得意先への手土産である自社カレンダー。これって交際費?- 経費に関する意外と知らないFAQ

経費精算に関してよく聞かれる質問とその回答をまとめたブログシリーズ、今回は手土産の費目がテーマです。

 

そろそろ今年も終わり。年末といえば、得意先への挨拶周りのシーズンですね。挨拶周りでは、手土産として自社カレンダーや手帳を贈るケースも多いのではないでしょうか。でも、このカレンダーや手帳の費用は交際費になるのか、広告宣伝費になるのかどちらだと思いますか?交際費と広告宣伝費の違いとその事例について、詳しくみていきましょう。

 

質問:

得意先へ自社カレンダーを手土産として送ります。これは交際費と広告宣伝費どちらになるのでしょうか?

 

回答:

得意先への贈答品は、一般に交際費等になりますが、自社の名前が入ったカレンダーや手帳、手ぬぐいなどの少額の物品は、交際費ではなく広告宣伝費として扱われます。

 

解説:

それでは、交際費と広告宣伝費の違いは何でしょうか。まず広告宣伝費からみていきましょう。

広告宣伝費は、不特定多数の方に対して宣伝効果を意図して支出する経費のことをいいます。対象は不特定多数でなければなりません。この不特定多数の者とは「一般消費者」を想定しているとされており、広告宣伝費とは不特定多数の者に対する宣伝効果を意図するものとされています。

一方で交際費(税務上は「交際費」という定義はなく「交際費等」と定義されていますとは、得意先や仕入先その他事業に関係のある者に対する接待、供応、慰安、贈答などの行為のために支出する費用をいいます。 

ただし、社名の入ったカレンダーや手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用は、不特定多数向け宣伝効果を意図して準備された物という考えで交際費等には含まれないものとされ、広告宣伝費となります。(法律上、ロゴや社名が必須という訳ではありませんが、広告宣伝費については、「不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図した費用」と記載されており、ロゴや社名が入っていないものについては、「宣伝的効果」がないため、交際費となる可能性があります。)

 

交際費等に該当するためには、次の3要件を満たすことが必要だとされています。

①支出の相手方は、事業に関係がある者等か

②支出の目的は、事業関係者との取引を円滑にするためか

③接待、供応、慰安、贈答などの行為であるか

 

この経費は交際費?それとも広告宣伝費?

このように交際費と広告宣伝費の違いは、贈答の相手方が事業に関係がある者かどうか、つまり「取引先」なのか「一般消費者」なのかということがポイントになります。さらに取引先であっても、その贈答品が「カレンダーなどの少額なもの」かどうか、ということもポイントとなるでしょう。以下では、具体的な例をみていきましょう。

 

交際費の例

1.得意先への挨拶周りの際、手土産として箱入りのお菓子を持参した。

→ これは「取引先」への贈答に当たるため、交際費等になります。

 

2.得意先への挨拶周りの際、手土産として伝統工芸品を持参した。

→ これは「取引先」への贈答に当たるため、交際費等になります。

 

広告宣伝費の例

1. 自社の商品を購入した一般消費者に対し、景品としてお菓子をプレゼントした。

→ これは「商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用」に当たるため、広告宣伝費になります。

 

2.得意先への挨拶周りの際、自社の名前が入った手帳を配った。

→ これは「取引先」への贈答になりますが、「カレンダー、手帳、扇子、うちわ、タオルなどの物品で、多数の者に配付することを目的とし、社名も入っていることから主に「広告宣伝的効果を意図する物品で、価格が少額であるもの」に当たるため、広告宣伝費になります。

 

3.得意先への挨拶周りの際、自社製品のサンプル(少額)を配った。

→ これは、上記4と同様「取引先」への贈答になりますが、少額のものであれば「得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用」に該当するため、広告宣伝費になります。

 

まとめ:

このように、取引先への手土産であっても、交際費等になるものと広告宣伝費になるものがあります。交際費等と広告宣伝費を分ける際のポイントは、相手方が取引先かどうか、その物品が少額かどうか、そして不特定多数向け宣伝効果を意図して準備された物かどうかです。税務上、交際費は損金算入に制限(限度額)があるのに対し、広告宣伝費は損金算入ができるため、広告宣伝費として交際費から除くことができる経費があれば、しっかり区別してくださいね。区別するにも経費の支出状況が把握できていない、そんな場合は Intelligence を利用して、交際費の一覧を洗い出してみるのもおすすめです!

 

参考:国税庁|交際費等と広告宣伝費との区分(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5260.htm)

 

<著者プロフィール>

細田 聖子(ほそだ せいこ) 公認会計士・税理士
2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から香港留学。2003年から2008年まで、上海でOL、日本語教師等の中国勤務。2010年、公認会計士試験論文式試験合格。2012年より、中国深センの会計事務所等を経て上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。日本で治療をしながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月に独立し、フリーランスのライターとして執筆活動など様々な業務に従事。

  

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