風通しの良い職場を実現するために活用したいITツールは?

Back Office Heroes編集部 |

企業にとって従業員同士のコミュニケーション不足は、ビジネスに大きな影響を及ぼします。「連絡・報告・相談」がしにくい職場の空気が、伝達ミスや対応の遅れにつながるのです。ソーシャルメディアでのオンラインコミュニケーションが当たり前の時代、社員間コミュニケーションにもオンラインによるITツールが必要不可欠となるのは間違いありません。

 

上意下達で紙に頼った社内連絡は時代遅れに

「e-文書法」をご存じでしょうか。2005年4月に施行した経産省による法律です。正式名称を「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」というのですが、簡単にいえば社内文書を紙ではなくデジタルデータに変換して保管することを国が推進しようというものです。つまり、社内文書を「ペーパーレス化」せよというお上からのお達しなのです。

ところが日本製紙連合会のデータによると、2016年になっても企業内における紙の消費量は80万トンで、ペーパーレス化はうまく進んでいないのが現状。大企業やメディア関連のペーパーレス化はだいぶ進んでいますが、中小企業を中心に旧態依然とした紙による社内文書等の運用は今もなお続いています。

特に、管理職社員の“紙頼み”は深刻で、資料等をプリントアウトする、報告書等は紙で回覧・捺印といった、ペーパーレス化を阻害する業務を行っている現場が存在します。管理職社員がITに疎いと、社内連絡では紙による「社内便」という伝達システムを継続せざるを得ません。

こうしたアナログな伝達手段は、回覧・決裁して戻ってくるまでに時間がかかったり、現在誰が社内連絡の紙を持っているのか分からなくなったりという問題があります。また、上意下達で紙にプリントした連絡事項を回覧し、確認したら捺印して次に渡すといったアナログな伝達手段だけでは、スピードだけでなく社員同士のコミュニケーションも不足しがちです。

それでは、なぜペーパーレスにしないのかというと「PCをうまく使えず、紙の方が業務効率が良い」「デジタルでの決裁には不安が残る」などの主張が多いようです。これは時代に逆行するばかりでなく、エコという観点からも問題は大きいといえます。

 

メーリングリスト伝達の問題点

IT投資を行い環境が整備されつつある企業では、上記のような紙での伝達手段に代わってメーリングリストを活用するといったケースが増えてきています。メーリングリストはCC(カーボンコピー)による一斉メールができ、メーリングリスト内の社員なら誰でも返信可能なうえ、以前のメールを引用できるといった利便性があります。現在でも、社内や部署内でメーリングリストを活用している企業・組織は多いでしょう。

しかし、メーリングリストにもさまざまな問題点があるのを知っていますか? ここでは、メーリングリストを使用する際に起こりがちな問題をいくつか紹介します。

メーリングリストのメンバー管理が不適切

メーリングリストは、含まれるメンバーの追加・削除を適切に管理しなければなりません。よくある例としては、メーリングリストを活用する組織のトップがITに疎く、部下に管理を丸投げしてしまうといったケースです。

当然、普段の業務に加えてメーリングリストの管理を任された部下は、メンバーの追加・削除まで手が回らないことがあります。つい退職してしまったメンバーの削除を忘れ、社内の機密情報が筒抜けになってしまったというような、人為的なミスが起こりかねないのです。

結局、一方的な上意下達の連絡手段になってしまう

メーリングリストの大きなメリットは、誰でもメールに返信できてメンバーが一斉に見ることができる点にあります。ところが上意下達のメールに対して、返信することにためらう社員も出てきます。こうなってしまうと、なんのためのメーリングリストか意味が分からなくなってしまいます。

単純にプリントアウトの紙を回覧しているのと同じ状態なため、メーリングリストの活用で風通しの良い職場環境になると断言することはできません。

このように、メーリングリストの活用による社内・部署内のコミュニケーションには、問題が少なからず存在します。

 

円滑なコミュニケーションを図るために

迅速な社内連絡や円滑なコミュニケーションを図るためには、適した箇所で適したITツールを活用することが必要になります。もちろん、すべての場面に問題が起こらないITツールはありません。ときには直接顔を合わせて意見の交換をするミーティングが良いケースや、緊急性の高い連絡は電話で話した方が確実といった場合もあります。

そのうえで、例えばブレーン・ストーミングのように社員の自由なアイデアを出し合える場所として、社内ポータルサイトを設置・整備する、ソーシャルメディア上で社員間のコミュニケーションを促進するといった提案も必要となってくるでしょう。

また、業務におけるITツールの活用の例として、デスク間のちょっとした相談事にチャットツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。文書や画像ファイルなどの共有を知らせるのには、こういったチャットツールの方が利便性が高いのでおすすめです。

 

ITツールの活用でコミュニケーションの“見える化”を

紙による業務連絡や無駄な会議・ミーティングを減らすことができて、しかも社員間コミュニケーションも図れるITツールの活用こそ、スピードが求められる今後のビジネスに役立ちます。また、コミュニケーションの“見える化”によって次の企画提案も可能となるため、風通しの良い職場に向けて、利便性の高いITツールの活用をおすすめします。

 

参考: