日本の財務責任者が成功するための秘訣とは?~優れた人材の6つの共通点~

Chika Ando |

ビジネスのグローバル化が進むにつれ、企業の意思決定におけるCFOや財務責任者の役割は日に日に大きくなっています。Oxford Economicsが世界中のCFOや上級幹部を対象に行った調査によると、優秀な財務責任者には6つの共通点があることが分かりました。世界の中で、日本の財務責任者のポジションを知ることは、世界で活躍する財務責任者となるための成功の近道です。
今回はOxford Economicsの調査の概要とともに、日本の財務責任者の優れている点や課題について考えます。

優れた財務責任者の6つの共通点

Oxford Economicsが世界中のCFOやその他の上級幹部1,500人を対象に「優秀な財務責任者と他の人が違うポイントは何か?」と尋ねたところ、以下の6つの共通点があることが分かりました。

  1. 経理・財務部門の枠を超えて強い影響力を持っている
  2. 成長を見据えた戦略的な取り組みを促進している
  3. 自動化により効率向上を図っている
  4. コア・ファイナンス(経理・財務の中核機能)のプロセスにおいて非常に効果的な役割を果たしている
  5. ほかの事業部門と普段からコラボレーションしている
  6. 規制の変化にスムーズに対応できる

調査の回答者のうち、優れた財務責任者に該当したのはわずか11.5% でした。日本に限るとこの割合は 13% にのぼり、世界トップの水準でした。

Oxford Economics調査レポート「財務責任者が成功する道筋 概況報告書:日本」を読む

日本の財務責任者の課題は他部門をまたいだコラボレーション

日本の回答者が「優れた財務責任者」より遅れをとっているのが他部門をまたいだコラボレーションです。「調達・購買部門」といった、経費に直結する部門とのコラボレーションはうまくいっており、「優れた財務責任者」が66%なのに対し、日本の財務責任者は70%でした。一方、一方で、マーケティングや顧客サービスなど、経理・財務部門がこれまであまり関わってこなかった分野のコラボレーションでは「優れた財務責任者」のレベルに達していませんでした。

とはいえ、課題意識は強く、財務部門の縦割り構造によって部門のビジネス目標達成が妨げられていると回答した割合は、全体が28%、「優れた財務責任者」が24%であるのに対して、日本は30%と高くなっています。

自動化による経理・財務業務の効率向上に取り組んでいるが、
テクノロジーへの評価がやや低い

日本の回答者の83%が、経理・財務部門の効率向上に自動化が貢献していると回答しています(全体では73%)。一方で経理・財務部門が成功する上で重要なテクノロジーであると評価しているものは、クラウド、ビッグデータ、モバイルともに、「優れた財務責任者」に比べて7%~10%ほど低い結果となっています。経理・財務部門の効率化を阻む要因として、「日常業務を中断しないテクノロジーの更新」「変更管理の専門知識不足」「従業員のスキル不足」など、テクノロジーが関与することが多いことから、クラウドやモバイルなど、運用の簡単なテクノロジー活用がポイントになってくると思われます。

まとめ

Oxford Economics行った調査によると、日本には優秀な財務責任者が多いことが分かりました。とはいえ、ビジネスの目標達成には他部門をまたいだコラボレーションが必須、また効率向上にクラウドやモバイルなどのテクノロジーをもっと活用すると今まで以上の成果を上げられると推察されます。
「優れた財務責任者」へのネクストステップ、是非取り組んでみてはいかがでしょうか?

Oxford Economicsの調査レポート詳細「財務責任者が成功する道筋 概況報告書:日本」はこちらからダウンロード可能です。