働きかた改革

コンカー三村が特別基調講演に登壇。デジタルメッセ奈良展示会レポート

SAP Concur Japan |

2024年2月8日(木)、奈良県で県内最大規模となるデジタルソリューション展示会『デジタルメッセ奈良』が開催されました。同会にはコンカーもブースを出展し、同時に代表取締役エグゼクティブアドバイザーの三村真宗が特別基調講演に登壇。その模様をレポートします。

県内最大規模のIT展示会!来場者1100名が50以上のソリューションを体感

会場になったのは奈良県コンベンションセンター。
奈良県コンベンションセンター

50を超えるITソリューションには、コンカーの経費精算・請求書管理クラウドの他、電子契約サービス、チャットボット、メタバース、VR観光体験、3D計測、DX人材育成など、さまざまな企業によるデジタルソリューションが展示され、訪れた約1100名の来場者がその技術に触れました。

デジタルメッセ奈良会場内

デジタルメッセ奈良参加のコンカーメンバー

展示会の幕開けとして、同会の旗振り役を務めた湯山壮一郎 奈良県副知事が登壇。今年で2回目の開催となる同会への思いとともに、県内の働き方改革やDX推進への意気込みを次のように語りました。

湯山副知事「地域の企業様が日夜、成長や持続性の確保に取り組むなか、人手不足が非常に大きな課題になっています。そこで、デジタルをどのように活用していけるのかということを、皆様と一緒に考える有意義な一日になればと思います」
湯山奈良県副知事

続いて、湯山副知事と奈良県出身の経営者らによる座談会が行われ、フジトランスポート株式会社 代表取締役の松岡弘晃氏、株式会社ドコマップジャパン 代表取締役の浦嶋一裕氏、Chatwork株式会社 副社長山口勝幸氏の3者が登壇しました。

登壇企業3社

松岡氏と浦嶋氏は、先駆的にDXを推進してきた地域企業の経営者として、体験談をもとにデジタル導入における歩みや、経営層に必要なマインドを熱弁。
山口氏はチャットサービスを提供する事業者の立場から、オフィスDXの価値を語りました。

コンカー三村 特別基調講演「伝える側も受ける側も成長する"コンカー流フィードバック”」

三村の講演
同会で特筆すべきは、大テーマとして掲げた「Well-beingをかなえメッセ!」というスローガン。

企業にとって、DXを推進し、業務効率化や生産性向上を実現させることは大切ですが、それだけで人手不足といった課題がすべて解決されるわけではありません。従業員にとって仕事がしやすい環境を整え、働きがいを感じられる文化を育むことこそが、人材を定着させ、企業の真の成長に繋がるのです。その価値観を地域企業に浸透させることが同会の狙いのひとつです。

特別基調講演では、コンカー三村が「最高の働きがいを作る」というテーマに沿って「"コンカー流フィードバック”の極意」を語りました。その内容を振り返ります。

「働きやすさ」と「働きがい」の違い

三村が最初に示したのは、「働きやすさ」と「働きがい」という2つの混同されがちな言葉の違いについて。2022年5月に日経新聞の一面で掲載されたグラフを引用し「日本企業は有給取得率が毎年上がり、働きやすさは大幅に改善しています。一方で、働きがいのスコアはOECD加盟国のなかで最下位という非常に残念な結果になっています」と説明しました。

働きやすさとは、つまり労働環境のこと。働き方改革に代表されるような、テレワークの導入や時短勤務、時差通勤、連続休暇取得の促進など、具体的な施策を人事部門が主導して進めることができます。
一方、働きがいを創出するためには、経営層が現場に向けてビジョンを発信し、経営理念を浸透させることや、社長の思いを伝えるなど、人事部任せにせず、経営者自身が取り組まなければなりません。

そして、この「働きやすさ」と「働きがい」について、三村はどちらも大切であると話します。

例えば、仕事の内容にすごく興味が持てても、給与が低いと生活が成り立ちません。また、昇進して責任ある仕事を任されることで、働きがいは高まりますが、労働時間が長過ぎると過労で倒れてしまうかもしれません。これは『働きがい搾取企業』とも言えるでしょう。働きやすさと働きがいのどちらか一方ではなく、両方が大切なのです」

そして、「働きやすさ」と「働きがい」を縦軸と横軸で分け、4象限マトリクスにすると、職場の状態を4つに大別できます。 働きやすさと働きがいの4象限

・ばりばり職場:やりがいはあるけど働きにくい
・しょんぼり職場:やりがいはないし働きにくい
・ぬるま湯職場:やりがいはないけど働きやすい
・働きがいのある職場:やりがいがあって働きやすい

日本では昭和まで、辛くても頑張れば、しっかり稼げてポジションも約束され、マイホームも持てる社会で、ばりばり職場がほとんどでした。その後、バブル崩壊によってこれまでのばりばり職場がしょんぼり職場に低迷。それが近年の働き方改革によってぬるま湯職場に。令和において目指していくべきは、やりがいと働きやすさを両立する、つまり、働きがいのある職場なのだと、三村は考えます。

コンカーが働きがいに着目した背景

今では「働きがいのある会社」として認知が広まっているコンカーですが、もともとそうだったわけではありません。三村はコンカージャパンの社長に就任した2011年の当時を思い出し、次のように語ります。

「コンカーは米国に本社を置く会社です。外資系の社長というのは、世の中で最も儚い職業かもしれません。成績が出ないと、数ヶ月で本社から容赦なく更迭されてしまいます。私も社長に着任した当初、初めての社長業だったこともあり、いつクビになるかと本当に怖くて、毎日数字のことばかり考えてしまったんです。結果として、本当に大切な、社員と分かち合うべきミッションやビジョンや価値観やパーパスといったものをおざなりにしてしまいました」

三村の講演

大混乱のなか、それを収束させるべく、三村は次の2つの夢を掲げ、社員と分かち合いました。
・コンカージャパンが業績面において米国本社を除くリージョンの内でNo.1になること
・コンカージャパンが日本のIT企業で最も働きがいのある企業になること

その結果、今やコンカージャパンは、ドイツ、イギリス、フランスとヨーロッパ主要3カ国の合計よりも業績が高い企業へと成長。また、Great Place To Work® Institute Japan(GPTW Japan)が主催する働きがいのある会社ランキングでは2018年に初めて1位になり、以降6年連続1位。そして、同会の開催日と同日、つい先ほど発表された2024年も1位になり、7年連続1位という状況です。
三村はこれまでの歩みを振り返り「『業績が上がったから働きがいが高まった』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私としては働きがいを高める取り組みをやり続けてきたからこそ、業績の伸びに繋がったという実感があります」と語りました。 

個々の成長の実感こそが社員の幸福の源になり、それが企業を成長させる。

その仮説に基づき、社員の成長をより加速するためにコンカーが取り組んできたのが「高め合う文化」です。また、コンカーでは、『Concur Japan Belief』を掲げ、働きがいを促進する要素は3段階あると示しています。

・会社が掲げる夢や志と社員が一体感を持てること
・社員一人ひとりが経営者と同じ高い視座を持つこと
・成功や失敗を通じて成長を実感すること

この3つの感覚を全社員のなかで担保するために、ミッション、ビジョン、コアバリューを社員と共有しています。

企業ビジョンの作るときの3つのポイント

ミッション、ビジョン、コアバリューについては企業理念、パーパスといったさまざまな表現で多くの企業が掲げています。三村は「額縁に入れたまま、誰も見ることなく、埃がかぶっていませんか?」と投げかけたうえで、その重要性を強調。そのうえで、ビジョンについて深掘りし、魅力的なビジョンを作るときの3つのコツを次のように紹介しました。

・実現したらワクワクできるビジョンであること
・相当な背伸びが必要だが、実現不可能ではないビジョンであること
・定量的なゴールや具体的な時間軸が明らかなビジョンであること

三村「まず、ワクワクできるビジョンであることが前提ですが、あまりにも不可能な目標だったり、ゴールや時間軸がない“ふやけたビジョン”だと現実味がありません。コンカーでは『経費精算のない世界を作る』というビジョンを掲げています。経費精算はとても面倒くさい業務ですよね。だからといって、経費精算業務を楽にするとか簡単にするとかではなく『経費精算のない世界を社員みんなで作ろう』という強いビジョンを掲げることで、社員の一体感が生まれています」
三村講演資料

フィードバックで大切にすべき4つのポイント

講演の終盤、今回のテーマである「フィードバック」について三村が解説。コンカーが600名のビジネスパーソンにアンケート調査を実施したところ、フィードバックが行われていない職場と行われている職場で、社員の成長実感がなんと2.7倍も差があるという結果が出ています。

コンカーでフィードバックに力を入れ始めた理由について、三村は「コンカージャパンがスタートアップとして数名でスタートし、社員数が大体1クラスを超えた頃から、徐々に組織間の壁が高くなってくるのを感じました。ある社員が別の部門の悪口を言っているということが耳に入ってきたんです。最初は悪口を言っている社員を呼び出して注意しようと思いましたが、それでは根本的な解決にはなりません。そこで、仕組みと文化を醸成し、何か問題があったら悪口言うのではなく、お互いが前向きに直していく…そんな文化を作っていこうという決意をしました」と振り返ります。

コンカーでは、「フィードバック研修」を行い、丸一日かけてフィードバックの基本的な心構えやテクニックを社員に共有しています。そこで伝えているのが、フィードバックの「マインド」「種類」「方向」「受け止め力」という4項目です。

・マインド
同じスキルを駆使して、同じ相手にフィードバックを実行したとしても、相手の心に届くケースと届かないケースがあります。そもそも攻める気持ちや詰めるようなマインドで行うフィードバックは、相手には届かず、嵐が過ぎるのを待つような気分になってしまいます。
相手の成長を願うマインドで、愛情と敬意をもって建設的に伝えてこそ相手の心に届きます。

・種類
フィードバックには2つの種類があり、課題や改善を伝えることをギャップフィードバック、長所や強みを伝えることをポジティブフィードバックといいます。
フィードバック

フィードバックと聞いて、多くの人が瞬間的に想起するのはおそらくギャップフィードバックでしょう。しかし、実際にはポジティブフィードバックもとても大切。日々、ポジティブフィードバックをして相手のことを見ているなかでときには苦言を呈するギャップフィードバックをすると、その言葉が届きやすくなるのです。
コンカーではポジティブフィードバックが9割、ギャップフィードバックが1割くらいの比率です。ぜひ皆さんも、もっと社員を褒めてあげていただきたいと思います。

・方向性
フィードバックは、上司から部下に対してするものというふうに思われがちですが、部下から上司、あるいは上司と上司、経営層、同僚、後輩、他部門など、あらゆる方向性で行うのが効果的です。
講演資料

フィードバックとは、成長の機会であり、かつ社員の会社に対するエンゲージメントを高め、チームの絆を深める機会です。ぜひあらゆる方向性でフィードバックをし合ってください。

・受け止め力
フィードバックは受け取る側のマインドも大切です。耳の痛い話は聞きたくないなと思っている人には、周りも「伝えるのはやめておこう」と考えてしまいます。一方、自分の成長のために受け止めたいと前向きなマインドがある人には、周囲も愛情をもって伝えてあげたいという発想になります。

最後に、三村は「働きがいが高まれば、人材採用や離職率低減にも効果的です。そして、社員のパフォーマンスが高まるため、昇給や昇進につながり、経営的目線では業績向上にもつながります。コンカーでは、フィードバックをトリガーにして、こうした好循環が生まれ、業績も非常に伸びています。フィードバックを『ギフト』と捉え、ぜひ皆さんの部下や後輩、あるいは勇気をもって上司や同僚にフィードバックを贈ってあげていただきたいです」と語り、1時間の講演を締めくくりました。

湯山副知事とコンカー三村の対談も実現

同会では、過密スケジュールの合間を縫って、湯山副知事とコンカー三村の対談も実現。次のような会話がなされ、互いの働き方改革や働きがいの創出に向けた思いを共有しました。
懇談

湯山氏「三村さん、今回は基調講演をお引き受けいただき、ありがとうございます。2024年も働きがいのある会社ランキングでコンカーが1位になられたようですが、最も評価されているのはどんなポイントだとお考えですか?」

三村「働きがいのある会社ランキングでは、社員に対するアンケートと、会社がどんなことをやっているかというレポートの2つの視点で評価されます。アンケートは完全匿名性で忖度の余地がなく本音が出るわけですが、コンカーが最も評価いただいているのは『フィードバックを通して社員同士が高め合う文化』にあると思います。言いにくいこともあえて伝えることでお互いの絆が深まり、チームとしての結束が強くなっていきます」
三村

湯山氏「やはり、コミュニケーションが非常に重要ということですね。そして、リーダーシップの強い経営層の存在に任せるのではなく、会社の仕組みとして取り組んでいくことがランキングでも1位を獲得している所以なのかもしれませんね。奈良県でも、職員の働き方をより良くするためにかなり踏み込んだ改革を実施していますので、コンカーさんの取り組みには非常に興味がありますね」
湯山氏

三村「ぜひ、機会があれば奈良県職員様向けの講演も喜んでさせていただきます。このたびは、デジタルメッセ奈良での講演をご依頼くださり、誠にありがとうございました」

基調講演が終わった後、三村と参加者の皆さんによる懇談会も開催されました。ざっくばらんに会話が行われ、和やかな時間に。
大盛況のうちに閉会したデジタルメッセ奈良。DX推進や、働き方の仕組み、社内コミュニケーションを見直すきっかけとなる、非常に有意義な時間でした。
懇親会

コンカーとしても出展や基調講演の機会をいただき、誠にありがとうございました!
コンカー三村による「働きがいの作り方」や「フィードバック術」に関する講演は、展示会や自治体様向けにも多数行い、ご好評いただいておりますのでぜひお気軽にご相談くださいませ。

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