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【イベントレポート】社内規定カスタマーディスカッション 〜日当・ワークフローを中心とした運用改善と事例共有〜

SAP Concur Japan |

コンカーでは、他社ユーザーの運用や設定についてコミュニケーションいただき、自社の運用の参考していただくことを目的に定期に的に少人数制のディスカッションイベントを開催しています。

今回は社内規定やワークフローの見直しに取り組むお客様同士が「自社の非常識は他社の非常識(かもしれない?!)」という視点も含めて率直に意見交換できる場として、「社内規定」をテーマにしたディスカッションイベントを開催しました。

「規定変更における阻害要因」「複雑な日当規定をいかにシンプル化するか」などの話題を中心に、精算業務・制度・システムの観点から各社の取り組みやお悩みを共有いただいています。本記事では、その内容をダイジェストでご紹介します。

 

規定変更を成功に導く社内調整と設定のリアル

イベント冒頭では、株式会社NTTデータグループ  ITマネジメント室部長 林様にご​登壇いただき、現場で直面している課題や工夫についてリアルな声を共有いただきました。
セッション内では 5万人規模・70社超のグループ全体での会計システム刷新プロジェクトの経験が語られました。2020年から要件定義を開始し、2024年には本体でSAP Concurを先行導入、2026年には国内グループ全社展開を控える中で、制度・システムの所掌部門が人事・財務で分かれることによる運用の複雑化や、旅費・経費精算のルールがグループ会社ごとに異なることによる課題が紹介されました。

また、SAP Concur導入前も、旅費制度には課題がありました。そこで良い点悪い点を整理し、改善に繋げようという取り組みを進められてきました。例えば良い点として、近距離出張(片道50km以内)は勤怠管理システム上で簡単に申請でき、証跡不要・月締め一括承認で運用負荷が軽い点が挙げられました。一方で、特急利用時の領収書提出やタクシー利用の事前承認、複雑な国際出張ルール、宿泊費上限の形骸化など、現場で感じる“使いにくさ”や運用上の課題も多く残っていました。

こうした背景から、15年以上使い続けた社内会計システムを刷新し、グローバル標準のベストプラクティスを活かすべくSAP Concurを導入。ところが、新しい入力画面のUIと、従来のルールの親和性の問題もあり、ユーザーからのクレームや差戻しが多発し、現場では混乱も生じました。特に、文字数制限や添付ファイル運用、計画・支払いの一括決裁ができない点など、システム移行時の“ギャップ”が浮き彫りになりました。
その中で、WalkMeなどのデジタルアダプションツールを活用し、UI改善や現場の声を反映した運用見直しを進めている点も印象的です。また、BPOセンター設置による業務アウトソースやAI活用による不正防止、インボイスチェックの自動化など、効率化とガバナンス強化の両立を目指す取り組みも紹介されました。

このような制度・システム・現場運用の三位一体で最適解を模索し続ける姿勢は、他の企業が業務改革を進めるにあたってもヒントとしていただけるものかと思います。

規定変更を成功させるための社内調整と設定のポイント 〜現場事例から学ぶ運用改善のヒント〜

続くセッションでは、株式会社コンカー サービスデリバリー部門の渡邊が登壇し、「規定変更を成功させる社内調整・設定の勘所」をテーマに、規定見直しの現場で直面する課題や、実際に成果を上げた設定・運用の工夫について、豊富な事例とともに解説が行われました。

まず、事前アンケートの集計結果から、多くの企業で「規定の陳腐化」や「現場運用との乖離」が進み、内部統制や運用効率、システム整合性の観点で課題が顕在化していることが明らかになりました。特に、日当やワークフローの運用は、グループ会社や部門ごとにルールが異なり、例外処理や多段階承認が残ることで、運用負荷や統制リスクが増大している現状が共有されました。

規定変更の阻害要因としては、関係部門が多く合意形成に時間とコストがかかること、システム設定の複雑さや現状の規定前提の設計が見直しのハードルとなっていることが挙げられました。こうした課題に対し、実際の事例では「ワークフローの簡素化」や「日当規定の柔軟な設計」「不正防止強化のためのシステム活用」など、現場に即した改善策が紹介されました。
たとえば、上位層承認を「確認」に見直し、BIレポート配信で代替することで、承認プロセスの効率化とガバナンス強化を両立した事例や、日当の金額変更に際しては適用開始日・終了日を設定し、将来の規定変更にも柔軟に対応できる仕組みを構築した事例が印象的です。また、不正防止の観点では、規定や罰則の周知徹底や、システム上での同意書表示、監査ルールの新設、BI分析による不正検出など、テクノロジーを活用したガバナンス強化の取り組みも紹介されました。

まとめとして、シンプルで柔軟性の高い規定・設定が業務効率や社員満足度、ガバナンス強化に直結すること、そしてコンカーソリューションを前提に規定を見直すことが有力な選択肢となることが強調されました。規定変更は一筋縄ではいきませんが、他社事例や最新のシステム活用法を知ることで、自社の運用改善に向けたヒントが得られるセッションとなりました。
渡邊さんパート

お客様同士でのグループディスカッション

グループディスカッションでは各テーブルに分かれ、「規定」を中心とし、SAP Concur運用についてさまざまな意見が交わされました。

まず「規定の見直し」と「現在の運用状況」について参加者の皆様から以下のような声が聞かれました。

・日当規定が細かすぎて、現場も上長も把握しきれていない
・レガシーな旅費規定をそのままシステムに乗せた結果、運用負荷が増大
Concur導入時に規定を思い切ってシンプルにした企業では、従業員に規定を理解してもらいやすくなり、結果としてシステム操作も迷いにくくなった

また、「規定変更には労組・役員・人事の調整が必須」「一部の従業員が損をしないよう、上限を引き上げてバランスを取った」「トップダウンのメッセージがないと規定改定は進まない」といった、規定変更プロセスの“生々しい現実”も共有されました。

宿泊費については、

・全国一律上限で運用している企業
・地域ごとに上限を変えている企業
・実費精算+コメントで柔軟に対応している企業

など、さまざまなスタイルが紹介されましたが、共通していたのは「物価上昇やイベントによる高騰に、規定が追いついていない」という問題意識が共通していました。

また、「承認レス」や「ガバナンス」を切り口に議論を深めたテーブルもあり

・近距離交通費のみ承認レスにしている例
・交通費はICカード連携(ICCI/ICCE)利用時のみ承認レスにしている例
・承認レス+BIレポート配信で、上限超過や同日同額の重複をモニタリングしている例

など、「すべてを承認ステップで見る」のではなく、「見るべきものをあとから見る」という設計が話題になりました。

法人カード・ICカードの活用に関しても、

・法人カード利用時は上長承認のみ/未利用時は経理承認も必須
・コーポレートカードの利用率向上のため、振込タイミングを調整したり、未利用者リストをBIで可視化したりしている
・個人スマホへのICカード登録やConcurアプリ利用をどこまで認めるか、といったセキュリティ・ルールの検討

など、現場ならではの具体的な工夫が数多く共有されました。

ディスカッション後のコメントでは、

「他社も同じように規定の複雑さやシステムとのギャップに悩んでいると分かり、安心した」
「承認レスとBI・Auditの組み合わせ方について、具体的なイメージが持てた」
「WalkMeやUser Support Deskなど、問い合わせ削減の工夫が参考になった」
「規定をシンプルにする方向性が必要だと改めて認識できた」

といったご感想を多くいただきました。

まとめ〜「自社だけのやり方」を一歩外に出してみる

今回の社内規定カスタマーディスカッションでは、

・承認フロー
・承認レス
・BI、Audit、コーポレートカード、ICカード連携

といったテーマを通じて、「規定」「システム」「運用」をどうバランスさせるかについて、多くのヒントが生まれました。

社内だけで考えていると行き詰まりやすいテーマだからこそ、他社の取り組みを知り、「うちも同じことで悩んでいる」「そのやり方なら取り入れられそう」と感じていただける場になっていれば幸いです。

今後もコンカーでは、規定や運用の見直しに取り組まれるお客様をサポートすべく、このようなディスカッションイベントを継続していく予定です。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。

次回の開催もぜひご期待ください。

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