経理・総務の豆知識

第6章:経理財務DXの実装解 ― 『AIが学べるデータ』をつくるのは SAP Concur である

SAP Concur Japan |

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これまで見てきたように、AI活用の成否は 「どのモデルを使うか」ではなく「どんなデータを渡せるか」 で決まります。
SHEINやNetflixがAIの活用において成果を出せた理由は、AIが学べるデータ基盤のための地道なデータ整備と、継続的な学習サイクルを成立させる仕組み、使いこなす文化の醸成までを実行していたからです。

経理財務の領域で『AIが学べるデータ基盤』を体系的に実装し続けているのが SAP Concur です。

SAP Concur は、経費・請求・支払・出張などの業務データを一貫した形式で収集・構造化し、AIエージェントが正確に学習・判断できる土台を整える 『経理財務データの母艦』として機能しています。

データの「清浄化」と「構造化」を日々自動で行う仕組み 

何度も同じことを言いますが、AI活用の第一歩は、データ品質の確保です。
SAP Concur は、入力直後の段階から『AIが読めるデータ』を生成するための仕組みを備えています。

● Concur Invoice Capture:請求書データを統一フォーマット化 

  • PDF・紙の請求書を OCR+機械学習で読み取り 
  • 「取引先名」「金額」「日付」「明細」などを自動抽出 
  • 人による検証ステップも組み込み、精度を担保 

これにより、企業ごとに表記揺れのある請求書データが、AIが学習可能な『統一された構造データ』 に変換されます。

● Verify :自動監査による品質担保 

  • 経費レポートの全件監査が可能 
  • 不正・重複・規程違反・日付不整合の自動検知 
  • 領収書・カード明細・ホテル代の私的利用のクロスチェック 

監査を自動化することで、効率化とガバナンス強化を両立できます。

サイロ化を解消し、『単一のデータビュー』を実現

データの壁を乗り越えるために不可欠なのが、 「すべての支出データを一か所に統合すること」です。

SAP Concur の Analytics / Intelligence は、 
出張・経費・請求(AP)を単一の BI レイヤーに統合し、 リアルタイムな可視化を実現します。

  • ダッシュボードはDailyで更新
  • 部門別支出・規程逸脱傾向・承認遅延などを即時に把握 
  • レポートのスケジュール配信も自動化 

これにより、多くの企業に残る 「オフライン集計 → Excel加工 → 月次で報告」 という旧来のサイクルがなくなります。

基幹システムとの『標準連携』でデータの壁を根本解消 

SAP Concur は、SAP S/4HANA(Cloud / On-premise)との標準連携を提供しています。導入に際して特別なカスタム開発を行わずとも、 

  • 従業員マスタ 
  • 取引先マスタ 
  • 仕訳連携 

などが 公式ガイドと Integration Flow によるウィザード方式 で設定できます。

これにより、従来の 

  • 二重入力 
  • CSV変換 
  • 手作業によるフォーマット調整 

といった“データの壁”が、仕組みとして根本から解消されるのです。
会計システムと経費・請求システムが分断されていた時代とは異なり、 入力 → 整合 → 更新 → 可視化 のライフサイクルが自動で回る世界が実現します。

『AIエージェントが動く前提』で設計された最新アーキテクチャ 

SAP は生成AI「Joule(ジュール)」を SAP Concur ソリューションに本格統合し始めました。これにより、経理財務の業務を 『ボタン操作』から『会話操作”』へと進化させる構想を持っています。

例えば、

  • 「今月の交通費が平均比30%増えた部署を教えて」 
  • 「請求書承認が遅れている原因を分析して」 
  • 「不正が疑われる経費レポートを一覧で出して」 

といった自然言語での指示に対して、 Joule は Concur 内の構造化データを読み取り、 分析・サマリー・洞察提示までを自動で行います。 

この動きは、第4〜5章で述べた 

  • SaaS が AI のデータ母艦になる 
  • AI が業務を代行し、人は判断に集中する 

という未来像と完全に一致していています。SAP Concur は、まさに 『AIネイティブ経理”』を実現する最前線にいるのです。

第6章まとめ:経理財務部門の役割を『入力』から『判断』へシフト

経理財務領域において、単なる自動仕訳や自動チェックがAIの仕事ではありません。日々蓄積される、

  • 支出データ 
  • 旅程データ 
  • 従業員行動データ 

などのデータをAIが横断的に分析することで、

  • 「交通費が平均比30%高い部署はどこか」 
  • 「請求書登録〜承認に2日以上かかるパターンは何か」 
  • 「予算逸脱が続きやすい支出カテゴリはどれか」 

というようなインサイトを提供することができれば、 AI が『数値で語り』、 経理担当者が『意図で導く』といった役割分担ができます。経理・財務部門は、従来のように『入力やチェックに追われる経理』ではなく、 『判断・分析を担う戦略部門としての経理財務』へと役割が変わるでしょう。

SHEIN や Netflix は『整ったデータ基盤 × 学習サイクル』で、データを経営につながる資産にするためにAIを活用しています。経理財務領域においても、『AIが学べるデータ基盤』を持つことが重要であることはご理解いただけたのではないでしょうか。そして、経理財務領域において、その基盤を企業に届けているのがコンカーです。

AI は企業を変えます。
 
しかし、AI を正しく動かすのは『きれいなデータ』であり、 そのデータをつくり続ける仕組みが、企業の成長を推進していくことでしょう。

このシリーズはこちらで最終回です。次回の記事もお楽しみに!

ーーー
参考出典(第6章) 

  • Concur Invoice Capture(OCR+ML/人検証): コンカー自社サイト
     
  • Concur Verify/Detect(自動監査/不正検知):コンカー自社ブログ
     
  • Concur Analytics/Intelligence(統合単一ビュー・スケジュール配信): コンカー製品ページ
     
  • SAP S/4HANA 公式連携ガイド/Integration Flow: SAP Help Portal. 
     
  • SAP 生成AI Joule を Concur に実装: SAP News Center. 
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