆様、ありがとうございました。また、今回はご参加いただけなかったお客様も、今後も同様の会を開催したいと考えておりますので、ぜひご参加いただければと思います。

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