経理・総務の豆知識
CFO(最高財務責任者)とCHRO(最高人事責任者)の協働は、ビジネス成長を加速させるのか?
2025年 SAP Concur CFO Insights レポートによると、ほとんどの CFO は、自社が直面するさまざまな問題の中で事業成長を推進させる責任が自分にあると考えています。実際、81% の CFO は、自社が直面する成長の主要な推進役は自分だと信じています。しかし、この責任を一心に背負うことで、重要な成長の機会を逃している可能性はないでしょうか?
CHRO たちは、CFO との連携をさらに深めたいと考えており、すぐにでも取り組める具体的な協業の機会をいくつも挙げています。というのも、CHRO の中核的な役割――たとえば優秀な人材の獲得と定着、企業文化の醸成、従業員体験の向上といった領域は、いずれも企業の成長と密接に関わっているからです。
今回のレポートでは、8 か国の CFO 350名、CHRO 115 名、IT リーダー 115名を対象に実施した調査データをもとに、2025年に企業が直面する課題や、経営層が取るべきアプローチについて掘り下げています。その中には、部門間の連携によって企業成長を後押しするためのヒントも含まれています。
同レポートの人事部門リーダー版から抜粋した主要テーマの一部を紹介します。
CFO(最高財務責任者)と人事部門のリーダーたちは、「人材」と「企業成長」の間に強い関係があることを理解しています。しかし、HR(人事部門)がその可能性を現実のものにするためには、さらなる支援が必要です。
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実際、財務リーダーの約半数(48%)が「優秀な人材の確保と定着」が成長を促進する最も重要な要素のひとつだと考えています。
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一方で HR リーダーたちは、財務部門の人材を惹きつけるために最も効果的な要素として、「競争力のある給与と福利厚生」「明確なキャリア成長の道筋」「柔軟な働き方の選択肢」を挙げています。
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また、HR リーダーの 83% が「従業員体験の向上」を優先事項としていますが、そのうち 38% は「それを実現するための十分なリソースがない」と答えています。
HR リーダーたちは、CFO との連携をさらに深めたいと考えており、さまざまな取り組みでの協業を望んでいます。
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たとえば、CHRO の 42% は「報酬や福利厚生の戦略について、財務部門とより密に連携したい」と考えており、HR リーダーの 54% は「人員計画を支えるために、CFO から財務的なインサイトを提供してほしい」と望んでいます。
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また、48% は「人事施策の効果測定において財務部門の支援が必要」と答え、44% は「人事関連の予算配分を増やしてほしい」と考えています。
しかし、こうした連携を妨げる障壁も存在します。
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HR リーダーたちが挙げる主な課題は、「部門間でのデータ共有や透明性の不足」「部門ごとの優先事項の不一致」「定期的なミーティングの時間が取れないこと」などです。
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これらの障壁を取り除き、部門間の壁をなくすためには、「部門横断型のワーキンググループの設置」「定期的な部門間ミーティングの実施」「共同プロジェクトのための柔軟な予算設定」が有効だと考えられています。
さらに、HR リーダーたちは、AI の導入、従業員の安全配慮(Duty of Care)、ESG(環境・社会・ガバナンス)対応といった新たな責任領域への対応にも追われています。
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AI に関しては、HR リーダーの 68% が「期待通り、もしくはそれ以上の成果が得られた」と答えている一方で、33% は「期待に届かなかった、または一部しか達成できなかった」と回答しており、約 3 分の 1 の企業が AI 活用において遅れを取っていることがうかがえます。
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また、HR リーダーのほぼ全員(99%)が「新たな要件に対応するために出張ポリシーを見直した」と答えており、51% は「出張時の安全対策を強化」、46% は「より柔軟な出張オプションを提供」、42% は「リモートワーク支援を拡充」と回答しています。
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さらに、94% の HR リーダーが「ESG への対応が出張ポリシーに影響を与えている」と答えており、そのうち 59% は「環境に配慮した選択肢を取り入れている」としています。
人事部門リーダーが成長を加速させるために実施できるアクションなど、その他詳細については、2025 SAP Concur CFO Insights レポートの人事部門リーダー版をダウンロードしてご覧ください。
調査対象:SAP Concur は、最新の CFO Insights レポートのために、350 人の最高財務責任者 (CFO) と上級財務リーダー、115 人の人事部門リーダー、115 人の IT 部門リーダーに対してアンケートを実施しました。この調査は、2024 年 12 月と 2025 年 1 月にオーストラリア、ブラジル、カナダ、ドイツ、日本、メキシコ、英国、米国で実施されました。金融、テクノロジー、医療、公益事業、消費材、工業まで、幅広い業種を対象としました。
※本ブログは、SAP Concurで公開された記事を抄訳したものです。
