テレワークのメリットとデメリットとは?働き方と業務への影響

ICT(情報通信技術)を活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方、テレワーク。総務省が推進する働き方改革のもと、労働人口減少への対策や生産性の向上を目的にテレワークの導入が進んでいます。今回はテレワークを導入することによるメリットと、実施した企業が感じたデメリット、その解決法についてご紹介します。

 

テレワークによって従業員と企業が受けるメリットとは?社会にもいい効果が。

「テレ」「ワーク」という言葉の通り、オフィスからどんな遠くにいても環境があれば働けるテレワーク。場所に捉われないというだけで、もたらされる効果は様々なところに派生します。従業員と企業だけでなく、社会にもメリットがあるんです。

①企業にとっての効果

-人材獲得
「働く場所にとらわれない」ということは、人材獲得でも強みを発揮します。対象者を育児・介護を事由とする社員に限定し、福利厚生的に提供するのではなく、それぞれの状況をもとに従業員が最も効率の良い働き方を選択する際のオプションとして、自律的に活用される仕組みになっていることで、売り手市場でも優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。また、従業員のライフスタイルが変化したときにも、退職以外のオプションが発生し、離職防止にも繋がります。

-企業変革促進
伝統ある企業では大雪でも台風でも出社することが前提の風土がまだ残っています。また、そのような企業ではマネジメントも「出社ありき」となっています。これからのビジネスを取り巻く環境を考えると、国内外で活躍できる多様な人材をうまく活用することは必須ですが、会社に来るように指示するスタイルでは目の前にいる従業員しか管理できません。しかし、テレワークを導入することで、目の前にいない人をマネジメントする必要が出てきます。これは、今まで「出社ありき」の慣習によって成り立っていた組織風土や価値観を大きく変えるチャンスです。マネジメントを変え、組織風土を変えていくことで、企業変革の促進に繋がります。

-オフィスコストの削減
多くの企業では、従業員1人ひとりに椅子や机が用意されており、会議室や応接室、カフェスペースなどがあります。多くの企業は毎月賃料を支払い、従業員がオフィスで働きやすいような環境を整えています。当たり前のコストとして見なされるオフィスコストですが、テレワークを導入すれば、全従業員が毎日オフィスに揃う必要がなくなるため、フリーアドレス制と合わせてオフィススペースを削減することが可能になります。また、テレワーク可能な部門の一部を、賃料の安い郊外や地方へと移すことも、賃料の削減につながります。オフィスコストは、一度削減すれば長期的なコスト削減を見込めます。

また、オフィスの賃料だけでなく、出社する従業員の減少によって、照明や空調使用時間などの光熱費の削減にもつながります。平成23年の総務省試算では、テレワークの導入でオフィスの電力消費量が1人当たり43%も削減可能と試算されています。

-事業継続性の確保
地震や新型インフルエンザなどの予期せぬ災害が発生した際、企業として事業を継続していくことは非常に重要です。日本テレワーク協会が行った調査によると、2011年に発生した東日本大震災の直後及び計画停電期間中の業務遂行状況や業務効率への影響として、テレワークの社内ルールが震災前からあった企業では、「通常と同じように仕事ができた」が61.5%と高く、テレワークの社内ルールがなかった企業の40.0%と大きな差が見られました。

日頃からテレワークを運用し、オフィス以外の場所で仕事をすることに慣れておくことで、災害発生時に素早く事業を再開及び継続することが可能となります。

②従業員にとっての効果

-ワーク・ライフ・バランスの実現
時間をかけて都市部のオフィスへの通勤することや、人手不足で長時間の残業が当たり前となっていてはワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現することはなかなか難しいものです。しかし、テレワークの導入によって、通勤をはじめとする移動時間の削減や、ペーパーワークをはじめとした非生産的な業務の効率化によって、家族・パートナー・友人とともに過ごす時間、育児や介護、自己啓発に使える時間を増やすことが可能となります。

-業務効率化
公益財団法人 日本生産性本部が発表した「労働生産性の国際比較 2018」では、日本の時間当たり労働生産性は47.5ドルで、OECD加盟36カ国中20位、主要先進7カ国では最下位とされており、長時間労働に対して非効率な働き方をしていることが明らかになっています。

テレワーク導入のためには、ITツールの導入をし、ペーパレスで業務ができる環境を整備しておく必要があります。結果として、オンラインでの迅速な情報共有が可能になったり、データ入力等のルーチン業務が自動化されたり、書類の電子化による印刷が不要になったりと業務効率が大きく上昇します。テクノロジーを活用することで業務の高速化が図られるというわけです。

③社会にとっての効果

-環境負荷の軽減
テレワークによって、経済活動への影響を最小限にしつつ、電力消費を抑えることが可能です。日本テレワーク協会の試算では、在宅勤務による家庭用の照明や空調はオフィス用のものよりも電力消費量が小さいため、テレワーク導入による家庭の電力消費量の増加を考慮しても、オフィス・家庭全体で電力消費量は、一人当たり14%削減可能です。

また、平成23年5月に行った日本テレワーク学会・BCP研究部会緊急提言によると、テレワークの大規模な実施により、一人当たり約1kW の電力削減効果でき、その年の夏100 万人がテレワークを実施すれば、100 万kW の電力削減と試算されています。

-労働人口減少の緩和
「働く場所にとらわれない」ということは、育児・介護を理由に仕事を諦めざるを得なかった方をはじめ、何らかの理由で通勤が難しい方、地方に在住しており雇用のチャンスが少ない方であっても、能力があれば就業機会を得ることが可能です。人口構造が急激に変化し少子高齢化が進むなか、個々人の働く意欲に応え、その能力を遺憾なく発揮し活躍できる環境を整える、テレワーク導入は日本社会にとっても非常に重要な役割を担っています。

-雇用創出
総務省が公表した外国人を含む2019年の人口移動報告によると、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)における転入者は転出者を14万8783人上回る「転入超過」だったそうです。この東京への一極集中の原因としては、高水準の教育や好待遇の求人のニーズがあります。

好待遇の求人というニーズを地方で満たすことができるのがテレワークです。地方オフィスにオフィスを設立して従業員を募集する、子育てや介護を理由に移住が必要な従業員が地方で業務を継続するといった取り組みにより、地域の認知度の向上や移住者の増加、雇用の拡大といった地域活性化が期待できます。

 

一方で、テレワークを運用していくには課題も。

テレワークには、上に記したとおりの大きなメリットがあり、確実な結果と手ごたえがもたらされています。実際に経験した従業員の3割は特に問題はないとする一方で、運用上の課題や懸念事項を次のように上げています。

・仕事と仕事以外の切り分けが難しい

・長時間労働になりやすい

・労働時間の管理が難しい

・コミュニケーションに問題あり
(平成27年 JILPT 情報通信機器を利用した多様な働き方の実態に関する調査より)

「仕事と仕事以外の切り分けが難しい」「長時間労働になりやすい」は従業員が感じたデメリットです。サテライトオフィスやシェアオフィスではなく、在宅で仕事を行う場合、プライベートな空間であったり、家族がいたりするため仕事モードとプライベートモードを分けることが難しいようです。また、それに伴って仕事モードで集中しすぎてしまうと、終わらせるタイミングを掴めず、長時間労働になりやすいことが推測されます。

一方で、「労働時間の管理が難しい」「コミュニケーションに問題あり」は企業側が感じたデメリットについては、テレワークにおいてはオフィスで直接上司と会わなければ、出勤して打刻も行わないため、労働時間の管理の難しさがあがっています。また、face to faceでのコミュニケーションの減少やテキストベースでのコミュニケーションによる問題も感じているようです。

 

それでも、テレワークを運用したい!デメリットの解決策は?

とはいえ、上記のメリットや今後の経済状況を考えるとテレワークを導入しないわけにはいきませんよね。課題を解決する方法を考えてみました。

課題①仕事と仕事以外の切り分けが難しい

従業員それぞれが自分自身で業務をマネジメントしていくことが重要です。その日の進捗目標やto doリストを作成し、専用の仕事スペースを確保する、興味が逸れるものは近くに置かないなど各自でできる範囲の努力を行いましょう。また、一定程度労働者が業務から離れる中抜け時間に対して、始業時刻の繰り上げや終業時刻の繰り下げ、時間単位の年次有給休暇ルールとして取り決めることもいいかもしれません。(就業規則への記載や、労使協定の締結が必要です。)

課題②長時間労働になりやすい

時間外、休日又は深夜に業務に係る指示や報告は、自粛を命ずること、深夜・休日は社内システムにアクセスできないよう設定したり、長時間労働が生じるおそれのある労働者や休日・深夜労働が生じた労働者に対して注意喚起を行うことで、企業として労働時間を管理するだけでなく、長時間労働による従業員の健康障害防止を図ることが可能です。

課題③労働時間の管理が難しい

通常の労働時間制度に基づきテレワークを行う場合についても、企業は労働者の労働時間について適切に管理を行わなければなりません。厚生労働省はガイドラインで、労働時間を記録する原則的な方法としては、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録によること等を挙げています。やむを得ず自己申告制によって労働時間の把握を行う場合においても、同ガイドラインを踏まえて措置を講ずる必要があります。

課題④コミュニケーションに問題あり

コミュニケーションの希薄化を解消するためには、ウェブ会議ツールや気軽にやり取りできるチャットツールが有効です。定期的に上司との1on1ミーティングや、チームミーティングをウェブ会議ツールで行い、ビデオをonにして顔を見ながら、仕事の進捗や困っていることを話しましょう。また、コミュニケーションツールはテキストベースでのやり取りとなるため、ニュアンスを伝える配慮や感謝・お礼をいつもより積極的に伝えるように意識しましょう。

以上、テレワークがもたらすメリットとデメリット、その解決法について紹介しました。テレワークの継続的な運用には、制度やツールはもちろんのこと、組織や従業員一人一人の心がけや自律心も大切です。従業員・企業、そして社会がテレワークによってメリットを享受できるよう、課題をクリアしていきましょう。

 

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