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「AIは誰のものか?」現場と経営が共創する未来への挑戦〜SAP Concur Fusion Exchange 2025 Tokyoレポート〜

SAP Concur Japan |

「AI活用に向けた新しい地図を渡したい」——そんな言葉から始まったのは、2025年9月12日、グランドハイアット東京で開催された「SAP Concur Fusion Exchange 2025 Tokyo」のセッション「「AIは誰のものか?現場と経営が共創する文化としてのAI」。

このセッションでは、株式会社コンカーとパートナー企業である株式会社リベルタス・アドバイザリーが、AIを単なる業務効率化の手段ではなく、文化として根付かせるための取り組みを語りました。

本記事では、その内容をレポート形式でお届けします。

当日写真

効率化の罠を超えて、文化としてのAI

セッション冒頭、リベルタス・アドバイザリーの野口倫洋氏(デジタルインテグレーション本部第二事業部マネージャー)は「効率化の罠」という言葉を提示しました。

生産性向上を目的に導入されたツールが、いつの間にか“使うこと”自体が目的化してしまう、効率化の罠。この状況に気づくことが、変革の第一歩だと語ります。
この「罠」を超えるために必要なのは、現場と経営が共にAIを“自分ごと”として捉え、文化として根付かせること。

株式会社コンカーの遠藤智範(サービス統括本部テクニカルサポート本部 本部長)も「現場の好奇心や主体性が、AI活用の推進力になる」と強調しました。
コンカー遠藤・リベルタス野口様

コンカーの挑戦:AIを文化にする仕組み

コンカーでは、AI活用を単なる技術導入にとどめず、全社的な文化として定着させるための取り組みを進めています。

  • 共創型フレームワーク
    生成AIの課題と打ち手を議論する枠組みを開発。全社員が参加するディスカッションを通じて、課題解決から施策実行までのスピードを加速。
  • AI Enablement
    現場主導の勉強会や、経営層によるAI資格取得支援など、学びの場を双方向で提供。
  • AIテクノロジー
    全社統合DBを構築し、業務最適化と顧客価値向上を実現。
  • 外部連携
    社内外でのナレッジ共有を通じて、学び合う文化を醸成。

遠藤は「業務効率化で生まれた時間を、顧客価値向上に使うことが重要」と語り、AIを活用した業務改善の具体例も紹介しました。

パートナー企業の革新:リベルタス・アドバイザリーの取り組み

野口氏は、同社が開発した「AI Project Hub」と「Concur Helper」について紹介しました。

  • AI Project Hub
    見積作成からプロジェクト管理までをAIで支援。導入負荷を下げ、個人の力量に左右されずに確実にプロジェクトを前進させる仕組み。
  • Concur Helper
    RAG(Retrieval-Augmented Generation)を活用し、日々のプロジェクトから得られるナレッジを蓄積・活用。成長し続けるAIシステムを構築。

これらの取り組みは、単なる業務効率化にとどまらず、顧客の事業成長を支える“伴走者”としての価値を高めています。

 

リベルタス・アドバイザリー 野口様

共創ロードマップが描く未来

セッションでは、参加者へのアンケートも実施され、約半数が「AI活用を一部試行中」と回答。まだ道半ばであることがうかがえます。

遠藤は、部門横断で小さな成功を積み重ねる「共創ロードマップ」の重要性を強調しました。対話→試行→定着→再対話というサイクルを回すことで、効率化の罠から抜け出し、文化としてのAI活用が根付いていくと語ります。

現場が主役になる瞬間——遠藤のエピソード

印象的だったのは、遠藤が紹介した個人的なエピソードです。

住んでいるマンションで夏祭りの取りまとめ役を任された際、ITに不慣れな事務員の方が「業務をもっと良くしたい」という強い思いを持っていたことに気づきました。そこで、周囲のサポートを受けながらツールを使いこなせるようになり、単純作業から解放されることで、住民への対応がより丁寧に。さらには、自ら改善提案を行うようになったといいます。

この経験から遠藤は、「変革の主役は現場の一人ひとりであり、AIも同じ。誰かの指示で使うのではなく、自分の意思で使いこなすときにこそ、本当の価値が生まれる」と語りました。

コンカー遠藤

Q&A:最初の一歩は何から?

セッション終盤では、「生成AIは変化が早く、何から始めればよいか分からない」という質問が寄せられました。

遠藤は、まず基礎知識を身につけ、身近な業務で小さく試してみることが大切だと回答。

野口氏も、社内でアイデアを共有する場を設け、気軽に試行錯誤できる環境づくりが第一歩になると語りました。

最後に——AIと共に高めあう文化を

AIは、現場の一人ひとりが「やってみたい」と思った瞬間に、その力を発揮します。

遠藤はこう締めくくりました。

「私たちは、共創型フレームワークで培った知見を惜しみなく共有し、AIと“高めあう文化”で、皆さまとより良い働き方、より良い未来を共に作っていきたいと考えています。」

AIは技術ではなく文化です。このブログが、皆さまにとって共創の第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございます。私たちは今後も、社内外に向けて「学び続けることの価値」を発信していきたいと考えています。(実は、この記事もAIの力を借りながら執筆しております。)

コンカーの取り組みにご関心をお持ちいただけましたら、ぜひお問い合わせください!

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社員インタビューは、2025年1月から5月にかけてインターンとして入社し、インサイドセールス(SDR) チームで働く4名の紹介です。今回紹介する山田さん、畑山さん、ゴルバーグさん、渡邊さんに加えて、紹介しきれなかった2人に合わせて6人がとコンカーのインサイドセールスチーム(SDR)で活躍しています。
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生成AIを活用した業務変革を全社で推進する「xAI(カケアイ)」プロジェクトが始動。 勉強会や合宿を通じて、部門を越えた学びと実践の文化を育み、AIを“使える力”として根付かせています。今回のインタビューでは、使用されたディスカッションフレームワークについても触れました。このフレームワークは、チームの意見を効果的にまとめ、ユースケースの創発をスムーズに進めるためのツールです。
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生成AIを活用した業務変革を全社で推進する、通称「xAI(カケアイ)」プロジェクトが始動。本号では実際に各分科会(社内イベント、グローバル連携・開発、外部発信・アライアンス)をリードする3名のメンバーにインタビューを実施しました。全社規模の取り組みをリードする現場の声を通じて、それぞれのリーダーを支えるコンカーの文化をお届けします。 
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