経理・総務の豆知識
業務効率化をAIで実現するには?活用業務・事例・導入時のポイントを解説
人手不足や業務の複雑化が進むなか、AIを活用した業務効率化は多くの企業にとって重要な課題です。実際に、経費精算や監査、出張管理などの領域では、工数削減やガバナンス強化といった具体的な成果が生まれています。
本記事では、AIで効率化できる業務内容や導入事例、成功のポイントを整理し、自社で成果を出すための実践的な活用方法を解説します。
AIで効率化できる業務の具体例
AI(Artificial Intelligence、人工知能)とは一般に、大量のデータを学習して発見したルールをもとに、人間の知能をコンピュータで人工的に再現しようとしたものです。AIは汎用型と特化型の2種類に分類できます。
- 汎用型は広い分野でさまざまな処理が可能で、より人間の知能に近いAI
- 特化型は画像認識、音声認識などの特定の分野・目的に合わせてつくられたAI
こうしたAIの特徴を活かすことで、特定の部門だけでなく、企画・営業・人事など幅広い業務に活用できます。
まずは、AIで効率化しやすい代表的な業務領域を整理してみました。
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カテゴリ |
具体的な業務内容 |
AI活用のメリット |
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知的生産・制作 |
メール・報告書作成、要約、ブログ・SNS投稿のドラフト、画像・動画生成 |
ゼロから考える時間を削り、「修正・編集」のみに集中できる。 |
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コミュニケーション |
多言語翻訳、会議のリアルタイム議事録作成、カスタマーサポート(チャットボット) |
言語の壁をなくし、情報の共有スピードを数倍に引き上げる。 |
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データ分析・予測 |
売上・需要予測、在庫管理、競合他社のCM・広告分析 |
経験則に頼らず、データに基づいた精度の高い意思決定が可能。 |
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開発・IT |
コード生成、バグ修正、システム設計図の自動作成 |
開発スピードを劇的に向上させ、非エンジニアでも簡易的なツールの自作が可能。 |
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バックオフィス |
請求書処理、採用候補者のスクリーニング、社内問い合わせ対応 |
単純な繰り返し作業を完全に自動化し、人為的ミスを排除。 |
このように、AIは業務プロセスの多くの場面で効率化につながります。
AIで業務効率化をおこなうメリット
AIを活用することで、業務スピードの向上やコスト削減、品質の安定化などさまざまなメリットが得られます。
ここでは、AIによる業務効率化の具体的なメリットを解説します。
生産性が向上する
AIを活用することで「作業時間の短縮」「同時処理数の増加」「業務スピードの安定化」が実現します。
これまで人が行っていた定型業務や下準備作業を自動化することで、処理スピードが向上し、業務全体の生産性が底上げされます。
また、AIは疲労や感情に作用されることなく一定のパフォーマンスを維持できるため、業務品質のばらつきを抑えながら安定的な運用が可能になります。
その結果、従業員はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。
人的ミスの削減・品質向上ができる
AIはあらかじめ設定されたルールや学習データに基づいて処理をおこなうため、入力ミス・確認漏れ・判断のばらつきといった人的ミスを大幅に抑制できます。特に、データ入力やチェック業務のような反復作業では効果が顕著で、ヒューマンエラーの発生リスクを低減できます。
さらに、判断基準を標準化できるため、担当者ごとの品質のばらつきを防ぎ、成果物の品質を安定・向上させることが可能です。
人的コストを削減できる
AIの導入により、これまで人が対応してきた定型業務や反復作業の工数を削減できます。人手に依存していた作業を自動化することで、業務全体の効率が高まり、人件費や外注費の最適化につながります。
結果として、残業時間の抑制や委託コストの削減といった具体的なコストメリットも期待できます。
また、人員そのものを削減するのではなく、浮いたリソースをより戦略的・付加価値の高い業務へ再配置できる点も大きな利点です。
属人化を解消できる
特定の担当者の経験や勘に依存していた業務も、AI導入によってルール化・標準化することが可能です。業務手順や判断基準をAIに組み込むことで、個人のスキルに左右されない体制を構築できます。
さらに、ナレッジを可視化・データ化することで、担当者が不在でも業務を円滑に進められるようになります。その結果、引き継ぎや研修にかかる負担も軽減され、組織全体の安定した運営につながります。
DXや働き方改革につながる
AI導入をきっかけに業務プロセスの見直しが進み、データ活用や業務の標準化が加速します。AIにより業務効率化をおこなうことで、企業全体のデジタル化が前進し、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進の基盤が整います。
また、業務効率化によって生まれた時間や余力は、テレワークの推進や柔軟な働き方の実現を支える要素にもなります。
人間しかできない業務にコミットできる
AIには任せられる業務と、人間が担うべき業務があります。
定型作業や大量データの処理といった領域はAIが得意とする一方で、最終的な判断、企画立案、対人対応などは人間にしかできない重要な役割です。
単なる効率化にとどまらず、企業全体の価値創出力を高められる点こそ、AI活用の本質的なメリットといえるでしょう。
AI業務効率化の活用事例
ここからは、当社のAI活用による業務効率化事例をご紹介します。
Chobani様
生成AIによる不正検知ソリューション「Verify」の導入により監査プロセスを合理化。財務チームの経費レビューを効率化するとともに、支出の可視化を通じてポリシー遵守の徹底と不一致の早期解消を実現しています。
Verify でコンプライアンスを向上【お客様事例】Chobani(米国企業)
株式会社メディカルシステムネットワーク様
Concur Expenseとシームレスに連携するAI不正検知システム「Verify」を導入し、金額照合やインボイス番号確認を自動化。
約40%のチェック業務工数削減を見込むとともに、不正検知の高度化によるコンプライアンス強化を推進しています。
AIで業務効率化をおこなうときのポイント
AIで業務効率化を成功させるには、単にツールを導入するだけでは不十分です。目的設定や体制整備、リスク対策など事前に押さえるべき重要なポイントがあります。
効率化する業務・目的を明確にする
まず重要なのは、AIを導入する目的を明確にすることです。導入前に「どの業務を」「どのような課題解決のために」効率化するのかを整理しておくことが不可欠です。
単にAIを導入すること自体が目的になってしまうと、十分な成果は得られません。業務時間の削減率やコスト削減額など、具体的な目標を設定し、効果を定量的に測定できる状態にしておくことが求められます。
業務プロセスを見直す
AIを導入する前に、現在の業務フローを可視化し、無駄や重複を整理することも重要です。なぜなら非効率なプロセスのままAIを組み込んでも、十分な効果は得られないからです。
業務そのものを見直すことで、より高い業務効率化と生産性向上が期待でき、AI活用の効果を最大化できるでしょう。
導入コストを把握する
AIツールの利用料だけでなく、AI導入から運用にかかるコスト全体を把握することが重要です。
主なコストには、次のようなものがあります。
- 初期費用(導入設定費・システム連携費など)
- 運用費用(月額利用料・API利用料など)
- 保守費用(アップデート対応・サポート費など)
- 教育コスト(社員研修・マニュアル整備など)
これらを事前に整理しておくことで、予算超過や導入後のトラブルを防ぎやすくなるでしょう。また、責任者や決裁者への説明もしやすくなり、スムーズな意思決定につながりやすくなります。
質のよい学習データを一定量確保する
AIの精度は、学習データの「質」と「量」に大きく左右されます。不正確なデータや偏った情報をもとに運用すると、誤った結果を導く可能性があります。そのため、学習データの質と量を十分に確保できるかを事前に確認し、必要なデータの種類や収集方法、整備体制を整理しておくことが重要です。
信頼性の高いデータを継続的に蓄積できる仕組みを構築することで、AI導入の成果を最大化できます。
社内に周知し正しい理解を得る
AI導入に対して、不安や誤解を持つ従業員も少なくありません。だからこそ、導入目的や活用範囲、具体的な使い方、期待される効果を社内に共有することが重要です。AIは業務を支援し生産性を高めるためのツールであることを理解してもらうことで、現場と経営陣の双方が同じ方向を向いて取り組めるようになります。十分な理解と合意形成ができていれば、AI導入はよりスムーズに進み、定着もしやすくなるでしょう。
セキュリティ・プライバシー対策をする
機密情報や個人情報を扱う場合は、データの取り扱いルールを明確に定める必要があります。
想定される主なリスク
- 機密情報や個人情報の外部流出
- 学習データへの不適切な情報混入
- 利用ツールの安全性不足
これらのリスクを十分に理解したうえで、適切な対策を講じることが重要です。
具体的な対策
- 入力データのルール整備
- アクセス権限の管理
- セキュリティ対策が施されたAIツールの選定
- 社内ガイドラインの策定
これらを実施することで、情報漏洩などのリスクを大きく軽減できます。
教育・体制整備のポイント
AIを正しく活用するためには、「従業員のAIリテラシー向上」も欠かせません。
- 社内向けにAI利用のガイドラインを整備
- 個人情報や機密情報の取り扱い方法の研修
- AIの出力結果の活用方法などについて教育
技術的な対策とあわせて人材教育をおこなうことで、安全かつ効果的なAI活用体制を構築できます。
定着・活用・品質管理の仕組みを整える
AIは導入して終わりではありません。継続的に活用・改善できる体制を整えることが重要です。導入をゴールとせず、AIを業務に定着させるための運用ルールを明確にし、定期的なフィードバックの機会を設けることをおすすめします。
また、実際に業務効率化が実現できているかどうか、成果や品質を定期的にチェックする仕組みも欠かせません。利用ガイドラインの作成や効果測定をおこない、課題があれば改善を重ねていくことで、AI活用の効果を最大化できます。継続的な見直しと品質管理をおこなうことが、AIを「一時的なツール」で終わらせず、「生産性向上の基盤」として活かすポイントです。
AIに丸投げしない
AIの出力結果をそのまま使用するのではなく、必ず人が確認・判断をおこなうプロセスを残すことが重要です。AIはあくまで業務を補助するツールであり、最終的な判断や品質担保は人間がおこなう必要があります。
特に、書類作成や画像生成、翻訳などの業務では、事実確認や論理の整合性チェックが欠かせません。AIは効率的にたたき台を作成できますが、内容の正確性や適切性まで完全に保証するものではないためです。
最終的な責任は人が負うという前提を忘れず、「AI+人」の体制で活用することが、リスクを抑えつつ効果を最大化するポイントです。
ハルシネーションに注意する
生成AIは、事実と異なる情報をもっともらしく出力することがあります。
特に数値データや専門的な内容については、誤情報が含まれていても一見正しく見えてしまうため注意が必要です。重要な業務や意思決定に活用する場合は、AIの出力をそのまま信頼するのではなく、必ず一次情報や公式データで裏取りをおこなう体制を整えることが不可欠です。
コストに注意する
AIツールは便利である一方、利用範囲が広がるほど費用も増加します。AI導入にはツールの利用料だけでなく、運用コストや教育コストなどの費用も発生します。
そのため、導入前に想定されるコストを整理することはもちろん、導入後も定期的に費用対効果を検証することが重要です。
業務削減時間や生産性向上の成果とコストのバランスが取れているかを確認し、必要に応じてプランの見直しや利用範囲の最適化をおこないましょう。
業務効率化に役立つAIツール
業務効率化を実現するためには、目的に合ったAIツールの選定が重要です。ここでは、幅広い業務に活用できる代表的な汎用型AIツールを紹介します。
汎用型AIツール
テキスト作成や要約、データ整理、アイデア出しなど、幅広い業務を支援できるのが汎用型AIツールの特徴です。部門を問わず活用しやすく、導入ハードルも比較的低い点が魅力です。
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ツール名 |
主な機能 |
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ChatGPT(OpenAI) |
文章作成・業務支援全般 |
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Claude(Anthropic) |
長文読解・文章要約 |
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Google Gemini(Enterprise) |
Google業務統合支援 |
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Microsoft Copilot |
Microsoft業務統合支援 |
業務特化型AIツール
特定の業務領域に特化して設計されたAIツールは、現場の課題に直結した機能を備えています。用途が明確なため、導入効果を実感しやすい点が特徴です。
文章・コミュニケーション効率化
メールやチャット、議事録作成などの文章業務を支援し、作成時間の短縮と品質向上が期待できます。
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ツール名 |
主な機能 |
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Grammarly / Superhuman Go |
文脈に沿った言い換え・校正で文書品質向上 |
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Notion AI |
情報統合と文章生成で業務効率化 |
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Tactiq AI |
会議内容を要約・整理し議事録作成を支援 |
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DeepL Write |
文脈に合わせた自然な言い換え・校正を提案し、ビジネス文書の品質を向上。 |
資料作成・デザイン
スライドや提案書、動画などの制作工程を自動化し、構成からデザインまでを効率化できます。
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ツール名 |
主な機能 |
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Gamma |
テキスト入力だけで、スライド構成・デザイン・画像挿入まで自動生成。 |
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Canva Magic Studio |
バナー、資料、動画までAIが自動生成。デザイン作業の大半を代行。 |
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Synthesia / HeyGen |
テキストからAIアバター動画を生成し、研修・マニュアル動画を自動作成。 |
リサーチ・分析
情報収集や資料読解、データ分析を支援することができます。これらのツールは、裏取りや要約も同時に行える点が強みです。
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ツール名 |
主な機能 |
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Perplexity AI |
ソース付きで最新情報を提示。情報収集と裏取りを同時に実現。 |
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NotebookLM |
PDFや社内資料を読み込ませ、自分専用のナレッジAIとして活用可能。 |
進行管理・タスク効率化
タスク優先順位付けやスケジュール最適化をおこない、業務の遅延や抜け漏れを防ぐことができます。管理業務の負担軽減に効果的です。
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ツール名 |
主な機能 |
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Motion |
タスクの優先順位をAIが判断し、スケジュールを自動最適化。 |
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ClickUp AI |
進捗レポートの自動生成、長文チャットの要約で管理工数を削減。 |
その他の効率化
BIツールやAIエージェントを活用すれば、データ活用や業務自動化をさらに高速化できます。全体的な効率化基盤の構築につながります。
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ツール名 |
主な機能 |
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AI内蔵 BIツール(例:Tableau AI) |
データ分析・可視化を高速化 |
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AIエージェントプラットフォーム |
業務自動化・意思決定支援 |
AIを活用し、業務効率化を進めよう
AIの活用は、単なる業務効率化にとどまりません。実際に、経費チェックの自動化、出張管理の最適化、ガバナンス強化など、各社で具体的な成果が生まれています。重要なのは、「AIを使うこと」そのものではなく、自社の業務課題に合わせて適切なソリューションを選択することです。
既存のクラウドサービスやAI機能を活用すれば、大規模な開発を行わなくても、段階的にAI導入を進めることができます。
一方で、「自社でも同じような効果が出せるか」「どこから着手すべきかわからない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
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こちらのブログは、2023年に公開した記事に加筆修正し、再公開したものです。