経理・総務の豆知識
適格請求書の登録番号とは?確認方法・取得方法・記載ルールをわかりやすく解説
適格請求書(インボイス)は、仕入税額控除を受けるために必要な事項を記載した請求書や領収書です。インボイス制度に対応するうえでは、適格請求書発行事業者に付与される「登録番号」の確認や管理も欠かせません。
この記事では、適格請求書の登録番号とは何か、確認方法や取得方法、請求書への記載ルール、よくあるトラブルの対応までわかりやすく解説します。
適格請求書の基本や発行・受領側それぞれの対応について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
適格請求書(インボイス)の登録番号とは
適格請求書の登録番号は、国税庁が適格請求書発行事業者を識別するために付与する番号です。ここでは、構成や必要性、記載されていない場合の影響を解説します。
登録番号の基本的な意味
登録番号は、原則として「T」と13桁の数字で構成されます。 法人の場合は、法人番号の先頭に「T」を付けたものが登録番号になります。例えば、法人番号が「1234567890123」であれば、登録番号は「T1234567890123」となります。
一方、個人事業主には法人番号が付与されていません。そのため、法人番号と重複しない13桁の数字が新たに割り当てられ、その先頭に「T」が付きます。
なぜ登録番号が必要なのか
適格請求書を発行した事業者が、税務署の登録を受けているか確認するために必要です。
買い手が消費税の仕入税額控除を受けるには、原則として、適格請求書発行事業者から交付された適格請求書を保存しなければなりません。登録番号が記載されていれば、買い手は国税庁の公表サイトで登録状況を照合できます。
例えば、事業者が商品を11万円で仕入れ、そのうち1万円が消費税だったとします。必要事項が記載された適格請求書を保存すれば、買い手は原則として、その1万円を売上時に受け取った消費税から差し引けます。
このように、登録番号は、買い手が仕入税額控除の要件を確認するうえでも重要な情報です。
登録番号がない場合の影響
登録番号は、適格請求書の必須項目の一つです。ほかの事項がそろっていても、記載がなければ、原則として適格請求書として扱われません。 適格請求書として扱われない場合、買い手は原則として、その書類をもとに仕入税額控除を受けられません。仕入れや経費の支払い時に負担した消費税額を差し引けなくなるため、結果として納付する消費税額が増えることも考えられます。
なお、適格請求書発行事業者以外からの仕入れについては、一定期間、仕入税額相当額の一部を控除できる経過措置が設けられています。詳しくは、後述する「取引先が未登録だった場合」で解説します。
インボイス制度の仕組みや免税事業者への影響について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
インボイス制度とは?免税事業者への影響と対策をわかりやすく解説
課税・免税事業者の違いとは
課税事業者と免税事業者では、消費税の申告・納付義務や、適格請求書を発行できるかどうかが異なります。以下の表に整理しました
| 区分 | 課税事業者 | 免税事業者 |
| 消費税納税 | あり | 原則なし |
| 申告義務 | あり | 原則なし |
| インボイス発行 | 登録後に可能 | 不可 |
| 売上基準 | 基準期間の課税売上高が1,000万円超など | 基準期間の課税売上高が1,000万円以下 |
基準期間の課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間の課税売上高や届出の状況などによって、課税事業者になる場合があります。 また、免税事業者が適格請求書発行事業者として登録すると、課税事業者となり、消費税の申告・納付義務が生じます。
(参照:国税庁、「No.6501 納税義務の免除」)
適格請求書の登録番号の確認方法
登録完了時に届く通知書や、国税庁の公表サイトなどで確認できます。ここでは、実務で使われる主な確認方法を紹介します。
① 登録通知書で確認する方法
最も基本的な方法は、税務署から交付された登録通知書を確認することです。 登録通知書には、登録番号や登録年月日、事業者名などが記載されています。e-Taxによる電子通知を希望した場合は、e-Taxソフト(Web版)の「通知書等一覧」から登録通知書を確認できます。
② 国税庁「適格請求書発行事業者公表サイト」で検索する方法
取引先の登録状況を確認する際は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」を利用できます。 検索欄に「T」を除く13桁の数字を入力すると、適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録年月日などを確認できます。請求書の記載内容と公表情報を照合し、取引先の登録状況を確かめる際に活用できます。
取引先の登録状況は、以下のリンクから確認できます。
国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイト
③ 法人番号から確認する方法
法人が適格請求書発行事業者として登録している場合、登録番号は「T+13桁の法人番号」で構成されます。そのため、取引先の法人番号がわかれば、公表サイトで検索する13桁の数字も把握できます。 不明な場合は、国税庁の法人番号公表サイトで法人名や所在地から検索します。そこで確認した13桁の数字を、適格請求書発行事業者公表サイトへ入力すれば、取引先が登録を受けているか照合できます。
取引先の法人番号は、以下のリンクから確認できます。
国税庁法人番号公表サイト
適格請求書登録番号の取得方法
取得するには、税務署へ「適格請求書発行事業者の登録申請書」を提出し、登録を受ける必要があります。詳しい手順を解説します。
登録申請の基本手順
取得までの流れは、次の通りです。
ステップ | 内容 |
① 登録申請書の作成 | 国税庁フォーマットに従い、事業者情報・法人番号などを記入し申請書を作成する |
② 申請書の提出・審査 | 作成した申請書を提出し、税務署による審査を受ける |
③ 適格請求書発行事業者として公表 | 登録完了後、国税庁サイトで登録番号、登録年月日などが掲載される |
④ 登録通知書の受領 | 登録番号・登録日などが記載された通知を受け取り、内容を確認する |
登録申請書を提出してから登録通知を受け取るまでの目安は、e-Taxによる提出で約1ヵ月、書面による提出で約1.5ヵ月です。ただし、申請内容や受付状況によっては、通知までに時間がかかる場合もあります。
そのため、登録希望日が決まっている場合は、余裕をもって申請しましょう。
登録申請書は、以下のリンクから確認できます。
適格請求書発行事業者の登録申請書
申請方法
登録申請は、e-Taxまたは郵送で行います。
e-Taxソフト(Web版)では、問答形式で必要事項を入力し、オンラインで申請できます。入力漏れを防ぎながら手続きを進めやすい点がメリットです。登録通知の受領方法として電子データを選択すれば、申請後の通知もe-Tax上で確認できるため、通知の受け取りまで含めて一連の手続きをオンラインで完結できます。
郵送でも登録申請が可能です。登録申請書に必要事項を記入し、各国税局のインボイス登録センターへ送付します。
適格請求書(インボイス)の記載ルール
適格請求書として認められるには、登録番号だけでなく、取引年月日や取引内容、税率ごとの消費税額などを記載しなければなりません。
ここからは、記載ルールを見ていきましょう。
登録番号の記載位置
記載する位置について、法令上の細かな指定は設けられていません。請求書の上部や発行者情報の近くなど、受領者が確認しやすい場所に記載するのが一般的です。
ただし、確認しやすい位置であっても、文字が小さすぎたり、ほかの番号に紛れたりすると、取引先が見落とすことも考えられます。発行者の氏名や名称、屋号の近くに配置し、「登録番号」と明記しましょう。
記載必須項目
適格請求書には、原則として次の項目を記載します。
- インボイスを受け取る相手の氏名または名称
- 発行事業者の氏名または名称と登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
- 税率ごとに区分した対価の総額と適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
記載漏れがあると適格請求書の要件を満たさない可能性があるため、発行前に内容を確認しましょう。
(参照:国税庁「インボイス制度について」)
登録番号の確認・運用でよくあるトラブル
ここでは、公表サイトで見つからない場合や取引先が未登録だった場合、入力・照合を誤った場合の対応方法を解説します。
番号が見つからない場合
適格請求書発行事業者公表サイトで見つからない場合は、まず入力内容に誤りがないか確認します。
登録番号は「T+13桁の数字」で構成されていますが、公表サイトで検索する際は、「T」を除いた13桁の数字を入力します。正しく入力しても表示されない場合は、請求書の記載自体が誤っている可能性も考えられます。
取引先が法人であれば、法人番号公表サイトで会社名から法人番号を検索し、その番号を使って登録状況をあらためて照合します。それでも確認できない場合は、取引先へ正しい情報を問い合わせ、必要に応じて適格請求書の再発行を依頼しましょう。
取引先が未登録だった場合
取引先が適格請求書発行事業者として登録されていない場合、その取引先は適格請求書を発行できません。そのため、買い手側は原則として、その取引にかかった消費税について仕入税額控除を受けられません。 ただし、未登録事業者からの仕入れには経過措置が設けられています。
適用期間 | 控除できる割合 |
~2026年9月30日 | 80% |
2026年10月1日~2028年9月30日 | 70% |
2028年10月1日~2030年9月30日 | 50% |
2030年10月1日~2031年9月30日 | 30% |
経過措置の終了に向けて控除できる割合は段階的に引き下げられます。そのため、継続的に取引する場合は、控除できない金額や取引先の登録予定を確認したうえで、今後の取引条件を検討することが大切です。
取引価格を見直す場合は、仕入税額控除が制限される金額だけでなく、取引先が仕入れや経費の支払いで負担している消費税も考慮する必要があります。買い手側の都合だけで一方的に値下げせず、双方が納得できる条件を協議することが大切です。
登録番号の入力ミス・照合ミスがあった場合
誤って記載すると、適格請求書発行事業者公表サイトで登録状況を照合できません。適格請求書の記載要件を満たしているか確認できなければ、買い手側の仕入税額控除に影響する可能性があります。
照合できない場合は、入力内容を見直したうえで、取引先へ正しい情報を確認しましょう。必要に応じて、公表サイトで現在の登録状況も確認します。
取引先が多い場合は、会計ソフトの一括照会機能や、国税庁が提供するWeb-APIなどを活用すると、確認作業を効率化できます。
適格請求書登録番号に関する注意点
ここでは、登録番号を使用する際の注意点や、廃業・変更があった場合に必要な手続きを解説します。
番号の使い回しはできるのか
登録番号の使い回しはできません。登録を受けた事業者には固有の番号が通知されます。法人には「T+法人番号」、個人事業者などには法人番号と重複しない事業者ごとの番号が付与されます。
適格請求書には、請求書を発行する事業者の氏名または名称と登録番号を記載する必要があります。そのため、実際に取引を行った事業者とは異なる登録番号を記載することはできません。
廃業・変更時の扱い
廃業や法人の清算結了などにより事業を終了する場合は、事業廃止届出書など、状況に応じた書類を提出します。事業を継続したまま適格請求書発行事業者の登録を取りやめる場合は、登録取消しの手続きが必要です。
一方、氏名や名称、所在地など、登録簿に登載されている事項に変更があった場合は、原則として登録事項変更届出書を提出します。
事業の廃止、登録の取消し、登録事項の変更では必要な手続きが異なるため、国税庁の案内を確認し、該当する届出を行いましょう。
(参照:国税庁「インボイス発行事業者の登録を取り消す場合などに提出すべき書類」、「D1-66 適格請求書発行事業者登録簿の登載事項変更届出手続」)
適格請求書制度への対応を効率化する方法
インボイス制度への対応では、取引先の登録状況の確認だけでなく、税率の判定や消費税額の計算、証憑の保存といった作業も発生します。ここでは、システムの活用や経理業務の見直しによって、対応を効率化する方法を解説します。
会計ソフト・請求書ソフトの活用
インボイス制度に対応した会計ソフトや請求書ソフトを導入すれば、税率ごとの消費税額の計算や、適格請求書の作成を効率化できます。 請求書のフォーマットに登録番号をあらかじめ設定しておけば、発行のたびに番号を入力する必要がありません。入力項目を統一することで、記載漏れや転記ミスも防ぎやすくなります。
さらに、システムによっては、経費申請や承認、請求書の受取から入力、支払いまでを電子化できます。また、経費や請求書支払いを一つのシステムで管理できるものもあります。
登録番号管理の自動化
登録番号の管理は、AI-OCRや国税庁の公表情報との連携に対応したシステムを活用することで自動化できます。取引先ごとの登録番号を表計算ソフトへ手入力し、目視で照合していると、数字の打ち間違いや確認漏れが起こりやすくなります。取引先が増えるほど確認対象も多くなるため、担当者の作業負担も大きくなります。 こうした負担は、AI-OCRや国税庁の公表情報との連携に対応したシステムを活用することで軽減できます。請求書や領収書に記載された登録番号を自動で読み取り、登録状況を照合できるため、手入力や目視確認の作業を減らせます。
照合結果を経費明細や取引先情報とあわせて管理することで、確認作業の効率化だけでなく、入力ミスや確認漏れの防止にもつながります。
経理業務の効率化ポイント
インボイス制度への対応では、取引先情報や記載項目の確認、消費税処理、証憑の保存など、経理担当者の作業が増えます。こうした業務を効率化するには、システムの導入とあわせて、社内の処理手順や申請ルールを整理することが重要です。
請求書発行や支払依頼、経費精算などのワークフローを見直し、必要な証憑をすみやかに経理部門へ集められる体制を整えることで、確認や入力の重複を減らすことができます。
適格請求書登録番号の管理は業務効率化で大きく改善できる
登録番号は、適格請求書発行事業者を識別し、取引先の登録状況を確認するために使われます。 発行側は、正しい登録番号と必要項目を請求書へ記載しなければなりません。受領側も、適格請求書の記載内容を確認し、適切に保存する必要があります。
しかし、経費精算と請求書処理を別々の方法で管理していると、登録番号の確認や取引先情報の照合作業が分断されます。同じ情報を複数のシステムへ入力することになり、経理担当者の負担や入力ミスが増える原因にもなります。
SAP Concurの「Concur Expense」は、経費申請や承認などの経費精算業務を効率化するサービスです。「Concur Invoice」と組み合わせれば、請求書の受領から承認、支払管理までを含めて一元的に管理できます。 個別の照合作業だけを効率化するのではなく、経費精算と請求書処理を含む業務全体を見直すことで、インボイス制度への対応負担を軽減できます。