ソフトウェアの減価償却計算方法|形がなくてもしっかり会計処理しよう

会計処理の際に、ソフトウェアの減価償却費をしっかりと計上していますか? ソフトウェアのように形のないものを減価償却計算するのは少し想像しにくいかもしれませんが、ソフトウェアも減価償却の対象になる場合があります。今回は、ソフトウェアの減価償却について、その考え方や計算方法を解説します。

 

ソフトウェアが減価償却される考え方

ソフトウェアは、どのような考え方によって減価償却されているのでしょうか。順番に考えてみましょう。

形のあるものの減価償却はイメージしやすい

物理的に形のあるもの、例えば自動車や機械設備のようなものが減価償却していくのは簡単に想像できますよね。なぜなら、自動車や機械設備は、使えば使っただけ消耗していくのがわかりやすいからです。

形のないものの減価償却

しかしソフトウェアはどうでしょう? このように形のないもの、デジタルデータ上のものは、摩耗していく部品もなければ劣化する部分もありません。それでもソフトウェアは減価償却の対象になります。これはなぜでしょうか?

減っていくのは情報の価値

現代社会を生きる人なら、「情報の価値」は十分に理解していることでしょう。そして、情報には鮮度があり、鮮度が落ちた情報は価値も落ちていくということもご存知のはずです。ソフトウェアの減価償却は、まさにこの情報の価値が減少していくという考えによるものです。

とはいえ、ソフトウェアの場合、アップデートにより随時更新されることで鮮度を保つ場合もあるので、価値の減少を計算することは簡単ではありません。そこで指標として、ソフトウェアの減価償却について一定のルールと計算方法が定められているのです。

 

ソフトウェアの減価償却の計算方法

それでは、どのようなソフトウェアをどのように計算するのか、具体的に見ていきましょう。

減価償却の対象となるソフトウェアとは

一言でソフトウェアといっても、その入手経路や使いみちによって減価償却の計算方法が異なります。

  1. コピーして販売するためのソフトウェアの原本
  2. 研究開発のためのソフトウェア
  3. 自社で使うために購入したソフトウェア
  4. 自社で使うために自社内で制作したソフトウェア
  5. 他社が使うために受注製作したソフトウェア

これらのうち、1~4は減価償却の対象となりますが、5は対象となりません。

減価償却の期間

また、上記の使用目的によって耐用年数、つまり減価償却の期間も異なります。

  • 1と2は3年
  • 3と4は5年
  • 5は対象外

1と2は、日々開発の進むソフトウェアにおいて、商品としての価値は落ちるのが早いという基準から、短めの耐用年数が設定されています。一方で3と4は、長期間使うことが想定されること、アップデートする場合が多いことから、長めの期間が設定されているのです。

償却開始のタイミング

形のあるもの、自動車や機械設備などについては、事業に使い始めた日から償却計算が始まります。しかしソフトウェアの場合は、入手した日から減価償却の対象となります。

形のあるものは使うことによって摩耗・劣化していき、償却されるという考えです。これに対し、ソフトウェアは情報の鮮度によって価値が減少していくという考えなので、入手日から償却が始まるというわけです。

資産価値の計算方法

次に、ソフトウェアの資産価値の計算方法です。これにはソフトウェアの入手方法、購入したものなのか、自社で制作したものなのかどうかが関わってきます。

購入したソフトウェアの場合、次の費用の合計を資産価値とみなします。

  • ソフトウェアの代金
  • ソフトウェアを購入するためにかかった費用
  • ソフトウェアを使用可能な状態にするためにかかった費用

自社で作ったソフトウェアの場合は、次のような費用を計算します。

  • 原材料費
  • 労務費
  • その他の経費
  • ソフトウェアを使用可能な状態にするためにかかった費用

 

クラウドソフトの減価償却

近年では従来のオンプレミス型ソフトウェアは姿を消し、クラウドサービスにより提供されているソフトウェアが大半となっています。このようなクラウドソフトの場合は、どのように会計処理をしたらいいのでしょう?

「本体がクラウド上にありサービスを利用しているだけ」というイメージから、資産として所有していないため減価償却費も発生しないように思われがちです。

しかし、クラウドソフトの場合でも「自社で利用するために購入したソフトウェア」に該当します。

(参考:研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針(PDF)|日本公認会計士協会

(参考:【JISA】SaaS・ASPビジネスに関する会計ルールの論点整理を公表|情報サービス産業協会

このことから、クラウドの場合でもソフトウェアを無形資産に計上したうえで、5年の期間で減価償却費を計上することになります。

 

まとめ

今回は、ソフトウェアの減価償却計算について、しっかりと会計処理できるようにその考え方と方法を解説しました。形のないものでも減価償却の対象となり、入手した日から償却が始まります。また、目的によって償却期間が異なり、クラウドソフトの場合でも同様に扱うことになります。経理担当者は、より適切な会計処理を行うようにしましょう。

参考:

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