導入事例

【お客様事例】株式会社アドバンテスト様

SAP Concur Japan |

SAP Concurをご導入いただいたお客様の、検討中からのヒストリーを伺うインタビューシリーズ。今回は、SAP Concurを活用し、グローバル展開も進めていらっしゃる株式会社アドバンテストの天野様、黒河内様、シンガポール勤務のShen, Ying Mei様にお話を伺います。

コンカー:まず、簡単にアドバンテスト様のご紹介をさせていただきます。 
アドバンテスト様は、計測技術をコアテクノロジーとするテスト・ソリューションカンパニーです。主力製品となる半導体試験装置は世界最大手であり、海外売上高比率は9割を超えていらっしゃいます。「先端技術を先端で支える」という企業理念のもと、進展著しいデジタル社会のインフラストラクチャーである半導体の品質や信頼性の向上を通じて、社会の持続可能な発展に寄与されています。
それではここから、インタビューに入らせていただきます。

アドバンテスト 企業ロゴ

グローバルオペレーションを実現できるサポート体制が不可欠

コンカー:2018年11月にご契約いただき、8か月のプロジェクト期間を経て2019年7月よりまずは日本でSAP Concurを稼働いただきました。その後、グローバルに展開されていますが、そもそも経費精算システムの検討を開始したきっかけを教えてください。

天野様:2017年に国内関係会社8社に分散していた経理部門を本社経理部に集約することになり、その過程で支払業務のフローを標準化しましたが、紙の申請書を用いる業務フローであったために、現場から大量の紙書類と領収書が押し寄せ、担当者においては想定以上の工数を要する事態に直面しました。
このような状況で工数削減効果を期待し、クラウド型経費精算システムの有効性を検討しました。

コンカー:経費精算システムの検討をしていく中で、SAP Concurを選ばれた理由を教えてください。 

天野様:実は、弊社では既にオラクルR12を全世界で導入しており、経費精算の仕組みも全世界にてオラクルが提供するものを利用していました。このため、新しい仕組みにおいても全世界で使用できるシステムであることを優先に選定が行われました。

最終的に御社「Concur Expense」に決定した理由は・・・

  • 全世界稼働を実現するサポート体制が望める
  • ペーパーレスとロケーションフリーの実現が望める(日本での電子帳簿保存法適用
  • 多くの外部システムとのAPI連携が可能
  • 既存オラクルのAPモジュールに連携し、銀行への振込データ送信部分の活用が可能

国内での経理関連のシステム導入に関しては、経験のあるメンバーも多く、導入までたどり着くイメージができましたが、海外での導入に関しては非常にハードルが高く感じていました。
海外各国の多様な要求をどのように交通整理し、日本として(グループとして)必要となる要件をしっかりと反映できるか?現地要件の取捨選択と現地とのコミュ二ケーションに基づくコントロールをどうしていくのか?という点が最大の懸念事項でした。
このため、日本での要件定義をしっかりと議論すること、それを各国での要件検討の際に説明できるフォーメーションが必要であり、御社からも、これらを全面的にサポートいただける体制をグローバルベースで実現できるご提案いただけたことが一番の要因となりました。

コンカー: SAP Concur導入により解決したかった課題や、期待を含めて教えてください。 

黒河内様:当時はオラクル R12で立替経費精算を行っていましたが、日当や交際費の判定など日本の要件に合った自動チェックが出来なかったので、申請者の入力作業、所属長および経理のチェック、さらに差し戻しによる一連作業のやり直し、と経費精算にあたって多くの工数をとられていました。また、紙ベースの精算のため申請者にとっては、オフィスに戻らないと精算が出来ない、という煩わしさがありました。

コンカー:実際に導入してみてどうでしたか?

黒河内様:旅費規程を簡素化し、関連ワークフローを再構築することで、日当テーブルや監査チェックなどSAP Concurの機能を有効に活用することができ、上述の課題であった経費精算の工数を削減することができました。ICカードやクレジットカードなどのデータの連携を行えるようになったため、申請・承認のペーパーレス、入力レスにつながり、データ品質を向上させることもできています。

また、モバイルアプリの活用で、いつでもどこでも申請・承認が可能になりました。

領収書を画像イメージとして添付しペーパーレス化することで、COVID19の影響で領収書原本をすぐに提出できなくても、経理承認を画像イメージによって先行処理し、時間通りの支払いを行うことができたことも良いポイントでした。

グローバル展開前に規定の標準化を行う

コンカー:ここからはSAP Concurのグローバル展開について伺いたいと思います。現在、どのような体制でSAP Concurを運用いただいていますか? 

Shen,YingMei様:日本国内(8社)は、日本に拠点を置くGlobal Accounting Center(日本GAC)が、また海外(15社)は、シンガポールに拠点を置くGlobal Accounting Center(シンガポールGAC)が担当し、全体的な運用はシンガポールを中心に行っています。経費処理や領収書の記録保持などは各国で担当しています。
IT関係に関しては、Global ITグループのサポートを受けています。

コンカー:グローバル展開を行う中で、まず規程の標準化をされたと伺いましたが、どのように各国の出張旅費・経費規程を標準化されましたか?

Shen,YingMei様:各国の海外旅費規程は、日本を含むグローバル統一ルール(一部ローカルルールあり)が既に運用されていました。しかし、各国の国内旅費規程は、現地独特のルールがありました。特に、社内規程は、可能な部分はグローバルルールへの集約を試みるも、現地法令に基づくルールや現地での労務側面で変更が難しいものは考慮して進めました。この点は、各国の人事部の協力を得てグローバル人事のもとで行われました。

コンカー:ルールを標準化するなかで現地からのクレーム・反発・プッシュバックはありましたか?どのように対応しましたか?

黒河内様:それほど多くありませんでしたが、日本では、曖昧だったルールが明確化したことにより「今まではOKだったのに」という不満の声は上がりました。また、当初は画像添付と原本提出が必須だったため、画像添付の分、2度手間になってしまっていました。

Shen, YingMei様::海外では、レンタカーおよび宿泊費の自動計算や、経理による明細行の追加など、今まであった機能が一部なくなったことによる戸惑いの声が聞かれました。なお、宿泊費の自動計算に対しては新しいUIで一部解決されました。経理による明細行の追加の問題はコンカーサポートの「機能改善要望」リストに上げていますので、こちらについても解決されることを期待しています。また、会社側では、従業員に対しての教育を実施し、経理で明細行を追加する必要性を減らしています。

アドバンテスト様日本側メンバー
(左から、アドバンテストの天野様、鷲尾様、黒河内様、糠信様)

プロジェクトは、日本フェーズと海外フェーズとに分けて実施。ポイントは、導入企業側、コンカー側がそれぞれ統一したプロジェクトマネージャーを立て、日本フェーズで議論すること

コンカー:日本と海外で同時にSAP Concurを導入するプロジェクトには色々なご苦労もあったと思います。今回、国内8社の立上げを先行されましたが、日本立上げを行う上での難しさと、また、それをどうのように克服されましたか

黒河内様:国内に関しては、そもそも、今までとは全く違う仕組みなので、説明を聞いても理解がおよばずイメージが湧かないものも多くありました。テスト段階で操作してみて、あれは?これは?となって、運用を考えなおしたり、修正をお願いしたり、新しいアイディアをひねり出したりという作業がかなりありました。また、画像添付や、ペーパーレスへの抵抗感など、今までとは違う運用となることについて申請者、経理担当者からの共感を得るのも困難でした。
その中で、以下の点に重点を置いて活動を行いました。

  1. 運用をシステムに合わせるという考え方にシフト:システムを運用に合わせようと思うから行き詰っている、という事に途中で気づき、従来のやり方に固執せず柔軟に考えるよう努めました。
  2. 従業員の理解を得ることに重点を置き丁寧な説明を実施:説明会の開催にあたっては、全従業員が参加できるよう、WebEXも活用しながら複数回実施しました。また、説明会の動画や詳細なマニュアル、人事所管である関連規定へのリンクなどをまとめて掲載する専用のポータルサイトを立ち上げたり、当時あまり活用されていなかったチャットボットのQ&Aを充実させたりして、その存在を周知しました。
  3. コンカーのPMの方との信頼関係:私たちが納得いくまで、根気強く話を聞き、出来る事、出来ないことを率直に説明した上で、代替案を提示するなど真摯に対応して頂けたので、信頼してプロジェクトをすすめることができました。

コンカー:今回、米州、欧州、東南アジア、東アジアで合計15社の立上げで国内とは違った難しさもあったと思いますが、それをどのように克服されましたか?

天野様:当初より、グローバルでの立上げに関して御社と相談させていただいたことは、日本での要件を議論する際に如何に海外各社の実情も踏まえて検討するか、また、海外各社での要件を議論する際に如何に日本での検討結果を踏まえることができるかということでした。このポイントが曖昧となるとプロジェクトが空中分解するのではと考えていました。
これを踏まえ、海外立上げのためのプロジェクトマネージャーを、御社側、弊社側で共にプロジェクトを通じて一人とし、情報の共有を図りました。海外プロジェクトマネージャーのYingMeiさんが日本プロジェクトにも深く参加してくれたことが、その後の海外プロジェクトを安心して見守ることができる要因となったと思います。

Shen,Ying Mei様:グローバル導入の成功要因は、以下の4つが大きいかと思っています。

  1. コンカー側も国別にプロジェクトマネージャーを立てるのではなく、海外プロジェクト全体を通じて一人を任命いただけたこと
  2. 各国で規定される国内旅費規程等に関して、改定が必要な場面もありましたが、現地側の協力を得ることができたこと
  3. 日本での要件検討に参加し、海外各社での特殊性をシステムで対応出来るかを同時に検討したこと
  4. COVID19が全世界で流行となってしまい、プロジェクトを遂行するための対面での相談や集まってのテストが出来なかったが、多くのWeb会議でコミュニケーションを行ったこと

天野様:Ying Meiさんがマルチリンガルであることも、当初予想した以上に大きな成功要因となったと考えています。現地とのコミュニケーションがスムーズだったと思います。

コンカー:システムを運用に合わせるのではなく、運用をシステムに合わせるというのは大きなポイントになりそうですね!対面が難しくなってもWeb会議等で円滑なコミュニケーションをとられていたのもさすがだと思います。
可能でしたら、これからグローバル展開を目指す他社の担当者の方に向けたメッセージもお願いしたいのですが。

天野様:今回は「社員の立替経費に関する申請・支払システム」で、各国の法規制や商習慣に縛られることが少なく、比較的グローバル展開を検討しやすいものと考えていました。実際には各国の社内規定の違い、承認階層の違いをすべてシステムに反映することはシステム制約上難しく、何を優先するか、そのために何を変更するかという社内での議論が非常に重要となりました。社内規定に関しては、各国及びグローバルの人事チーム、承認階層に関しては、各国の経営層や経理の理解を得る必要がありました。これらの諸問題を契約段階やモデルとなる日本での要件検討段階という早い段階で認識し、SAP Concur上でのポリシーを組み立てられるといいかと思います。

国内・海外の関係会社の規定や運用を熟知したメンバーが一つのテーブルで議論できるチームが必要であり、弊社はそのメンバーに恵まれたのみならず、御社側のプロジェクトマネージャー様の親身な導きと合わせて、要件の優先順位を決めていくことが出来ました。このことが、2年におよぶプロジェクトの納期と予算の順守に大きく貢献したと思います。
また、会社側の海外プロジェクトマネージャーが長期にわたり日本に駐在し、日本側メンバーと日々議論できたことで、日本フェーズで議論された内容を理解されて海外フェーズをリードしてくれたので、日本側では日本での稼働後の現場サポートに専念することができたことも大きかったと思います。

アドバンテンスト様海外メンバー
(左から、Yeow, Wei Chuan様、Shen, Ying Mei様、Lim, Chin Teng様)

Concur Invoiceも展開、今後の期待は?

コンカー:SAP Concurの利用について、今後の展望はありますか? 

天野様:社員の立替経費の支払申請・承認はグローバルでConcur Expenseに乗り換えました。Concur Expenseの導入効果はデジタル化による作業場所を選ばないことである反面、国内での課題としてデジタル化に伴うチェック箇所の増加、確認作業の増加などが課題となっています。一方、今年より間接経費に関する支払申請・承認に関し、国内ではConcur Invoiceが稼働しました。やはりデジタル化に伴うペーパーレス、それに伴う作業のロケーションフリーによる効果は大きいです。インフォマート様によるインボイスの電子化や、ニーズウェル様による電子書類の保管システムを活用して更なる効率化を課題として進めています。
 

コンカー:それでは最後に、コンカーへの今後の期待があればぜひお聞かせください。 

黒河内様:システムスピードの向上はぜひ期待したいですね。また、BIについてリアルタイムなレポートやユーザーフレンドリーな仕組みに変わっていくことも期待したいです。
ゆくゆくは、モバイルだけで全て完結できるようにならないかなとも思っています!

コンカー:お客様へのご期待に沿えるよう善処してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。本日はお忙しい中ありがとうございました!


グローバル展開には標準化と現地要件のバランスが重要。それをプロジェクトマネージャーを統一し、情報共有や意思決定をスムーズにすることと、運用をシステムに合わせることで対応されたアドバンテスト様の事例は、SAP Concurの導入のみならず、システム導入の参考となるのではないでしょうか。

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【アドバンテスト様 企業情報】
アドバンテストは、計測技術をコアテクノロジーとするテスト・ソリューションカンパニーです。
1954年の創業以来、エレクトロニクスの発展とともに成長し、人びとの暮らしの「安心・安全・心地よい」をサポートしてきました。
主力製品となる半導体試験装置は世界最大手であり、海外売上高比率は9割を超えています。
アドバンテストは、「先端技術を先端で支える」という企業理念のもと、進展著しいデジタル社会のインフラストラクチャーである半導体の品質や信頼性の向上を通じて、社会の持続可能な発展に寄与しています。
詳しくはウェブサイト(www.advantest.com)をご参照ください。
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