経理・総務の豆知識

組織をダメにするバイブル「サボタージュマニュアル」

SAP Concur Japan |

CIAの書庫に、「シンプル・サボタージュ・フィールド・マニュアル」という公式文書が保管してあるのをご存じでしょうか。これは、第二次世界大戦中に作成した米国の諜報員向けのマニュアルです。

もし、このマニュアルに書かれた内容があなたの会社でも起きていたら、それはスパイの仕業ではなく、組織の仕組みそのものに潜む非効率の罠かもしれません。

本記事では、サボタージュマニュアルの内容を手がかりに、現代企業が陥りがちな停滞の構造と、それを防ぐための具体策を紹介します。

そもそもサボタージュマニュアルとは

サボタージュマニュアル画像

画像引用:SIMPLE SABOTAGE FIELD MANUAL

サボタージュマニュアルとは、第二次世界大戦中にアメリカの戦略事務局(OSS、のちのCIAの前身)が作成した、敵組織の生産力や統制を低下させるための諜報員向けハンドブックです。英語の原題は『Simple Sabotage Field Manual』といい、意思決定の遅延や手続きの複雑化といった日常の非効率を意図的に生み出す具体的な手法が列挙されています。

以下は本マニュアルからの抜粋(意訳)です。原文には「文書を要求せよ」「誤解を招きやすい指示を出せ」「重要な決定は委員会で長引かせよ」など、組織の動きを鈍らせる戦術が含まれます。

  • 常に文書による指示を要求する
  • 誤解を招きやすい指示を出し、意思統一のために長時間議論させる
  • 十分な準備が整うまで実行を遅らせる
  • 高性能な道具や設備の要求で業務を遅延させる
  • 些細な作業に高い完成度を求め、重要事項を先延ばしにする
  • 新人には不十分な指示を与えて教育効果を下げる
  • 有能な者を冷遇し、能力と不釣り合いな昇進を行う
  • 決裁手続きを多重化し、すべての承認者が揃うまで業務を止める
  • あらゆる規則を隅々まで厳格に適用して業務を停滞させる

参照:Simple Sabotage Field Manual(日本語で一部抜粋)

当時、敵国や占領下にある国に対して、組織活動や生産性を妨害して弱体化させるために米国が作成しました。サボタージュマニュアルに記載された、敵国を弱体化させるための要点をCIAは以下のようにまとめています。

管理職として潜入した諜報員向け

  • 従業員のモラルと生産性を下げよ。
  • 効率の悪い従業員を優遇して待遇を充実させ、優秀な従業員に対しては不公平な理由で叱れ。

これはサボタージュマニュアルのなかで、管理職に向けて書かれた指令の一節です。本来は敵国を内部から崩すためのものですが、手続きや形式ばかりを重視し、成果を上げる人ほど疲弊するという状況は、現代の職場にも通ずるものがあります。

組織の生産性を奪うのは、悪意ではなく構造です。目的よりもルールを優先し、決定を遅らせるほど、現場のモチベーションは下がります。管理職が本来担うべきは、部下を監督することではなく、判断を早くしやすい環境を整えることです。

意思決定をシンプルにし、承認フローを見える化することが、現代企業におけるアンチ・サボタージュといえます。

労働者として潜入した諜報員向け

  • 仕事は非効率に時間をかけて行え
  • 一つの作業に必要な工数を増やし、効率良くできるツールを使わないで、効率の悪い方のツールを使え

これは、サボタージュマニュアルが現場の労働者に向けた具体的な指令の一つです。
一見、時代錯誤のように見えますが、現代の職場にも同じ構造が潜んでいます。

「前任者のやり方を踏襲する」「ツールを導入しても使いこなせない」「手作業の方が安心」といった行動が、悪意なくして非効率を常態化させる要因になっているのです。

こうした善意の非効率こそ、組織の生産性をじわじわと蝕みます。本来の目的を見失わず、仕組みとデータで業務を最適化することが、現代企業における防御策となるでしょう。

あなたの会社に当てはまっていないかチェック!

マニュアルには、管理職として潜り込んだ諜報員と従業員として潜り込んだ諜報員向けに、さらに具体的に次のような指示が記されています。ご自身の会社でも当てはまる点がないか、確認してみてください。5つ以上当てはまっていたら会社がすでに弱体化しているのかもしれません。

管理職向けのチェック項目

  • 「何事も決まったルートで行うようにし、決断を早めるための近道を認めるな」
  • 「会議では長いスピーチを頻繁に行え。自分の言いたいポイントを説明するのに、個人的な経験や逸話をたくさん盛り込め」
  • 「さして重要でない業務は、完璧に行うように要求せよ」
  • 「重要な仕事がたくさんあるときに限って、会議を行え」
  • 「会議の議事録や通信文は、些細な言葉づかいまでチェックして訂正させること」
  • 「前回の会議で決まった事項を取り上げて、その決定の可否を議論し直せ」
  • 「すべての規則を厳格に適用し、何事にも承認が要るようにせよ」

従業員向けのチェック項目

  • 「電話の受付では、間違った内線番号につないで時間を長引かせ、『誤って』切ってしまえ」
  • 「最もらしい理由をつけてペーパーワークを増やし、ファイルの数を増やせ」
  • 「指示の意味が理解できなかったふりをして、何度も聞き直せ」
  • 「重要な書類を間違ったファイルに保存せよ」
  • 「自分のスキルや経験は、新人に教えるな」

現代版・無意識のサボタージュの特徴や事例

サボタージュマニュアルの行動指令は、戦時中の話に思えるかもしれません。しかし、本質でもある悪意なく組織の効率を下げてしまう行動は、現代の職場にも息づいています。ここでは、現代企業でよく見られる無意識のサボタージュを具体的な事例とともに紹介します。

会議の目的が曖昧化している

決めるための会議が、いつの間にか続けるための会議になっていませんか。本来は意思決定の場であるはずが、現状報告や確認だけで終わるということが積み重なると、組織全体のスピードは確実に落ちていきます。

サボタージュマニュアルには「委員会を設けて検討を長引かせよ」「承認までの手続きを複雑にせよ」と記されています。

これはまさに、目的が曖昧な会議の構造そのものです。議論することが目的となり、参加人数が増えるほど責任の所在が薄れ、誰も決断しなくなります。安心を得るための儀式と化した会議は、組織にとって静かなサボタージュです。結論を出すための議論なのか、安心するための共有なのかという境界をはっきりさせることが、生産性につながります。

リーダーが現場の声を見失っている

データや報告書だけで、「現場を把握しているつもり」になっていませんか。マネジメントの視点が上層に偏ると、現場で起きている体感温度が届かなくなります。その結果、意思決定が現場と乖離し、士気の低下や離職につながるという負の連鎖が生まれます。

  • 承認ルートが増えすぎて判断が遅れる
  • 上司が細部チェックに時間を奪われ、本来の戦略判断に集中できない
  • 自分では決められない文化を部下が受け入れてしまう

これらはすべて、無意識のうちに組織のスピードと主体性を奪うサボタージュです。

サボタージュマニュアルには、「委員会を設けて決定を遅らせよ」「細部の議論に時間を費やせ」とあります。裏返せば、決定を早め、責任を明確にし、声を拾うことが、サボタージュを防ぐシンプルな方法です。

現場の温度を感じ取り、直接対話しながら意思決定を下せるリーダーこそ、組織を停滞から守るアンチ・サボタージュの存在といえるでしょう。

情報が分断されている

情報共有の断絶は、デジタル時代の静かなサボタージュです。

「部門ごとにデータが異なる」「システム同士が連携していない」などの情報の滞りは、DX推進の現場で日常的に起きています。

情報が正しく流れない組織では、意思決定のスピードが落ち、責任の所在も曖昧になります。サボタージュマニュアルのなかで「手続きを複雑にし、報告経路を増やせ」と書かれていたように、現代ではデータの分断という形で同じ構造が再現されているのです。

本来、情報は組織の血流です。滞れば判断が鈍り、誤解や重複作業が増え、当然生産性が下がります。部門主義やシステムの壁によって情報が止まる状態は、悪意なきサボタージュの典型的な例といえるでしょう。

承認プロセスが複雑化している

「すべての決裁者が承認するまで進めるな」

サボタージュマニュアルに書かれたこの一文は、戦時中の敵国妨害策であると同時に、今の日本企業にも静かに息づく非効率の構造を突いています。特に、稟議が5段階以上ある企業や、承認者が出張・休暇で不在になると全体が止まるような体制では、迅速な意思決定ができず、商談や顧客対応の機会損失にもつながります。

本来、承認はリスクを抑えるための仕組みです。しかし、それが全員の了承を得るための儀式に変わると、組織のスピードを奪うサボタージュそのものになります。意思決定のスピードは、競争力そのものです。承認の段階を減らす設計に切り替えることが、組織を再び前進させる要となります。

ルール遵守が目的化している

本来、ルールは業務を円滑に進めるための道しるべです。しかし、いつの間にかルールを守ること自体が目的と化し、現場の思考を止めてしまうかもしれません。

サボタージュマニュアルには「すべての規則を隅々まで厳格に適用せよ」と記されています。本来は敵の組織を麻痺させるための指令でしたが、現代の企業でも同じような現象が見られます。

例えば、「手順書にないから進めない」「形式不備で差し戻しが続く」といった状況です。これは悪意のないサボタージュそのものであり、挑戦や改善の芽を摘んでいます。ルールは人を縛るものではなく、目的を達成するための補助線であるべきです。目的と手段のバランスを見直し、柔軟に運用できる組織こそ、変化に強いアンチ・サボタージュ体制を築けます。

責任の所在が曖昧になっている

誰が決めるのかわからないような意思決定の構造は、現代組織におけるサボタージュの温床です。実際にサボタージュマニュアルでは、「委員会を設け、決定を遅らせよ」と記されています。本来は敵の組織を混乱させるための戦略ですが、今の企業でも同じ構造が見られます。

例えば、重要な判断が合議制に持ち込まれ、誰も責任を負わないまま結論が曖昧になる、または上の承認を待つことが常態化し、決断が遅れる状態です。

結果として、リスクを取らない文化が定着し、意思決定のスピードが鈍化・責任感が分散していきます。これは個人の怠慢ではなく、組織構造に根付いたサボタージュといえるでしょう。

「昔からのやり方」が正義になっている

かつて成果を生んだ成功体験が、今では組織の足かせになっている状況もまた、現代型サボタージュの典型です。

サボタージュマニュアルでは「すべての規則を厳格に適用せよ」と書かれています。これは、変化を嫌い、過去の方法を絶対視することで、組織の動きを鈍らせる手口です。実際の職場でも、「前例がないからやめておこう」「これまでこのやり方で問題なかった」といった言葉が合言葉のように使われます。これらは安全志向に見えて、実は改善の機会を奪う停滞要因です。

サボタージュマニュアルから学ぶ、強い組織の作り方13選

サボタージュマニュアルに記された組織を壊す方法は、反対に強い組織をつくるための教科書でもあります。ここでは、逆説的な視点から、現代の企業が実践できる13の具体策を紹介します。

心理的安全性と迅速な意思決定

「意見を言うと否定される」「反論がタブー」というサボタージュ的な文化は、組織の停滞を生む最大の要因です。一方で、心理的安全性が高い組織ほど意見が出やすく、判断も速いことが研究で明らかになっています。

Googleの「プロジェクト・アリストテレス」では、成果を上げるチームの共通点として、心理的安全性を重要要素に挙げています。恐れのない環境では、ミスの早期発見や改善提案が活発になり、意思決定までの時間が短縮されるのです。

つまり、強い組織とは、沈黙ではなく対話が生まれる組織といえます。議論の質を高めることこそ、迅速な判断と健全な意思決定を支えるアンチ・サボタージュへとつながります。

参照:Google「『効果的な​チームとは​何か』を​知る」

リーダーの役割は判断のシンプル化

リーダーは、すべてを決める人ではなく、判断の数を減らす人です。サボタージュマニュアルでは、決定を遅らせるために「委員会を設けよ」「すべての承認を求めよ」と指示されています。

現代でも、判断基準が曖昧なまま承認するまでの流れが複雑になれば、組織は同じように動きを止めてしまいます。その逆を行くのが強いリーダーです。

ルールを明文化し、権限を委ね、日々の判断を仕組みで減らすことで、判断の回数を減らします。心理学ではこれを「決断疲れ(Decision Fatigue)」と呼び、不要な意思決定が思考の質とスピードを奪うことがわかっています。意思決定を減らすことこそ、スピードを上げる最善策です。仕組みで迷いを排除するリーダーこそ、サボタージュに強い組織をつくります。

データドリブンな組織運営

これからの組織は、感覚や経験ではなく、データで判断する文化を育てることが欠かせません。

サボタージュマニュアルが示す「非効率の本質」は、情報の欠如と属人的な判断にあります。裏を返せば、誰もが同じ情報を基準に判断できる仕組みこそ、サボタージュを防ぐ最大の武器です。

経済産業省の『DXレポート』でも、データの利活用とガバナンスが組織変革の中核に位置づけられています。データが部門をまたいで流れ、共通の指標で評価・投資判断ができる組織ほど、再現性のある意思決定が可能になります。

ただITを導入するだけではなく、事実に基づいて組織を動かす文化を根付かせることが必要です。

参照:経済産業省「DXレポート」
参照:経済産業省「データ利活用のポイント集」

意思決定を見える化する

組織が停滞する背景には、どこで止まっているのかがわからないという構造的な問題が挙げられます。サボタージュマニュアルが説く決定を遅らせる仕組みは、現代の職場でも、承認フローの複雑さや決裁の遅れといった形で、同じ構造が現れます。

そこで必要なのが、意思決定の流れを誰もが見える形にすることです。ダッシュボードで進捗を共有したり、滞留を自動で通知する仕組みを整えたりすれば、誰もが今の状況を把握できるようになります。

目的は、監視ではなく改善です。どこで時間がかかっているのかを明らかにすることで、話し合いのきっかけを生み、次のアクションへつなげられます。こうした見える化の重要性は、経済産業省が公表しているDX関連資料でも繰り返し指摘しています。透明な意思決定の仕組みは、組織を自律的に動かすための前提条件です。

属人化を防ぎ、プロセスを標準化する

「この仕事は◯◯さんしかできない」という属人化が進むと、組織のスピードは確実に落ちます。人が変わるたびにやり方が変わる環境では、ノウハウが共有されず、再現性も担保できません。

ここで重要なのは、標準化は効率を奪うものではなく、再現性を守るための仕組みだという視点です。RPA(業務自動化)やワークフロー管理、ナレッジベースの整備といった取り組みは、人が本来の判断や創造に集中できる環境をつくります。

感覚ではなくデータでマネジメントする

経験や勘に頼った判断は、組織が大きくなるほどズレを生みます。

経費や勤怠、購買、生産など、日々の業務データを見える形で共有し、事実をもとに議論できる環境を整えることが大切です。

感覚ではなく、実際の数値や記録をもとに意思決定をおこなう文化が根付けば、責任の所在が明確になり、議論も建設的になります。データで語れる組織こそが、判断の速さと信頼性を兼ね備えた強い組織といえます。

情報を流れる仕組みに変える

情報共有をメールや口頭に頼っていると、どんなに優秀なチームでも伝達の抜け漏れが発生します。これでは、意思決定のスピードが落ち、同じ説明を何度も繰り返す情報のサボタージュ構造が生まれてしまいます。

今の時代に求められるのは、情報を止めない仕組みです。ワークフローやデータ基盤を自動的につなぐことで、必要な人に、必要な情報が、必要なタイミングで届く状態をつくる。それが、組織の動きを止めないアンチ・サボタージュです。

企業の現場でも、「経費精算や承認作業のムダをなくしたことで、チームの動きが格段にスムーズになった」という声が増えています。
例えば、SAP Concur(コンカー)の経費精算システムの仕組みを活用すれば、申請から承認、支払い、会計処理までが自動的に連携し、メールや紙でのやり取りに頼る必要がなくなります。確認作業や差し戻し対応にかかる手間を減らし、経費情報が自然に流れる環境を整えることができます。

こうした「情報を止めない仕組み」こそが、組織のスピードと柔軟性を高める基盤になります。

Concur(コンカー)の経費精算システムについて詳しくはこちら

権限委譲とRACIチャートの導入をおこなう

意思決定をスムーズにするには、「誰が責任を持つのか」を明確にすることが欠かせません。RACIチャートは、そのための有効なフレームワークです。

RACIとは、以下の内容を指します。

  • R(Responsible):実行責任者
  • A(Accountable):最終承認者
  • C(Consulted):相談相手
  • I(Informed):報告先

RACIは、業務やプロジェクトにおける役割と責任の線引きを可視化します。この仕組みを導入することで、「誰が決めるのか」「誰に相談すべきか」が明確になり、判断の遅れやタスクの抜け漏れを防げます。また、上司が細かい承認作業に時間を奪われず、現場に権限を委譲できるようになる点も大きなメリットです。

組織全体の意思決定スピードを高めるには、すべてを上に仰ぐ構造から責任が流れる構造へ変えることが求められています。

チームビルディングで信頼関係を再構築する

サボタージュマニュアルでは、社員同士の関係が悪い状態を、組織崩壊の典型例として挙げています。このような関係は、業務の遅延や情報共有の停滞を引き起こし、結果的に生産性を大きく下げてしまいます。

その対策として効果的なのがチームビルディングです。ただのレクリエーションではなく、心理的安全性 や相互理解を高めるための仕組みとして組み立てることが重要です。例えば、プロジェクトごとに、目的・価値観・役割を共有する場を設けるだけでも、信頼関係の再構築につながります。

人事評価基準を明確にする

サボタージュマニュアルでは、「不公平な扱いや不透明な基準が組織の分断を生む」と指摘しています。この構造を反転させ、評価を透明にすることこそが士気を高めるのに効果的です。評価が曖昧なままでは、社員は何を目指せばよいのかが見えず、不満や対立が生まれます。一方で、誰がどの行動で評価されるのかを明確にすることで納得でき、成果への主体性が高まります。

特に近年では、「行動指針×成果」の両軸で評価する仕組みが主流です。数字だけでなく、チーム貢献や改善提案なども可視化し、評価されるプロセスの多様化を進めることが、健全な組織文化を育てるポイントになります。

非効率の兆しをデータで察知する

非効率は、突発的に起こるものではなく、日々の業務データのなかに静かに現れるサインです。会議時間や承認スピード、タスクの滞留率……。こうした数値を可視化すれば、どこで意思決定が止まり、どのプロセスがボトルネックになっているかを把握できます。

特に、大企業では「遅れている」「止まっている」といった感覚的な判断に頼ると、問題の根が見えません。だからこそ、データで構造的な非効率を察知する仕組みを作るのが重要です。

複雑なルールを「減らす設計」に変える

サボタージュマニュアルでは、「手続きを多重化せよ」「すべての規則を厳格に適用せよ」といったルールを増やす設計が組織の停滞を生むとされています。この発想を逆手に取り、現代の企業では減らす設計への転換が重要です。

承認ルートを最短化する、判断基準を明文化する、手続きの重複をなくすという小さな改善の積み重ねが、組織のスピードと柔軟性を取り戻します。

複雑なルールは安全装置に見えて、実は動きを止める静かなサボタージュになり得ます。だからこそ、必要最小限のルールで動ける仕組みを整えることが、強い組織の条件です。

目的と判断基準を全員が共有できる状態にする

サボタージュマニュアルでは、「手段を優先し、目的を見失わせよ」と書かれています。

現代の企業でも、なぜやるのかが曖昧なままでは、会議や書類作成が目的化してしまうかもしれません。例えば、報告のための報告や承認のための資料作りがルーティン化すると、社員一人ひとりの判断が鈍り、組織の動きが遅くなります。だからこそ、経営層から現場までが目的と判断基準を共有することが重要です。

具体的には、ミーティングを定期的に設けたり、「Why・How・What」で判断を整理するフレームを導入することで、意思決定の軸が全員揃います。結果として、個々の判断スピードが上がり、チーム全体の生産性も安定していくでしょう。

まとめ

ここまで見てきた「非効率=サボタージュの構造」は、決して遠い昔の話ではありません。現代の企業でも、会議の長文化・承認の遅延・情報の断絶といった形で、静かに組織を蝕んでいます。効率的に動ける組織こそ、大きな競争力を持つ組織です。そのためには、人手に頼らず、正確に情報が流れる仕組みを整えることが欠かせません。

経費精算、承認、購買といったプロセスを自動的につなぐことで、人手による遅れや伝達ミスといった現代のサボタージュを根本から防げます。

コンカーでは、こうした課題を解決するクラウド型経費精算・管理ソリューションを提供しています。全社のプロセスを一元化し、経営のスピードと透明性を高めることで、サボタージュの入り込む余地をなくし、強い組織を支える仕組みを実現します。

当社のサービスをより詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

Concur Expense 経費精算システム

参考:
『サボタージュ・マニュアル』あなたの会社はなぜ非効率?|HONZ
驚くほど仕事が進まない!! 組織を破壊する「サボタージュマニュアル」|SR人事メディア

本ブログは、2018年に公開したブログに加筆修正をおこなったものです。

経理・総務の豆知識
2025年4月、トランプ米大統領は「相互関税」政策を発表し、日本を含む多くの国・地域に対して新たな関税率を適用すると表明しました。日本には15%、中国には既存の20%に加えて30%が上乗せ(2025年10月現在)されるなど、国際貿易環境は大きく変動しています。このような情勢下では輸入取引を行う企業の担当者は、通常よりもさらに深い関税の基礎知識と正確な会計処理方法を理解することが求められます。
もっと見る
経理・総務の豆知識
CHRO たちは、CFO との連携をさらに深めたいと考えており、すぐにでも取り組める具体的な協業の機会をいくつも挙げています。
もっと見る
経理・総務の豆知識
AI と SAP Concur ソリューションを活用して、IT リーダーが成長を促進し、サイバーセキュリティを強化し、効率を改善し、IT ポリシーを最適化することができる実践的な戦略をご紹介します。
もっと見る