電子帳簿保存法はこう活用する!領収書電子化ガイド 第7回「モバイルでの読み取りと読取情報の保存」

今回は、平成28年度の規制緩和において最も大きな緩和事項であった、スマートフォン・デジタルカメラでの領収書の撮影に関して、必要な要件や運用上のコツなどをご説明するとともに、領収書受領者本人以外のものが電子化を行う際に必要な要件である、「紙の大きさ情報」に関して、掘り下げていこうと思います。

スマートフォン・デジタルカメラでの電子化

平成28年度における規制緩和では、スマートフォン・デジタルカメラを利用した領収書の電子化が認められましたが、実はそれ以上に大きな意味があった規制緩和は、「領収書を受領した本人が、領収書を電子化してもよい」ということになった点になります。

それまでは、領収書をもらった本人が電子化することは、不正防止の面から禁じられており、必ず受領者ではない他の担当者(例えば財務・経理担当)が電子化をして保存する必要がありました。
この点が、ご存じの通り平成28年度の規制緩和にて、領収書受領者本人が電子化してもよくなり、そのためのツールとして、スマートフォンやデジタルカメラの利用が認められました。
つまり、「領収書を受領した本人が電子化をすることを認められるのであれば、場所や時間を問わず、いつでも電子化できるようにしなければならない」という考えに及んだと言えます。

一方で懸念されていたのは、本人による電子化を認めることで、不正が行われやすくならないかどうかという点でした。真っ先に考えられた不正は「領収書の使い回し」です。
例えば私が同僚と一緒にタクシーに乗り、タクシー料金を支払い、領収書を受領したとします。その領収書を私がスマートフォンで写真を撮る一方で、同乗した同僚にも、「お前も撮れよ」と言って同じ領収書の写真を撮影させる。
同僚は、紙の領収書を「紛失しました」と偽って、私と同じ内容で経費精算を行う…といった感じです。
そのほかにも、本人により紙の領収書や領収書画像を改ざんされたりする懸念もありました。

それらを防ぐために考えられた対応策が、「領収書に自筆で名前を書いてから撮影させることで、使い回しを防止する」ルールと、「改ざんへの十分な時間を与えない」ための「3日以内に電子化する」というルールになります。

では次に、スマートフォン・デジタルカメラでの電子化に求められる技術的な要件を見てみましょう。

dpiに代わり画素数により規定される解像度要件

これまでは、原稿台付スキャナでのスキャンが義務付けられていました。
スキャナにおいて、画像の解像度を設定する場合は、dpiという設定を行います。詳細は割愛しますが、スキャナ保存制度では、200dpi以上で、かつフルカラーでのスキャンが求められています。
またファイル形式も、スキャナを用いた電子化においては、主にPDFファイル形式での画像化が一般的でした。

一方、スマートフォン・デジタルカメラにおいては、JPGファイル形式での画像化が一般的であり、かつ、dpi設定は、仮の数値として、72dpiという設定が埋め込まれています。これを200dpiにするためには、画像加工ソフトの利用が必要になりますが、それを行うことで、「改ざんされた」とみなされる場合があります。

そのため、dpiの代わりに、A4サイズの大きさにおいて、200dpi相当の画質を担保する数値として、「388万画素」という基準が設けられました。昨今のスマートフォンやデジタルカメラにおいては、388万画素以上での写真の撮影が可能ですので、技術的に問題になることは、ほとんどないと考えられます。
また、一般的に領収書は、A4サイズ以下であることがほとんどであるのと、それほど小さな文字(法的要件で指定されているような、4ポイントサイズの文字)が記載されていることもあまりないため、スマートフォンやデジタルカメラでの電子化で、十分対応可能な書類と言えるでしょう。

Concur Expenseでは、Concur Mobileというスマートフォンアプリ(iOS版、Android版)を提供しています。これは、Concur Expenseをご契約いただいているユーザーであれば、どなたでもご利用可能です。
このアプリを使うことで、規定された画素数以上での写真を撮影し、クラウドサーバーへアップロードすることが可能です。
アップロード後は、クラウドサーバー上でタイムスタンプが自動的に付与されます。
領収書を受領した本人は、受領後速やかに自筆で署名をし、Concur Mobileにて撮影・アップロードすることで、即座に電子化を完了することが可能です。

もちろん、領収書受領者本人による電子化においては、スマートフォンではなく、従来通りスキャナを利用していただくことも可能です。領収書受領者本人による電子化は、スマートフォンとスキャナの両方をお考えいただいてよろしいと思います。

紙の大きさ情報の保存要件

次に、解像度の要件と並んで重要な、紙の大きさ情報の保存要件についてご説明いたします。

従来のスキャナ保存制度より引き続き、領収書自体の大きさ(実寸)情報を保存する必要があります。
これは、紙の領収書自体が偽造されていないかを確認する目的もあります。例えばタクシーの領収書であれば、実寸は、縦100mm、横50mm程度のものが一般的です。この実寸が判別できる情報を、何らかの形で残す必要があります。その方法の一つは、上図にもありますとおり、定規や方眼紙とともに並べてスキャン・撮影する方法ですが、あまりスマートな方法ではないですね…。

一方、昨今のスキャナには、PDFファイル形式でスキャンした書類の大きさを、ファイルのプロパティ内に記載する機能が搭載されているものがあります。このようなスキャナを利用することで、大きさ情報の記録を意識せずとも、法的に対応することが可能になります。

ですが、これはスキャナに備わっている機能であり、スマートフォンやデジタルカメラで撮影する場合、被写体(紙の領収書)とカメラレンズの距離が一定ではないため、大きさ情報を取得することが困難です。
そのため今回の規制緩和において、「領収書を受領した本人が撮影し、かつ、A4サイズ以下の領収書の場合は、紙の大きさ情報を保存しなくてもよい」ということになりました。

しかし、受領後3日以内に電子化を完了させることができず、早期入力方式、業務処理サイクル方式にて、他の人が電子化することになった場合は、紙の大きさ情報を保存する必要があります。
つまり、電子化のために利用できる機器が、事実上、スマートフォンやデジタルカメラから、スキャナに代わることを意味しています。
(もちろん、方眼紙の上に領収書を乗せて、スマートフォンで本人の代わりに撮影する、ということも可能ではありますが…)

第3回において各方式での要件を簡単にお話ししましたが、この「紙の大きさ情報の保存」も、方式によって対応が変わってしまう重要な要件ですので、皆様の社内において事務処理フローをご検討される際は、ご注意ください。

さて、早いもので次回が最終回となります。

最終回は、Concur Expenseをご利用された場合の、想定される事務処理フローをご紹介いたします。
領収書を受領した直後から、経費精算書である「経費レポートを作成」し、上長や経理担当者の承認、定期検査を経て紙の領収書が廃棄されるまでの、一連の流れを、簡単にご説明いたします。

電子帳簿保存法はこう活用する!領収書電子化ガイド(リンク集)

第1回「領収書電子化の目的及び、必要な検討・対応は何か?」
第2回「領収書電子化の要件の概要と申請までの流れ」前編後編
第3回「領収書を電子化するための方式と日数制限」
第4回「適正事務処理要件に基づく社内規程の策定」
第5回「紙の領収書を廃棄するための定期検査はどうすればいい?」
第6回「タイムスタンプの役目と付与及び一括検証」
第7回「モバイルでの読み取りと読取情報の保存」
第8回「Concur Expense利用時における想定事務処理フロー

コンカーではじめる電子帳簿保存法はこちら

「電子帳簿保存法はこう活用する!領収書電子化完全ガイド」がダウンロードできます

ブログの内容をPDFにまとめました。また、PDF版として特別に弊社に寄せられる「よくある質問」などもご紹介しています。
これから領収書電子化の検討をはじめる方におすすめです。是非「電子帳簿保存法はこう活用する!領収書電子化完全ガイド」をご覧ください。


Loading next article