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「大人の社会科見学」レポート:Googleが教えてくれた、イノベーションを生むカルチャーの作り方
コンカーのユーザー企業様、パートナー企業様の取り組みから学ぶ「大人の社会科見学」。前回のJBSさん訪問の第2弾として、今回はGoogle日本法人さんのオフィスを訪問させていただきました。カルチャーセッションとオフィスツアーという2部構成で、たっぷり2時間。「なぜGoogleはイノベーションを生み続けられるのか」という問いに対する、Googleならではの答えを聞かせていただきました。

まず「なぜカルチャーが重要か」から始まる
セッションの冒頭、今回のセッションを担当してくださったGoogleの松下様から伺ったのは、カルチャーへの投資がなぜ重要かという考え方でした。
「社員が働きやすくなることがイノベーションにつながり、それがひいては会社のため、ユーザーのためになる。だからカルチャーを築くことは、会社の成長にとっても良い貢献をする」
これがGoogleのカルチャー投資の根底にある考え方です。そして、そのイノベーションは一人の天才から生まれるのではなく、多様な人材で構成されるチームの力を最大化してこそ生まれると言います。 この言葉は、JBSさんの「社員一人ひとりに徹底的に投資する」という姿勢とも響き合うものがあり、成長し続ける企業には「人を大切にすることが成長の源泉」という信念が共通しているのだと感じました。
「10倍思考」と「OKR」——高い目標を組織全体で共有する
Googleの有名な考え方のひとつが「Think 10x(テンエックス)」です。「10パーセント改善しよう」という発想では今の延長線上にしかたどり着けない。「10倍」という目標を掲げることで初めて、ゼロから考えるモードにスイッチが入るというものです。
「現場でも『これは10xしないとダメだね』という言葉が日常的に出る」というエピソードが象徴するように、この考え方は単なるスローガンではなく、実際の業務の中に根づいています。 ただし、高い目標を掲げれば良いわけでもないとも強調されました。難易度が低すぎると物足りなく、高すぎると「もう無理」となって気持ちが下がる。ちょうど良いチャレンジゾーンを見つけることが重要で、そこに目標と努力のエネルギーを合わせていくことを目指しています。
その目標管理の仕組みとして活用されているのが「OKR(Objectives and Key Results)」です。達成したい大目標(Objective)を定め、それを定量的に測るマイルストーン(Key Result)に分解する。さらに、自分のOKRが会社全体のどの目標につながっているかが、社内ツールで透明性をもって確認できるようになっています。自分の仕事が何のためにあるのかが見えることで、メンバー全員が同じゴールを目指せるという設計です。
心理的安全性は「ぬるま湯」ではない——Radical Candorという考え方
高い目標を掲げ、チームで実現していくために、Googleが最も重視しているのが「心理的安全性」です。 そして、「心理的安全性って何?」という問いに対して紹介されたのが、「Radical Candor(徹底した率直さ)」という概念でした。
心理的安全性というと、「厳しいことを言ってはいけない」「批判を避けてぬるま湯になる」というイメージを持つ人もいるかもしれません。しかしGoogleの考え方は異なります。「まず相手のことを心から思いやること、そして時には率直に異議を唱えること」——この両方があってこそ、本当の意味で相手のためになるフィードバックができると言います。
思いやりがあっても何も言えないのでは相手の成長につながらない。思いやりなく厳しいことを言うだけでも組織は壊れる。この両輪がそろって初めて、心理的安全性が生まれるというわけです。

また、この心理的安全性があるからこそ、リスクを取ることができる、というつながりも強調されていました。「失敗したら評価が下がる」「突飛なアイデアを言ったら笑われる」という不安が消えることで、小さなアイデアが声に出せるようになり、試して失敗して学ぶサイクルが回り始める。Google Glassのように、世に出した後に販売を一時停止した製品でさえ、そこから学んで次のイノベーションにつなげる土壌があるというのがGoogleの姿勢です。
イノベーションを生む6つの要素と、それを支える仕組み
Googleでは、イノベーションが生まれる組織に必要な要素として6つを挙げています。「多様性の尊重」「ビジョンの共有」「自主性」「内発的動機付け」「リスクテイク」「つながりとコラボレーション」です。
特に印象的だったのは「内発的動機付け」の話です。賞罰による動機付けよりも、「自分がやりたいからやる」という内側から湧き出るモチベーションの方が圧倒的に強いと言います。OKRで自分自身が目標を定め、20%ルールで業務以外の取り組みに時間を使える環境が、まさにその内発的動機を引き出す仕組みとして機能しています。
「20%ルール」とは、業務時間の20%を自分の通常業務以外の、会社の成長に役立つ活動に使って良いというものです。今回のカルチャーセッションを担当してくださった松下様自身も、この20%ルールを活用して「10xカルチャー」の社外普及チームに参加しているとのことでした。
ピアボーナスの仕組みも興味深いものでした。3カ月ごとに5名分の「感謝ポイント」が全員に付与され、期限内に使い切らないと次の5枠しか使えないというルールになっています。「年末にまとめて送る」のではなく、日常的に感謝を伝え合う習慣を仕組みとして作り出しているのです。「誰かがピアボーナスを送ってくれることで、上司にも通知が届く。その人の仕事以外の貢献が可視化されて、自然なモチベーションにつながる」。コンカーでも同様の感謝を送り合う仕組みはあるものの、年末にまとめて、という動きになりやすい部分もあり、とても参考になる制度でした。
また、2〜3問のシンプルな設問で社員の満足度を測る「Googlegeist」というサーベイも運用されています。マネージャー層がその声をリアルタイムで確認し、組織の状態を継続的にモニタリングする仕組みです。
「コラボレーションのための装置」としてのオフィス設計
カルチャーセッションの後は、待望のオフィスツアーへ。世界中どのGoogleオフィスに入っても「あ、Googleだ」と感じられるような統一されたコンセプトがあるといいます。そのコンセプトとは一言、「自然にコラボレーションが生まれる空間」です。
驚いたのが階段の設計思想です。オフィスフロア間の移動は、できる限り建物内部の階段を使うようこだわっているとのこと。しかもその階段は、あえて少し狭めに設計されています。
「人が上り下りするとき、必ずすれ違う。その瞬間に『あ、あの件どうなりました?』という会話が生まれる」
広すぎる階段では人はすれ違わずに通り過ぎてしまいます。人と人が必ず顔を合わせる構造にすることで、偶発的なコミュニケーションを設計しているのです。さらに3〜4フロアごとに軽食・飲み物が取れるカフェスペースを配置し、飲み物を取りに行くついでに別の部署のメンバーと出会う仕掛けも作られています。
オンライン会議の環境にも工夫が凝らされていました。会議室のモニターに参加者の顔が大きく映し出されることで、オンライン参加者が「会議室の外」ではなく「会議の中にいる」という感覚を持てるように設計されています。「会議室に5人いて自分だけオンライン参加でも、違和感なく会議に入れる」という言葉が印象的でした。
出社については週3日を推奨しているものの、強制はしていないと言います。「来たくなるオフィスを作ること、来たくなるチームを作ること」がマネージャーに求められており、数字で縛るのではなく、「ここに来ることに意味がある」と感じてもらえる場と関係性をどう作るかが問われているという考え方は、JBSさんの「オフィスを作っていない、行きたくなる場所を作っている」という言葉と同じ方向性を指していました。
「フィードバックはギフト」
セッションの中で最後に印象に残ったのが、Googleに根づいているいくつかの言葉です。
「Sharing is Caring(シェアすることはケアすること)」「Feedback is a Gift(フィードバックはギフト)」——これらのフレーズが社内の端々で自然に語られ、それを体現する人を見続けることで、新しいメンバーにもカルチャーがインストールされていくと言います。
「研修で覚え込まされるのではなく、そういう人がいっぱいいるから自然と入ってくる」
これこそが、カルチャーを意図的に作り込みながら、同時に生き物のように有機的に育て続けているGoogleの姿勢ではないかと感じました。
訪問を終えて
なかなか訪れることができない、Googleオフィスの内部は、キラキラと輝く、ここで働いてみたい!と心から思わせるオフィスでした。ただ同時に、そのファシリティは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」というGoogleの使命を実現するための要素の一部であり、あくまで「人」が中心に据えられている、ということも教えていただいた訪問になりました。
コンカーでは引き続き「大人の社会科見学」の取り組みを実行していきます。お客様、パートナー様から学ばせていただくことで、私たち自身も成長していきたいと考えています。
ご訪問させていただけるお客様、パートナー様、ぜひお声がけください!