働きかた改革

「挑戦は実験である」失敗を恐れない部下に育てるときの上司の心得

Back Office Heroes編集部 |

“失敗を恐れずにチャレンジしてほしい”と願っても、なかなか思う通りにいかないのが人の心。しかしそれは「現状維持バイアス」が無意識に働いているためだと知れば、失敗は恐れるものではないと、気付かせてあげられるはずです。これを踏まえて今回は、いま一歩踏み出せない部下に対して上司が心得えておくべき3つを紹介。言葉の捉え方ひとつで、人の行動は変わります!

 

恐れは「現状維持バイアス」のせいと知る

挑戦は良いことのはずなのに、失敗を恐れて行動できない。そんな部下の心理を知るには、“人は必ずしも合理的に行動しない”と説いた、行動経済学にヒントがあります。今回はそのなかから「現状維持バイアス」に焦点を当て、考察していきます。

「現状維持バイアス」とは

現状維持バイアスとは、“変化によって得られる可能性がある「リターン」より、それによって失う可能性のある「リスク」の方に強く反応してしまう心理作用”を指します(バイアスとは、考え方や意見に偏りを生じさせるものという意味)。

これは誰もが持つ本能で、文明が発達する以前の大昔、リスクが死と直結していた時代に身につけた人間の生存戦略のひとつでしょう。生存の危機に直面することの少ない現代では、この無意識に働いてしまう現状維持バイアスの存在を理解して、行動することが大事だといえます。

成功と失敗の価値を等しくする

現状維持バイアスを、失敗を恐れて挑戦できない心理に置き換えてみると、成功したときの快感よりも、失敗したときの不快感に強く反応してしまうために挑戦できない、ということになります。つまり、成功と失敗の価値が異なることで生まれる心理です。だとしたら、その価値を同等にすれば現状維持バイアスは働かなくなると考えられます。

そこで参考にしたいのが、発明家の失敗に対する受け止め方。彼らにとって失敗は、社会一般で思うようなネガティブなものではありません。成功と同じく、実験によって生じた“大切な結果のひとつ”なのです。

私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまくいかない方法を見つけただけだ

―トーマス・エジソン

つまり「挑戦とは実験」、転じて「挑戦とはデータ収集」ということ。結果として生まれた失敗や成功は、貴重なデータとなり次に生かされていくのです。そう捉えると、失敗は怖いものではなく、むしろ未来の自分への投資であると気付くのではないでしょうか。

現状維持バイアスが強く働いている部下には、このようなある種の気軽さと、失敗には成功と同等の価値があるということを理論立て示してあげることが大切です。

成功にこだわることは素晴らしいですが、それをプレッシャーに感じて行動できないのだとしたら、そのこだわりから解放してあげましょう。そのあとは、部下自身が持つ知的欲求や承認欲求が自然と働き、健全な意思を持って行動するようになります。

 

挑戦から得られるもの

前項で「挑戦は実験であり、データ収集である」と述べましたが、では、集めたデータは何のためにあるのでしょうか。

それは、自分のやりたいことを実現するためにあります。私たちは何かを決めるとき、自分の中に蓄積されたデータ(経験)から現在を見極め、未来を予測し決断しているはずです。そのデータが多ければ多いほど、決断の精度は高まり、スピードが増し、より高次な物事を成し遂げられるようになります。

成功したリーダーほど、過去の経験に基づいてスピーディーに判断しているもの。この部分についても部下と共有したいものです。

 

上司としての「3つの心得」

現状維持バイアスから解放してあげることができたら、以下の3つに気をつけて部下をサポートしていきましょう。

心得1、致命傷にならない挑戦に

挑戦は実験といえども、致命的な結果が想定されるケースは避けなければなりません。その挑戦が部下にとってプラスとなるか否か、能力や性格を加味して判断しましょう。また、その部下ひとりにやり遂げさせる必要はありません。

場合によってはチームを発足するのもよいでしょう。適切な判断とより良い環境づくりは、上司の腕の見せどころです。

心得2、「最後は責任を持つ」という姿勢を

挑戦しようとしているときに上司が示す「最後は責任を持つ」という姿勢ほど、部下にとって心強いものはありません。

部下は自分が信頼されていることを認識し、自信を持つと同時に、上司と課題を共有できることをうれしく思うはずです。この上司のため、このチームのために尽くしたいというマインドになり、部下のパフォーマンスはさらに上がっていくでしょう。

心得3、部下との関係を見直す

上記を心得て部下に接しても変化が表れなかったときは、あなたとの関係に問題があるのかもしれません。

部下が失敗したとき感情に任せて怒ってしまった、あるいは、部下の成功を自分のものにしてしまった、という経験はありませんか? 部下との関係を見直すチャンスと捉え、信頼関係の構築に力を入れていきましょう。

 

まとめ

部下の心理を知り、主体的に行動できるようにサポートすることは上司の大切な仕事のひとつです。そして、部下の挑戦は上司にとっての挑戦でもあります。これを繰り返すことでチームとしての力が上がり、より大きな成果を生みだすことができるのです。最後は、上司であるあなたに向けたメッセージ、元プロ野球監督・野村克也氏の言葉を贈ります。

命令するからには、全責任は監督にある。つまり、クビになるのはおまえでなくワシや。だから、失敗してもいっこうにかまわない。おまえの失敗はおまえを使ったオレが悪いのだから、全てを出しきり、結果は神にゆだねろ

―野村克也

 

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