出張・経費管理トレンド
『【経理白書2026】経理業務の最新動向:急速なAI普及と物価高騰への対処』を解説
経理白書2026 を解説!
経費精算のデジタル化が加速する中、AIの導入は経理部門にとってもはや「検討すべき選択肢」ではなく、「標準的なツール」へと変わりつつあります。一方で、旅費・交際費の高騰という実務的な課題も深刻さを増しています。
そこでコンカーは、従業員500人以上の企業で部下をもつ経理管理職400人を対象にアンケート調査を実施しました。本ブログでは、2026年度 経理白書の調査結果の中から、特に注目すべき4つのテーマをご紹介します。
調査概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 調査名称 | 経理業務の最新動向 |
| 調査期間 | 2025年12月11日〜12月15日 |
| 調査方法 | インターネット調査 |
| 調査対象 | 従業員500人以上の企業で経費精算を担当する部下をもつ経理管理職 400人 |
| 実施主体 | 株式会社ネオマーケティング |
調査対象者は、係長以上の役職をもち、「財務・会計・経理」「事務・総務」「人事・労務」いずれかの部署に所属する方々です。
1. 経理部門のKPIは、いまだ浸透していない
経理業務のKPI(業績評価指標)について質問したところ、「知らない・わからない」という回答が60%以上を占めました。この傾向は昨年度から変わっておらず、定量的な評価基準が現場に根付いていない実態が続いています。
KPIを設定している企業からは、「コスト削減」(22.5%)、「業務品質改善」(16.3%)、「納期短縮」(9.8%)といった回答が挙がりました。自由記述では「ペーパーレス化」「監査指摘件数の削減」「決算の早期化」「残業時間の短縮」なども見られました。
KPIを定めることで「何に注力すべきか、何をやらないか」が明確になり、業務効率の向上につながります。 経理部門においても、定量的な目標設定と周知が今後の重要な課題といえるでしょう。
2. AI導入は「一部の先進企業」から「業界全体」へ
AI導入率が6割に迫る
経理分野へのAI導入状況を聞いたところ、「すでに導入済み」が38.0%、「1年以内に導入予定」が12.5%、「3年以内に導入予定」が7.3%となり、導入済みまたは3年以内の導入計画がある企業の合計は57.8%に達しました。
毎日利用する担当者は3割近く
AIを導入している企業の担当者にその利用頻度を聞くと、「毎日」が28.3%、「毎週」が25.7%で、週1回以上利用する人が過半数(54.0%)を超えています。AIはすでに経理担当者の日常業務に欠かせないツールとなりつつあります。
導入効果への満足度は77%
AI導入による業務効率化の効果については、「期待を超える効果があった」(25.4%)と「期待通りの効果があった」(51.6%)を合わせると、77.0%の担当者が満足していると回答しました。この高い満足度が、さらなるAI普及を後押ししていると考えられます。
次のステップは「自由度の高い入力項目」への対応
現状では、日付・金額・支払先など定型項目の自動化が中心です。目的・用途の記入など自由度の高い項目への自動化対応が、今後の課題として挙げられます。
3. AIを悪用した不正リスクと、AIによる検知
生成AIの普及により、領収書の偽造といった新たなリスクも現実のものとなっています。
「実際にAIを悪用した不正被害を経験した」と回答した担当者は7.3%。まだ多くはありませんが、確実にリスクが顕在化しはじめています。また「現時点では被害・兆候はないが、リスクを認識している」という回答は32.8%にのぼり、3人に1人が問題意識を持っていることがわかりました。
一方でAIによる不正検知の活用状況を見ると、現在実施しているのは「従来のルールベースのチェック」が中心で、領収書の真正性確認や不正の兆候検知といった高度な機能の活用は、まだ限定的な状況です。
不正検知にAIを活用する機運は高まっており、「今後検討したい」という項目に高い関心が集まっています。領収書偽造リスクへの対応として、真正性チェック機能を備えたツールの選定・導入が、今後ますます重要な判断軸になるといえるでしょう。
4. 物価高騰への対処:旅費・交際費の規定見直しが急務
旅費高騰への対応
近年の物価上昇を受けて、宿泊費・交通費の高騰は多くの企業で頭を悩ませる問題となっています。最も効果的な対処法として、「例外的な実費精算を容認している」(24.3%)と「旅費規定の上限額を実態に合わせて改定した」(23.8%)が上位に挙がりました。
一方で、「あてはまるものはない」という回答も3割近くを占めており、業界として統一された対処法が確立されていない実態がうかがえます。
参考として、一般社員の一泊あたりの出張旅費上限額の平均は次のとおりです。
| エリア | 平均上限額(目安) |
|---|---|
| 大阪 | 9,219円 |
| 北海道 | 10,427円 |
| 福岡 | 10,066円 |
交際費の高騰・除外基準額の引き上げへの対応
交際費への対処方法として最も多かったのは、「承認プロセス・ワークフローの厳格化」(26.8%)と「社内の交際費ポリシー・上限ルールの見直し」(25.0%)でした。また、「社外飲食費の除外基準額(1万円基準)に対応した精算ルールの整備」(22.0%)も上位に挙がっています。
接待飲食費の一人あたり上限額の平均は7,465円でした。
適切な交際費の判断は、時期・エリア・相手方との関係性など多角的な視点が必要であり、経理担当者単独での判断は困難です。社内ルールの整備とAIによる判断補助の組み合わせが、現実的な解決策として注目されています。
5. データ分析基盤の整備が「次の経理改革」の鍵
出張旅費や交際費の最適化には、過去の支出データを多角的に分析し、適切な上限価格や利用基準を設計することが不可欠です。しかし、「データ分析の基盤がない」と回答した企業は42.7%にのぼり、分析できている企業でも、会計科目レベルにとどまっているケースが多い実情です。
出張先・目的・予約タイミングといった粒度でデータを把握・分析できれば、規定やガイドラインの改定効果を検証するPDCAが回せるようになります。会計科目を超えた支出データの戦略的活用こそが、今後の経理部門の競争力を左右するポイントといえるでしょう。
まとめ
2026年度の経理白書から浮かび上がるのは、「AIの急速な普及」「不正リスクへの対応」「物価高騰による規定見直しの必要性」「データ分析基盤の整備」という4つの大きな変化です。
経理はもはや単なるコスト部門ではなく、企業価値の向上を担う戦略部門へと変わりつつあります。自社の現在地を把握し、今後の方向性を見定めるうえで、今回の調査結果がひとつの参考になれば幸いです。
調査の詳細については、経理白書2026の全編をご参照ください。
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