経理・総務の豆知識

経費の不正はなぜ起こる?その理由と対策

SAP Concur Japan |

経費精算に関してよく聞かれる質問とその回答をまとめたブログシリーズ、今回は経費の不正が起こる理由と対策がテーマです。

会社に経費精算のルールがあり、経費精算のシステムやフローがしっかりできていれば、経費の不正はあまり起こらないだろうと考えられがちですが、経費の不正は意外に多く存在します。経費の不正には単純なミスで起こるものもありますが、接待交際費を水増し請求したり、いわゆるカラ出張のような架空の請求を行ったりする悪意のあるものもあります。経費の不正が起こる理由は何でしょうか。また、経費の不正に対する対策はどのように行えばよいのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

関連記事:経費の不正を防ぐには

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質問:

経費の不正が起こる理由は何でしょうか?経費の不正に対する対策はどのように行えばよいのでしょうか?

回答:

経費の不正には、経費の水増しや架空の領収書発行などがあります。不正が起こる理由は、従業員側の動機と機会がそろうことと言われていますが、会社側でも経費精算のルールやシステムがきちんとできていなかったり、ルールはあってもそれが上手く回っていなかったりすることが不正を可能にしています。不正防止の対策としては、経費精算のルール・システム・フローの3点を見直し、改善を行うことです。経費精算システムを導入することで、不正ができない(困難な)環境にすることも必要になるでしょう。

 

経費の不正とは?

経費の不正とは、経費に関する不正請求のことで、実際の数字よりも多めの費用や存在しない費用を、従業員が意図的に会社に請求することです。

経費の不正には様々なものがありますが、主なものは以下のように分類できます。

・経費の水増し

経費の水増しとは、実際にかかった金額より多い金額を請求することです。旅費交通費における経費の水増しには、実際には使っていない交通費を加算して請求したり、1泊しかしていないのに2泊分の宿泊代を請求したりすることが挙げられます。

接待交際費における経費の水増しには、取引先と飲食した際、実際は取引先にも費用を負担してもらったにも関わらず、満額の領収書を請求することで、実際に自社が負担した金額よりも多く請求することが挙げられます。

・架空の領収書

架空の領収書発行には、いわゆる、カラ出張と呼ばれる実際には出張していないのに出張費を旅費交通費として申請することが挙げられます。

接待交際費における架空の領収書には、取引先を接待したように見せかけ、プライベートの飲食費を申請することが挙げられます。

・領収書の書き換え

領収書の書き換えは内容を書き換えることで、お店などから白紙の領収書をもらって金額を書いて申請することが挙げられます。領収書の日付や宛名を書き換えることも含まれます。

 

経費の不正が起こる理由と対策

経費の不正が起こる理由は何でしょうか。不正は悪いことだと分かっていてもやってしまう理由として、従業員側の動機と機会がそろうことがあります。従業員側の立場から考えると、動機があっても不正の機会がなければできないし、不正の機会があっても、動機がなければやらないでしょう。

会社側は、不正を起こさせない環境構築が重要です。経費精算のルールやシステムがないことや、ルールはあっても、実際にはそれが上手く実施されていないと、不正が起こる要因となります。例えば、経費精算のチェック時に見なければいけない項目や誰が不正のチェックに責任を持つのかということがルールとして定まっていない場合、不正は起こりやすくなります。

仮にルールがあったとしても、経費精算を最終的に処理する経理担当者が不正のチェックも担当し、一つ一つ手作業でチェックしなければならないとなると、作業量に対して人手が足りず、経理担当者に多くの負担がかかり過ぎしまうことで、不正を見落としたり、小さな不正であれば指摘せずに見逃したりすることも起こりえます。そのため、経理担当者にチェックの全てを任せるのは難しいでしょう。

そこで、対策としては経理担当者の負担をなるべく減らすよう、経費を申請する部署である事業部や営業部において接待費交際費・出張費について事前承認式にするという方法があります。取引先との接待や出張には、事前に上司の承認が必要とするなど、経費精算フローの見直しを検討しても良いでしょう。

経費精算を行う従業員や経理担当者に手作業の処理が多い場合、経費精算全体の方法の見直しも必要です。例えば、コーポレートカードやキャッシュレス決済での経費利用データ(金額や日付、支払先)が改変できない形式で自動連携される経費精算システムを導入することで、請求金額を意図的に変えるなどの不正を防止することが可能です。また、経費申請された内容のチェック機能を利用して、経理担当者が一つ一つ手作業で不正のチェックをするのではなく、問題のありそうな経費精算のみを優先的にチェックする方法もあります。経費精算システムの導入によって経費精算フロー全体の改善を進め、不正ができない環境をつくることができます。

 

まとめ

経費の水増しや領収書の書き換えなどの経費の不正は、従業員の動機と機会がそろってしまえば、十分起こりえることです。不正の機会を防ぐためには、経費精算のルールやシステムを整え、実際に機能させることが必要です。しかし、人が手作業で入力したり、人が一つ一つチェックしなければならない必要がある場合、不正を完全に無くすことは難しくなります。経費精算のルール・システム・フローを見直し、不正ができないような経費精算のシステムを導入することが必要になってくるでしょう。

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<著者プロフィール>

細田 聖子(ほそだ せいこ) 公認会計士・税理士
2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から香港留学。2003年から2008年まで、上海でOL、日本語教師等の中国勤務。2010年、公認会計士試験論文式試験合格。2012年より、中国深センの会計事務所等を経て上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。日本で治療をしながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月に独立し、フリーランスのライターとして執筆活動など様々な業務に従事。

 

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