感染予防対策費用やテレワークを行うための環境整備費用はどう会計処理する?- 経費に関する意外と知らないFAQ

経費精算に関してよく聞かれる質問とその回答をまとめたブログシリーズ、今回は感染予防対策費用やテレワークを行うための環境整備費用の会計処理がテーマです。

なかなか収まる気配がない新型コロナウイルス感染症。感染予防対策として、マスクや消毒液などの消耗品を会社負担で購入し、従業員に支給したり、テレワークを行う従業員の自宅に机、椅子などを設置したりすることがあると思います。こういった対策費用はどのように会計処理するのでしょうか。以下で詳しくみていきましょう。

 

質問:

コロナ等の感染対策費用としてマスクや消毒液を購入する場合があると思います。また、テレワークを行うために従業員の自宅に間仕切りなどを設置する場合もあります。これらは、どのように会計処理すればいいのでしょうか?

 

回答:

マスク、消毒液などの感染対策費用は、業務のために通常必要な費用であれば、消耗品費として会計処理します。また、テレワークを行うために従業員の自宅に設置した間仕切りなどの環境整備費用は、物品が会社からの貸与となる場合、会社の備品や消耗品費として会計処理することができます。

 

解説:

マスク、消毒液などの感染対策費用は、消耗品費として会計処理する

新型コロナウイルス感染症に関する感染予防対策として、マスク、石けん、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品を会社負担で購入し、従業員に支給した場合、「業務のために通常必要な費用」であれば、通常の経費精算と同様に、領収書等の提出により経費精算をすることができます。

「業務のために通常必要な費用」とは、例えば、勤務時に使用する通常必要なマスク等の消耗品費のことで、これは会社の消耗品となるため、消耗品費として経費精算できます。会社が従業員にマスク等を直接配布する場合も同様で、消耗品費として会計処理することができます。

注意点としては、業務のために通常必要な費用「以外」のものになる場合です。例えば、勤務とは関係なく使用するマスク等や、従業員の家族など従業員以外の人に支給するものについては、会社の消耗品費とはならず、従業員に対する給与となり、給与として課税対象となるので注意が必要になります。

 

テレワーク用に自宅に設置する間仕切りなどは、備品や消耗品費として会計処理

テレワークを行うために、従業員の自宅に間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などを設置する場合、従業員が費用を支払った場合は通常の経費精算と同様に、領収書等の提出により経費精算でき、設置した物品は会社の備品や消耗品となるため、備品や消耗品費として会計処理することになります。金額の制限については、それぞれの会社の規定に従って処理を行います。

注意点としては、これらの物品は従業員のために会社が新規に購入した場合であっても、会社の所有する備品を従業員に「貸与」するという形となるという点です。従業員にこれらの物品を支給した場合、つまり所有権が従業員に移転する場合、従業員に対する現物給与として給与の対象となりますので、注意が必要です。しかし、その支給を受けた物品等は従業員が自由に処分できず、業務に使用しなくなったときは返却する等の規定があれば「貸与」とみなされるため、会社の備品や消耗品費として会計処理することができるでしょう。

参考)国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ (nta.go.jp)

 

まとめ:

業務のために通常必要な費用とされるマスク、消毒液などの感染対策費用は、消耗品費として会計処理します。テレワークのために従業員の自宅に設置する間仕切りなどの費用は、会社から従業員への貸与であれば、会社の備品や消耗品費として会計処理します。これらの費用が、従業員の給与となってしまう場合もありますので、注意して処理するようにしましょう。

 

<著者プロフィール>

細田 聖子(ほそだ せいこ) 公認会計士・税理士
2012年、公認会計士登録。2016年、税理士登録。1999年から香港留学。2003年から2008年まで、上海でOL、日本語教師等の中国勤務。2010年、公認会計士試験論文式試験合格。2012年より、中国深センの会計事務所等を経て上海勤務となるも、2015年、乳がん告知により帰国。日本で治療をしながら大阪の税理士法人に所属。2018年5月に独立し、フリーランスのライターとして執筆活動など様々な業務に従事。

  

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