出張管理とは?アフターコロナにおける出張管理のニューノーマル

Eiji Maruyama |

出張業務を取り巻く外的環境は、この数カ月の間に大きく変化することとなりました。

2020年初頭に確認された新型コロナウイルスは瞬く間に世界中へと伝播し、海外諸国との往来はもちろんのこと、国内においても非常事態宣言が発令され、出張はおろか通勤自体も出来ない状況となりました。2020年7月現在、世界のほとんどの国がいまだ鎖国状態にありますが、自国の感染状況と相手国の感染収束状況をみながら、ビジネス目的の往来から徐々に規制を緩和していく検討が各国ではじまっています。

出張の往来が動き始めようとしている今、不確定なリスク要素が多いこのような状況下において、企業の出張管理のニューノーマルについて、考えてみたいと思います。

 

出張に替わって「Webミーティング」が台頭する

新型コロナウイルスの感染対策で、人と人との接触8割減の要請を受け、企業においてはテレワークの検討・実施が必要となりました。国内企業のテレワーク実施率は全国平均で27.9%(4月10~12日実施、パーソル総合研究所調べ)と、まだまだ少ないようですが、アフターコロナの世界では、テレワークの利活用をふまえた新しい働き方が主流になると言われており、企業は出張業務の一部をWebミーティングで補うことを模索するであろうと考えられます

実は欧米においては、何年も前からWebミーティングの有効性は認識されており、出張に替わる働き方のスタイルとして推奨されていました。これは企業の「環境」への取り組みの一環であり、出張をWebミーティングに代替することでエアラインや列車での移動に伴う二酸化炭素の排出を抑制しようとすることが目的でした。今回、世界的な規模でテレワークに取り組んだことで、Webミーティングでもある程度の目的が達成できること、そしてそれがより効率的な働き方であることを、多くの方が身をもって実感しています。

企業としても出張を管理するうえで「移動コスト(費用と時間)」と「従業員の身の安全」という2つの懸念が同時に無くなるという意味で、Webミーティング推奨の方向へ向かうのはごく自然な結果でしょう。

 

その出張は本当に必要か?判断プロセスとその自動化が重要に

企業がWebミーティングを推奨する際、つぎに考えなければならない問題が、その管理方法についてです。

方針だけ打ち出して、その判断は出張の承認者に一任するやり方はとても簡単ですが、「Webミーティングではなく出張すべき場合」の基準があいまいではいずれ現場に混乱が生じます。それぞれの承認者が属人的な判断に基づいて出張可否をきめてゆくと、本来企業が目指したい水準まで推奨が至らなかったり、個人や部門の間で不公平感が生まれたりするでしょう。また、承認者自身の承認負荷も高まります。

このような問題を防ぐために、企業は「どのような場合、Webミーティングではなく出張するべきか」の基準をわかりやすく定める必要があります。

加えて、定めたルールが漏れなく実施されることも大事になりますので、出張の事前申請と承認のプロセスがこれまで以上に重要となります。

事前申請と承認のプロセスを徹底しようとすると、今度は当事者の業務負荷が高まる問題がおこります。忙しい日々の業務に追われながらの面倒な事前申請は誰もがストレスを感じるものです。承認する側も同様で、都度内容をチェックするのは困難と言えます。よって、これからの出張管理においては、その出張が「必要か不要か」を判断するプロセスを構築すると同時に、いかにそのプロセスの自動化を目指して業務負荷を下げられるか、がポイントになります。

 

SAP Concur が行う判断プロセスの自動化とは?

ここでSAP Concur のソリューションを活用した例をご紹介します。Concur Travel には出張計画を策定すると同時に事前申請が自動作成される機能があります。作成された事前申請には、従業員の職制などのプロファイル情報に加え、出張期間や行き先などが自動起票されます。これらのデータを、出張の可否判定ルールに活用する事例をご紹介いたします。

例えば、出張期間で判断する場合。国内出張なら「日帰り」、海外出張なら「2泊3日以内」などの基準を設けて、該当する出張はWebミーティングに代替するよう促すことができます。さらに、出張者の職制が技術作業を伴わない「事務系職」である場合や、出張の目的が「社内メンバーとの会議」である場合などの条件を掛け合わせて判断すると、より現実的な“ふるい”をかけることも可能です。

このように、Webミーティングに代替すべき出張条件を具体的に定め、その条件をワークフローに組み入れることで、事前申請が生成された時点でシステムが該当する申請を自動で割り出し、出張者へ注意喚起したり、承認者の判断を手助けしたりすることが可能となります。

また、現場部門内での出張毎の優先順位付けが困難である場合には、Budget を活用するのがよいでしょう。客観的な目安として「出張予算」を事前申請と連動させ、予算に対しての消費進捗を可視化することができます。Webミーティングで代替することを前提に出張予算を予め抑えて策定した上で、その予算枠内で出張可否の判断を実施することは、動機づけが明確になる効果をもたらします。

これからの出張管理においては、不要不急な出張はWebミーティングなどの代替手段で賄い、コストとリスクを同時に減らしていくための具体的な方法が求められます。幾つかの具体例を記しましたが、管理方法についての検討は今後更に深まってゆくと考えます。

 

まとめ:ニューノーマル時代に求められるのは先進性と柔軟性

アフターコロナでは出張のコストとリスク減に寄与するWebミーティングが出張の代替として台頭すると予想されます。そうなると、出張管理プロセスにはニューノーマルな基準をいかに既存のワークフローに取り込むか―という柔軟性が求められていきます。SAP Concur は、これまで培ってきた出張管理のノウハウに加え、企業を取り巻く不確定な外的要素に対しても先進性と柔軟性を持って皆様を支援します。

 

・Concur Travel(製品ページ)

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