領収書電子化を急げ!電子帳簿保存法対応の先陣を切る横浜ゴムの狙いとは

SAP Concur Japan |

横浜ゴムはこれまで、2017年の創業100年を視野に、数多くの組織・制度改革を実施してきた。その一つが総務、人事、経理をはじめとするあらゆる管理部門の業務効率化だ。経理部門においては、2015年に Concur Expenseを導入し、煩雑で大きな負担となっていた経費処理の効率化に成功。さらに2016 年度の電子帳簿保存法(電帳法)の改正にいち早く対応、SAP Concur による領収書の電子化を進めている。

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SAP Concur を選択した理由

  • 電子帳簿保存法にいち早く対応
  • 大幅な業務効率化、コスト削減が可能(年間1500時間の工数削減)
  • モバイル活用でスキマ時間を有効活用

Concur Expense を使った領収書の電子化により、経費精算作業がスキマ時間でできるようになったのが大きな効果だと思います。
領収書の糊付け、経費申請書のファイリングなど間接業務がなくなり、労働時間も削減、試算通りの効率化を実現できています

横浜ゴム株式会社 経理部 税務グループ 飯田純也 氏


改革プロジェクトの推進に伴いConcur Expense を導入し経費精算業務の効率化に成功

 この成功を追い風に2017年、同社は Concur Expense による新たな業務効率化に挑んだ。それが電子帳簿保存法(以下、電帳法)改正への対応である。

 電帳法は国税関係書類の電子化のために1998年に制定された法律だが、条件が厳しく電子化はあまり進まなかった。それが平成27年度、平成28年度と2年連続で改正され、スマートフォンやデジタルカメラを使った電子化ができるなど、電子化が進めやすくなった。

 横浜ゴムでは即座に検討を始め、改正電帳法にいち早く対応した Concur Expense を利用して領収書の電子化を目指した。横浜ゴム株式会社 経理部 税務グループの飯田純也氏はこう語る。「背景には、経営指標面では収益性と財務面で競合他社に遅れを取っている、業務面では間接業務の負担が大きいという2つの課題がありました。特に企業価値向上につながらない間接業務に翻弄され、本来すべき付加価値の高い業務に割くべき時間が減り、長時間労働が発生していることは問題でした。2015年に Concur Expense を導入したのも、その解決の一環と言えます。今回の領収書の電子化では、さらに高付加価値業務へのシフトを進めようと考えました」。

 領収書電子化の目的は、業務効率化とそれに伴うコストの削減だ。「まず、申請書への領収書の糊付け、ファイリング、保管、廃棄などの業務の工数削減です。電子化により年間1500時間を削減できると試算しました。また、段ボール160箱を10 年間保管するための倉庫代と年間10万円かかっている印刷コストの削減が可能と予測しました。このほか、税務調査が入った場合に必要書類を探したり、倉庫に取りに行くなどの時間も不要になると見込みました」。

参考事例がない中、コンカーの支援のもと領収書電子化を展開

 電帳法対応に当たって、経理部から飯田氏を含む2名、システム部門1 名、MD推進室(ムダドリ=経営資源の効率活用を推進する部署)1 名の4 名体制で取り組んだ。事実上は飯田氏が1 人で大部分の作業を担当したが、
Concur Expense の扱いやすさとコンカーの的確な支援があり、スムーズに電帳法対応ができたという。

 検討から導入までは約1 年間をかけた。2017年1月に検討を開始し、申請書類について国税局に Concur Expense の電帳法対応機能のトライアルに参加。その結果を踏まえて具体的な運用方法などを検討、国税局に申請書類を提出し、国税局が実地調査を終えた12月から本格的な運用を開始した。「国税局には申請前に書類に不備がないかを相談しました。申請後に不備があると、その後のスケジュールにも影響が出ます。事前相談は非常に有効だと思います」(飯田氏)。また、はじめから全社導入するのではなく、ベストプラクティスを学ぶためにも、部署を限定して領収書の電子化を開始した。「当社がスマートフォンを支給していないこと、経費の多い営業に導入してうまくいかなかったときの影響などを勘案し、まずは経理部、IT 企画部、MD推進室の3部門40名に絞ってスモールスタートで運用することに決定しました。これらの部署で扱う領収書すべてを電子化の対象としています」(飯田氏)。

 導入期間について飯田氏は、「当時は改正電帳法に対応した企業の事例がまだなく、トライアル後の検討にも時間がかかりました」と話す。前例がない中、同社では規則・要領については国税庁の用意したサンプルを参考に同社の実情に合わせて加筆、修正。事務処理フローの書類は、従来の経費フローを土台に、電子化の要件に当てはめ、効率性と運用性のバランスを鑑みて作成した。「申請書の作成には、コンカーがウェブサイト上に公開している記載例を土台にし、ブログも参考にしました。電帳法対応についてタイムリーな情報が記載されているので、とても役立ちます。現在は事例も増えていますので、これから電帳法に対応される企業は、もっと期間を短縮できると思います」と飯田氏は続ける。

試算通りの工数とコスト削減を実現し、さらなる改善から全社展開を視野に

 電帳法対応に伴い、経費精算の事務処理フローを刷新した。「従業員は領収書の糊付け作業が不要になり、外出先のちょっとしたスキマ時間を活用して、経費精算をすることが可能となりました。社員には大変好評で安心しています。また経理・検査部門では工程数が減り、領収書貼付台紙のファイリング、10年間の倉庫保管という業務が不要になりました」(飯田氏)。

 実際に、領収書電子化の運用開始後は、スモールスタートの40名で領収書の貼付工数で月1 時間、整理・保管工数で月0.5時間を削減できた。全社規模・年間に展開した場合、年間1500時間の削減となり、導入前の試算通りとなった。また領収書を電子化したことで廃棄、印刷、保管のコストはゼロにすることが可能となった。

 電子化までの過程を振り返り、飯田氏は次の反省点を挙げる。「領収書電子化を成功させるポイントは、社員の手順理解、意識改革にあると思います。当社ではこれが十分とは言えませんでした。社内説明会も参加必須にしなかったため、運用が始まってから初歩的な問い合わせがあったからです。説明会への出席を義務化すること、十分なトレーニング期間を確保することが大切だと思います」。

 また、スモールスタートでは領収書電子化へスムーズに移行できたが、経費精算が少ない部門から始めたため、社員が領収書電子化のやり方に慣れず、ルール通りに電子化できていないケースも見受けられた。今後について飯田氏は、「フローの改善などで領収書の電子化の運用を更に効率化し、いち早く全社展開を進めることで、高付加価値業務へのシフトを更に加速させたいと考えています」と締めくくった。

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