出張・経費管理トレンド
2026 年に注目すべき出張・経費管理のトレンド
※こちらは、SAP Concurのアメリカ本社にて公開されたブログの抄訳です。
ビジネスで成功するには、もはや確実性に頼るだけでは不十分です。不確実性の中をうまく切り抜ける力が求められます。2025年、多く企業が、急速な経済・社会・政治の変化の影響を強く受けました。そして、この変化は今後も止まる気配がありません。
2026年に戦略と同じくらい重要になるのが「適応力」です。特に財務・出張担当者にとっては、エージェント型AIの進展や業界の統合など、新たなトレンドを常に把握し、それが今後の業務にどのような影響を与えるかを予測し、必要に応じて柔軟に方向転換できる準備が求められます。
以下は、SAP Concurの幹部が「今後の出張・経費管理(T&E)の次の章を形作るトレンド」として挙げるポイントです。
テクノロジーはこれまで以上の価値を生む可能性がある——しかし、信頼と透明性がカギ
2026年には、出張の一連のプロセスやサプライヤーとの関係において、よりパーソナライズされた体験が大きく進展すると見込まれます。AIや予測分析の進化により、より直感的で個々のニーズに応じた体験が可能になり、その効果は出張にとどまらず、人事・財務・調達などのビジネス全体に広がり、これまで以上の価値を生むでしょう。
一方で、AIの性能はあくまで基盤となるデータの質に依存します。また、ディープフェイクやデータプライバシーのリスク、詐欺など、技術導入に伴う課題も企業のT&Eポリシーに影響を与えています。こうした状況は、相互運用性、共通データ基準、セキュリティ対策、認証、ガバナンス、人間による監視などの重要性を改めて浮き彫りにしています。さらに、AIの導入に伴い、企業が人材やスタッフ配置にどう対応するかにも注目が集まります。信頼を築き、透明性を確保することが、来年以降の進展に不可欠な要素となるでしょう。
過去2年間にわたる出張業界の統合は、2026年も引き続き進む見込みです。SAP ConcurはAmerican Express Global Business Travel (Amex GBT) と発表した戦略的提携や、共同開発したソリューションを通じて、企業と出張者のT&E体験を再定義する取り組みを進めています。
現在、出張業界は非常にダイナミックな変化の時期にあり、これまでにない革新が生まれています。従来、業界は新しい技術への適応が比較的ゆっくりでしたが、現在の変化による一時的な負荷や試行錯誤は、T&Eの未来を形作るという大きな機会の前では十分に価値あるものと言えるでしょう。
– チャーリー・スルタン (Charlie Sultan)、Concur Travel プレジデント、SAP Concur
テクノロジーは効率、コンプライアンス、出張者エクスペリエンスのバランスをとるのに役立つ
出張の次なる展開では、AI を活用したソリューションとそれを導入する人々が、テクノロジー、安全性、出張者エクスペリエンスがシームレスに共存するエコシステムを構築するでしょう。
空港や航空会社にとって、テクノロジーを最新化させていくことはもはや避けられない必須事項となっています。生体認証のチェックポイントの増加や、AIによる予知保全などにより、出張・航空のエコシステムは、2026年に向けてより迅速かつ安全に進化していきます。この変革は、顧客が求める「迅速で直接的な情報アクセス」と「可能な限りスムーズなセキュリティプロセス」という期待にも合致しています。
2026年、企業はAIをどこで、どのように活用すれば最大の効果が得られるかを引き続き探っていくでしょう。AIは、出張者の安全管理(Duty of Care)の向上にも活用され、リスクを予測したり、個々の出張者に合わせた安全アラートを提供したりすることが可能になります。また、トラベルマネージャーは、AIや自動化を活用して、効率性・持続可能性・共感性のバランスを取りながら、出張プログラムを運営できるようになります。パーソナライズされた提案、簡易化された経費管理、出張者が安心感を持てるサポートツールなどが、その一例です。さらに、バーチャルカードやモバイル決済の普及により、出張準備はこれまでになくスムーズになっています。
2025年には、一部の出張者の間で生成AIへの慎重な姿勢も見られましたが、こうした技術は今やあらゆる場面に浸透しており、その勢いは衰える兆しがありません。出張者は、単に旅程の提案や基本的な予約を任せるだけでなく、AIを使って旅程全体を管理し、トラブル発生時にはリアルタイムで対応するようになります。帰社後の経費精算も格段に簡単になります。
こうした変化により、2026年の出張体験は、より直感的で、ストレスの少ない、そして快適なものへと変わっていくでしょう。
– ジェン・モイセ (Jen Moyse)、製品担当バイスプレジデント兼 UX 責任者、SAP Concur
2026年以降、AIが経費精算を“なくす”可能性がある
2026 年、出張・経費管理の未来はますます従来のアプリケーション以外で行われるようになるでしょう。AIがMicrosoft TeamsやSlackなどのコラボレーションツールに深く統合されることで、経費精算の承認や出張手配といった業務も、社員が普段使っている作業環境の中で完結するようになります。
さらに、AIは複数のデータソースを連携・照合できると、その力をより大きく発揮します。システムがつながることで、出張の旅程、経費精算書、給与明細、請求書などの情報を基に、各取引のよりインテリジェントで信頼性の高い把握が可能になります。
従来のツールにとどまらず支出管理が広がる中、企業はデータセキュリティやコンプライアンスの維持に引き続き注意を払う必要があります。新しい技術には誤用のリスクも伴いますが、AIが導入されたからといって必ずしも不正が増えるわけではなく、不正の形が変わるだけです。例えば、SAP Concurの新しいAI生成レシートチェッカー「Verify」で確認したレシートのうち、約1%はAIによって生成された可能性があることがわかっています。こうした初期の事例は、革新を続けることの重要性を示しています。
今後も、手作業のプロセスを自動化し、AIを活用したサービスで効率化とガバナンスの両立を図る取り組みが続くでしょう。数年のうちに、「経費精算書」という概念そのものが不要になる可能性があります。AIが自律的に監査・照合・支払いまでをバックグラウンドで行い、社員はより戦略的な価値創出に時間を集中できる未来が見えてきます。
– クリストファー・ジュノー (Christopher Juneau)、SVP 兼製品マーケティング責任者、SAP Concur
テクノロジーおよび出張・経費への投資は、中堅・中小企業の成功を後押しする可能性がある
中堅・中小企業 (SMB) は正に回復力そのものです。大規模な多層企業よりも迅速に戦略を転換できることが多く、2026 年にも変動が続くことを認識しています。そのため、ほとんどの中堅・中小企業は、強力な現金とリスクのバッファーを維持しながら、テクノロジーやスマートな出張への投資など、堅調な成長が見込まれる分野に資金を提供しています。
基本的な自動化からエージェンティック AI に至るまで、継続的なテクノロジーの導入により、中堅・中小企業は効率性、可視性、コントロールにおいて重要かつ測定可能な改善を促進することができます。すでに利用しているツールでの AI 導入からスタートして、関連性の高い信頼できるデータを基盤とするアプリケーションに投資する企業は、リスクを軽減し、従業員全体への導入を加速することができます。
中堅・中小企業は真の ROI をもたらす出張に投資すべきです。そして、安全性、持続可能性、コスト管理を優先しながら、従業員により多くの選択肢と自律性を提供するテクノロジーに目を向けることになります。AI は、ビジネスにとってのメリットと優れた従業員エクスペリエンスの両方の長所を実現することが期待されています。
バーチャルカードや動的なカード管理などの事前支出管理も、組織が支出を管理し、リスクを軽減し、業務経費の現金支出の負担を軽減する方法を大きく変えるでしょう。
予測不能な状況では、中堅・中小企業は可能な限りコスト管理と安定性を推進し続けます。中堅・中小企業は、キャッシュフローの改善とビジネスプロセスの自動化を支援する取り組みから、最も高い ROI を得ています。出張・経費は大規模で管理可能な支出カテゴリーであり、出張・経費を事業開発と成長への投資と捉え続ける中堅・中小企業は、2026 年に成功する可能性が高くなります。
– ケイシー・フリガレ (Kacey Flygare)、ゼネラルマネージャー兼グローバルビジネス責任者、SMB、SAP Concur
財務部門は「フェイルフォワード」文化を取り入れることで AI 導入に成功できる
2026 年、AI 導入をリードする財務組織は、フェイルフォワードー失敗から前進するマインドセットを支持する組織でしょう。AIが多くの数値計算を自動化するようになる中で、財務チームの差別化要素は、単なる数字処理ではなく、「批判的に考え、適切な問いを立て、失敗から素早く学ぶ力」に移っていきます。私たちは変化を推進する側であり、変化に振り回される側であってはなりません。
しかし、この変化を実現するには、組織文化のリセットが不可欠です。財務の専門家はエラーを排除するよう教育されてきましたが、AIによるイノベーションは、試行・検証・改善のプロセスの中でこそ生まれます。リーダーは自ら手本を示し、計算されたリスクを取ることを奨励し、ミスは責めるのではなく分析し、学びを進歩として評価する環境を作る必要があります。
失敗を「挫折」ではなく「データポイント」として捉えることができて初めて、財務機能はAIの可能性を最大限に引き出し、意思決定、成長、価値創造のあり方を再構築できるようになるでしょう。
– ソニア・サイモン (Sonja Simon)、最高財務責者、SAP Americas
